悪役令嬢が人生最後の瞬間まで笑う為の奮闘物語~王国編~

柴澤 絆

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~第一章~

21話

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執務室での夕食が始まってしばらくした所でタヌカが少し言いずらそうに、また旦那様が外に出ていかれてしまいました。そうお兄様に言ってきた....



タヌカの報告を聞いたお兄様が難しい顔をする。


しばらく悩んだ後お兄様の言った言葉に皆の動きが止まってしまった...



「もしかしたら、また何か事を起こすかもしれないな。




今から全てお母様の遺品を全て何処かに移してくれるか」


そう言ったお兄様にどう言う事なのか理解ができず、皆顔を見て固まっている。やっとタヌカが、どう言った理由でございましょうか?と少し心配そうな顔をして聞く。


「僕はお母様の遺言書の内容を聞いた時からずっと気になっていた事がある。

あの内容は全てこの公爵家と僕達の事ばかりでお母様の事に関する事はほとんど無かった………


今の父様にはお金はない、けれどまたあの女に会いに出て行ったのだろう。

お母様の遺品は僕達親族に所有権があるはずだが、それは夫である父様にも所有権があると言うとこになる。
きっとあの父様の事だ、売り払ってお金に変えるだろう。

僕が次期当主だからと言ってもこれは止められないかもしれない。だからそんな事にならないように先に隠したい。」



そう言って食事から手を引いてしまい、悲しそうに隠すなんて事は僕だってしたくはないのだけれど、あの人に勝手にされるよりは......


そう言って黙ってしまった。


そのお兄様の話を聞いたタヌカが、わたくしめが進言する前にそのようにお考えになられる様になられたのですね、と少し嬉しそうに言い、それではわたくしめからも更に発言をしたいのですがよろしいでしょうか?と言って真剣な表情になった。











そこから皆の動きは早かった。
お母様の部屋の思い出の詰まった遺品を、執事や侍女が住んでる住居棟の一番奥の誰も行かないような所に隠す事になった。

私の成人となる日までこの部屋の物を守ると皆で決めたのだ。

そしてその部屋には私の部屋にある物も少し移動させた...


お母様が最後に私にくれたあの素敵な机も、皆が誕生日にくれた物も、私が座ると可愛いと思ったのと買ってくださった小さな私用のソファーも。

本と洋服と生活に必要なもの以外全て移動させた。



この家の家具や全ての物は次期当主のお兄様の許可がなければ持ち出す事が出来ない、もし勝手に持ち出して売り払ったりした場合、法の裁きがくだる。

だけど個人の私物はそうではない。

お母様の部屋にある物は公爵家のものではなく元公爵当主のお母様の物であり、さっきも言ったが親族である私達に相続権がある。

だからお母様の遺品を隠して守ろうとお兄様が言ったのだがタヌカはそれでは足りないと言ったのだ.....


お兄様の私物は次期当主の物と言う判断になるそうなので勝手に持って行ったりは出来ない事くらいは分かるだろうから大丈夫そうだが、私の物は違うと言う。


親権があると遺言で認められてしまった以上自分の娘の物をどうするかは親が決める事もできる。
もちろん普通の親ならば娘の私物を売り払ったりしたりはしないだろうけど、けれど父は違うとタヌカは言った....


お母様の物が無いと分かるときっと私の物に手をつけると言っていた。

子供を大切にしていたお母様ならいい物を私に与えているだろうと考えるはずですと言うタヌカにさすが長年あの父にも使えていただけあって、行動の把握の仕方すごいなーと感心する。



と言うことで私の部屋の物も移動させる経緯はこんな感じなのだが.......

あの父は本当に誰にも信用されるような行動を今までしてこなかったんだなと呆れる。



私としてはお母様から頂いた思い出の品を目の届く所に置いておきたい気持ちはあったけど、それでも取り上げられるよりはマシと私もじっとしていた。

私の様子を伺うようにお兄様はレーラ、お前がお母様にもらった物を少しだけ移動させるだけだから。少しの間だけ我慢しておくれ....そう言って来たのでいいよと言う返事の代わりにおでこスリスリ儀式してあげた



いいわ!少しの間の我慢よ!

私だってすぐに大きくなって父に大きな顔をさせないよう頑張るわ!!




父がこれから何をしようがお兄様とタヌカや皆がいればこの家は大丈夫!何をして来ても返り討ちにしてくれるわ!!!お兄様が!


ちょっと情けない宣言だが私が自ら動けるようになるまではお兄様にまかせるわ!私が成人になれば自動的におさらばだけど、それまでは家にいるのだから。
それまでに弱体化させとかないとあー言うタイプの人は何するか分かんないし!!



学園に入らなければならない歳までになんとかするのが私の役目よ。


絶対にお母様にした事忘れないし、お兄様にした事も忘れないわ。そして、お母様が亡くなられた時帰って来た父が初めて私を見た時のあの目....

私は何もできるはずもないし初対面のはずだけれど相当憎しみを込めて私を見ていたわ



あの時思ったの、きっとこの家の物全てが気に入らないんだわこの人...そして何故か分からないけれど、私の事が一番嫌いなんだわ。



なぜ私の事を嫌うのかは分からないけれど、その理由が分かれば少しは気が晴れるかしら....

そう思いながらお母様の思い出の品が無くなってしまったお部屋で本を読む。



ルーシーは少し悲しそうに机のあった場所を見ている...


あの日からルーシーは少し元気のない様子で心配してたのだけれど、お母様の遺品や私の部屋の物を移動させる時、本当に悲しそうな顔をしていた。



それはそうよね.....
どうして、お母様ばかりって思っているよのねルーシーは...

私だって思っている事なのだもの、ルーシーはずっと侍女見習いの時からお母様に使えて来たのだから.......


あの父の所業もずっと見てきたのよ、それは悔しい思いをしてるはずよ


どうにかルーシーを笑顔に出来ないかと悩んだが抱っこをねだってみる。
まぁ、ルフレーラ様珍しいですねと私を抱き上げ笑ってくれるがこれは心の曇りが晴れた笑顔ではないわね....


早くみんなに心から笑える日が来たらいいのにと、



私には珍しくしんみりとした考え方をしていると...

またお兄様が居座り添い寝をする為に部屋に入ってきた...


本当にこの人自分の部屋に帰って寝る事の方がすくないんじゃないの?!ここまで重度のシスコンになってしまったお兄様はこれからどうなっていくのよ!!


私だって成長したらこんな事絶対させないわよ!
貴族の家では大体3歳から4歳のあたりでお勉強が始まると同時に、紳士淑女になる為の教育も始まる。

そうなったら子供ではなくこの公爵家の令嬢としてやっていかなれけばならないのに、このシスコンお兄様はそんなの無視してお部屋に居座ったりしそうなのだもの!!!


怖くなってきたわ!将来のお兄様を考えるとすごく怖いわ!!


あの乙女ゲームでのお兄様はクールで無口で愛の知らない人、みたいな設定だった感じだったど....

今のお兄様からそんな人に育つなんてありえないわ!
見た目はクールで無口そうに見えるだけのただのシスコンになってしまうわ!!!
やばい!やりすぎた!!今からでも矯正出来ないかしら!!!


私がすこし、無視するだけで一日中でも暇を見つけては付きまとって機嫌を取りに来てしまうから無視はダメだし、スキンシップや私達、兄妹の間で行われるあのおでこスリスリ儀式を拒否すればやってくれるまでおでこを突き出してくるし。


ダメだわ....
頭痛がしてきた.....


また考え事する私にレーラ、レーラと構ってアピールをするお兄様に本当にどうしたらいいのこの人と思い、今日は諦めて構ってあげる事にする。




なんかもう色々考えたせいで疲れたわ。

こうなったらいつもみたいに寝落ちしてやる!
と体の力をぬき、目を瞑る.....








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