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78 人払いをしてもらえるかしら?
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祝勝会は三日後となった。
”まぁ、三日もあれば話す時間もあるだろう”と高をくくっていたエリカは甘かった。
まずダニエルはモーガンの処分に時間を取られてしまう。
モーガンは闘技場でエリカの話を聞き、達観したようで、物の見事に改心をした。
”処刑されても構わない。しかし今一度チャンスがほしい。自分で言うのもおこがましいが、ダニエル殿下に忠誠を誓い、国のために尽力したい”と、以前のモーガンだったら考えられない言葉を口にした。
厳しい処分を求める者もいたが、ダニエルはモーガンを認め、”泣く子も黙るアンスバッハ辺境伯”のもとへ送ることとする。極寒の地、蛮族の襲来をも撃退する猛者の下で、潰れずに成長する事を祈るばかりだ。
次に祝勝会であるが、例年より大掛かりな物となった。
身を挺してダニエル王子を助けた我らがエリカ嬢!
どこからか”祝勝会で結婚の発表をするんだって!”と漏れたようで、国民も王宮の人間たちも沸きに沸き、”結婚式さながらに発表の場を盛り上げよう! とどんどん大掛かりになっていく。
「エリカ様」
「なぁに?」
急ピッチで祝勝会で着るドレスの仮縫いをしている途中、侍女長に話しかけられた。
「祝勝会が一週間後になりました」
「え?」
「出席者が日を追うごとに増えていくのと、出し物も増えまして」
「出し物って何!?」
「三日後では準備が間に合わないため、一週間後に」
「……………」
「三日だと、ドレスの仕上がりもギリギリなので、丁度良いかと存じます」
「まぁ、確かにそうね」
「あと、お色直し用にもう一着仕立てます」
「この世界にお色直しってあるの!? 結婚式でもないのに!」
「この世界とは?」
「何でもないの。気にしないで?」
まずい、とばかりに話を変える。
「ダニエルと話したいのだけど……」
「ダニエル様はお忙しくて……短い時間ならお会いになれますが」
「だめだわ、時間が掛かると思うの」
「それでは暫くお待ちください。武闘大会が終わったばかりで、祝勝会の準備もあり、今はせわしないですが、2、3日後には落ち着くと思います」
エリカが了承し、仮縫いのドレスからデイドレスに着替えたところで、ノックの音がした。
「ルクレツィア王女がいらっしゃいました。エリカ様にお会いになりたいそうです」
護衛騎士の声が響き、侍女たちは怪訝な顔をする。
”ダニエル争奪戦から身を引いたルクレツィア様が今更何の用? 何かたくらんでいるの?” といった様子だ。
「入れて差し上げて」
扉が開き、ルクレツィアが自分付きの侍女と共に入ってきた。部屋にいた侍女たちは一斉に頭を下げる。
「エリカ様。お願いがありますの。あなたにとっても良い話だと思うわ。まずは……」
ルクレツィアが侍女たちにチラッと目をやる。
「人払いをしてもらえるかしら?」
”まぁ、三日もあれば話す時間もあるだろう”と高をくくっていたエリカは甘かった。
まずダニエルはモーガンの処分に時間を取られてしまう。
モーガンは闘技場でエリカの話を聞き、達観したようで、物の見事に改心をした。
”処刑されても構わない。しかし今一度チャンスがほしい。自分で言うのもおこがましいが、ダニエル殿下に忠誠を誓い、国のために尽力したい”と、以前のモーガンだったら考えられない言葉を口にした。
厳しい処分を求める者もいたが、ダニエルはモーガンを認め、”泣く子も黙るアンスバッハ辺境伯”のもとへ送ることとする。極寒の地、蛮族の襲来をも撃退する猛者の下で、潰れずに成長する事を祈るばかりだ。
次に祝勝会であるが、例年より大掛かりな物となった。
身を挺してダニエル王子を助けた我らがエリカ嬢!
どこからか”祝勝会で結婚の発表をするんだって!”と漏れたようで、国民も王宮の人間たちも沸きに沸き、”結婚式さながらに発表の場を盛り上げよう! とどんどん大掛かりになっていく。
「エリカ様」
「なぁに?」
急ピッチで祝勝会で着るドレスの仮縫いをしている途中、侍女長に話しかけられた。
「祝勝会が一週間後になりました」
「え?」
「出席者が日を追うごとに増えていくのと、出し物も増えまして」
「出し物って何!?」
「三日後では準備が間に合わないため、一週間後に」
「……………」
「三日だと、ドレスの仕上がりもギリギリなので、丁度良いかと存じます」
「まぁ、確かにそうね」
「あと、お色直し用にもう一着仕立てます」
「この世界にお色直しってあるの!? 結婚式でもないのに!」
「この世界とは?」
「何でもないの。気にしないで?」
まずい、とばかりに話を変える。
「ダニエルと話したいのだけど……」
「ダニエル様はお忙しくて……短い時間ならお会いになれますが」
「だめだわ、時間が掛かると思うの」
「それでは暫くお待ちください。武闘大会が終わったばかりで、祝勝会の準備もあり、今はせわしないですが、2、3日後には落ち着くと思います」
エリカが了承し、仮縫いのドレスからデイドレスに着替えたところで、ノックの音がした。
「ルクレツィア王女がいらっしゃいました。エリカ様にお会いになりたいそうです」
護衛騎士の声が響き、侍女たちは怪訝な顔をする。
”ダニエル争奪戦から身を引いたルクレツィア様が今更何の用? 何かたくらんでいるの?” といった様子だ。
「入れて差し上げて」
扉が開き、ルクレツィアが自分付きの侍女と共に入ってきた。部屋にいた侍女たちは一斉に頭を下げる。
「エリカ様。お願いがありますの。あなたにとっても良い話だと思うわ。まずは……」
ルクレツィアが侍女たちにチラッと目をやる。
「人払いをしてもらえるかしら?」
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