5 / 7
私はおそらく1人である
しおりを挟む
月日は流れ、デビュタントを行う歳となった。
相変わらず王族から届くお茶会に続き夜会のお断りも書くようになった。どの道、私はそんなものに出ることができないので、最新のドレスやアクセサリーには軽く目を通すだけで終わらせていた。
そんな時、叔父から王城へ共に行くように言われた。理由は、貴族の令嬢が成人の儀として行うデビュタントを私個別で行う為である。いくら怪物の容姿だからと言って、何もさせないのは王族としての恥なのだそうだ。
謝罪する叔父の為に、乗り気では無いものの王城に行く為に色々と使用人に用意してもらい、王族に対してのマナー再確認を家庭教師に見てもらった。
王城へと登城した日、叔父にエスコートしてもらいながら城の中を見回した。初めての光景に少し胸を躍らせつつ、多くの人に見られる事にかなり緊張した。多くの人間にとって自分は物珍しい事には変わりは無い。向けてくる視線の多くは醜くく、恐ろしい容姿に対しての恐怖や嫌悪感を感じた。叔父に時折声を掛けてくれた事でそれを何とか凌いだ。本来なら、叔父の息子がエスコートするはずであるが、未だに私の容姿に怯えてしまった為であるが、むしろ叔父のおかげで安心してまうことはなんとまぁ、現金なものであると思った。
王が座る玉座の間に入ると同時に従者が私と叔父の名を読み上げる。
赤い絨毯の奥に王と王妃が鎮座している。彼らの前へと進み、令嬢のお辞儀をした。
「よくぞ参った」
低く響く声が聞こえた。よく聞くと、少しだけ震えていた。面を上げるように言われ、顔をあげると、王は静かに見下ろし、王妃は微笑んでいた。しかし、目には怯えていることが理解した。成人の儀を終え、帰路に着くまで馬車で揺られている中、私は叔父に告げた。
「今後、私にもしもの事があれば、叔父か叔父の息子に家督を継ぐ様に手続きをお願いします」
「急にどうしたのかね?」
「前から考えていたのですが、私は恐らく生涯1人でいることなります。」
「分かっていると思いますが、私は容姿もですがオーガとしての本能が強く出る事があります。そんな者と結婚することは難しいでしょう」
「だからと言って、私や息子でいいのかい?養子を迎える事も出来るはずだが」
「それも難しいと思いますし、まだ信用のおける叔父と彼がいいです」
なんとも言えない叔父の視線を逸らして、馬車の外を眺めた。
相変わらず王族から届くお茶会に続き夜会のお断りも書くようになった。どの道、私はそんなものに出ることができないので、最新のドレスやアクセサリーには軽く目を通すだけで終わらせていた。
そんな時、叔父から王城へ共に行くように言われた。理由は、貴族の令嬢が成人の儀として行うデビュタントを私個別で行う為である。いくら怪物の容姿だからと言って、何もさせないのは王族としての恥なのだそうだ。
謝罪する叔父の為に、乗り気では無いものの王城に行く為に色々と使用人に用意してもらい、王族に対してのマナー再確認を家庭教師に見てもらった。
王城へと登城した日、叔父にエスコートしてもらいながら城の中を見回した。初めての光景に少し胸を躍らせつつ、多くの人に見られる事にかなり緊張した。多くの人間にとって自分は物珍しい事には変わりは無い。向けてくる視線の多くは醜くく、恐ろしい容姿に対しての恐怖や嫌悪感を感じた。叔父に時折声を掛けてくれた事でそれを何とか凌いだ。本来なら、叔父の息子がエスコートするはずであるが、未だに私の容姿に怯えてしまった為であるが、むしろ叔父のおかげで安心してまうことはなんとまぁ、現金なものであると思った。
王が座る玉座の間に入ると同時に従者が私と叔父の名を読み上げる。
赤い絨毯の奥に王と王妃が鎮座している。彼らの前へと進み、令嬢のお辞儀をした。
「よくぞ参った」
低く響く声が聞こえた。よく聞くと、少しだけ震えていた。面を上げるように言われ、顔をあげると、王は静かに見下ろし、王妃は微笑んでいた。しかし、目には怯えていることが理解した。成人の儀を終え、帰路に着くまで馬車で揺られている中、私は叔父に告げた。
「今後、私にもしもの事があれば、叔父か叔父の息子に家督を継ぐ様に手続きをお願いします」
「急にどうしたのかね?」
「前から考えていたのですが、私は恐らく生涯1人でいることなります。」
「分かっていると思いますが、私は容姿もですがオーガとしての本能が強く出る事があります。そんな者と結婚することは難しいでしょう」
「だからと言って、私や息子でいいのかい?養子を迎える事も出来るはずだが」
「それも難しいと思いますし、まだ信用のおける叔父と彼がいいです」
なんとも言えない叔父の視線を逸らして、馬車の外を眺めた。
0
あなたにおすすめの小説
妻を蔑ろにしていた結果。
下菊みこと
恋愛
愚かな夫が自業自得で後悔するだけ。妻は結果に満足しています。
主人公は愛人を囲っていた。愛人曰く妻は彼女に嫌がらせをしているらしい。そんな性悪な妻が、屋敷の最上階から身投げしようとしていると報告されて急いで妻のもとへ行く。
小説家になろう様でも投稿しています。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】私は聖女の代用品だったらしい
雨雲レーダー
恋愛
異世界に聖女として召喚された紗月。
元の世界に帰る方法を探してくれるというリュミナス王国の王であるアレクの言葉を信じて、聖女として頑張ろうと決意するが、ある日大学の後輩でもあった天音が真の聖女として召喚されてから全てが変わりはじめ、ついには身に覚えのない罪で荒野に置き去りにされてしまう。
絶望の中で手を差し伸べたのは、隣国グランツ帝国の冷酷な皇帝マティアスだった。
「俺のものになれ」
突然の言葉に唖然とするものの、行く場所も帰る場所もない紗月はしぶしぶ着いて行くことに。
だけど帝国での生活は意外と楽しくて、マティアスもそんなにイヤなやつじゃないのかも?
捨てられた聖女と孤高の皇帝が絆を深めていく一方で、リュミナス王国では次々と異変がおこっていた。
・完結まで予約投稿済みです。
・1日3回更新(7時・12時・18時)
『番』という存在
彗
恋愛
義母とその娘に虐げられているリアリーと狼獣人のカインが番として結ばれる物語。
*基本的に1日1話ずつの投稿です。
(カイン視点だけ2話投稿となります。)
書き終えているお話なのでブクマやしおりなどつけていただければ幸いです。
***2022.7.9 HOTランキング11位!!はじめての投稿でこんなにたくさんの方に読んでいただけてとても嬉しいです!ありがとうございます!
そんなに義妹が大事なら、番は解消してあげます。さようなら。
雪葉
恋愛
貧しい子爵家の娘であるセルマは、ある日突然王国の使者から「あなたは我が国の竜人の番だ」と宣言され、竜人族の住まう国、ズーグへと連れて行かれることになる。しかし、連れて行かれた先でのセルマの扱いは散々なものだった。番であるはずのウィルフレッドには既に好きな相手がおり、終始冷たい態度を取られるのだ。セルマはそれでも頑張って彼と仲良くなろうとしたが、何もかもを否定されて終わってしまった。
その内、セルマはウィルフレッドとの番解消を考えるようになる。しかし、「竜人族からしか番関係は解消できない」と言われ、また絶望の中に叩き落とされそうになったその時──、セルマの前に、一人の手が差し伸べられるのであった。
*相手を大事にしなければ、そりゃあ見捨てられてもしょうがないよね。っていう当然の話。
みんながまるくおさまった
しゃーりん
恋愛
カレンは侯爵家の次女でもうすぐ婚約が結ばれるはずだった。
婚約者となるネイドを姉ナタリーに会わせなければ。
姉は侯爵家の跡継ぎで婚約者のアーサーもいる。
それなのに、姉はネイドに一目惚れをしてしまった。そしてネイドも。
もう好きにして。投げやりな気持ちで父が正しい判断をしてくれるのを期待した。
カレン、ナタリー、アーサー、ネイドがみんな満足する結果となったお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる