44 / 67
43.嘘偽りのない言葉を
しおりを挟む
「違うのです!ブレイズは何も悪くなくてっ」
「ダイアナ様。答える前に私の話を聞いて下さい。
──絶対に嘘偽りを仰らないで。
それは、貴方の為でもあり、子供達の為でもあります。
あの子達に恥ずかしくない、母親としての正しい姿を見せて下さい」
子供の為を本当に思っていたのなら、最後まで母親としての自分を守って欲しいと思うのは当然でしょう。
「…は、はおやとして…?」
「それとも。貴方は本当に子供達を捨てるのですか。愛する男がいればそれでいい、ただの女でしかありませんか。
今からの貴方の発言にすべてが掛かっています。心してお話し下さいませ」
信じられないことを聞いたと言わんばかりの表情。どれだけ甘やかされて生きてきたのでしょう。
結婚式を楽しみにしながら……式まで待てず、婚約者に体を許した愚かな令嬢。
それがダイアナ様の本質だったのでしょうか。
「どうしました?ご自分では言い難いのですか?
では、一つずつお尋ねします。
貴方は離婚が成立しています。ですが、子供達のことや、貴方の持ち出したお金についてなど、話し合いが必要なのはお分かりですね?」
「……お金は……だって……私の名義で……」
子供よりお金に反応するのは止めてほしかったです。
「少し違います。ダイアナ様の個人資産はもちろんありますが、貴方様が持ち出したのは伯爵夫人の費用です。
それは離婚した貴方が自由に使える資金ではありませんよ?」
家令のホワイトさんはしっかりしていました。
いつかこうなる事を見越していたのでしょうか。ダイアナ様の個人資産は、婚姻の際に持ってきた持参金のみ。他の莫大な資産は伯爵夫人としての費用としていたのです。
正式に離縁を申し入れていれば、また違ったでしょうが、駆け落ちをして伯爵家に迷惑をかけた彼女にどれ程のお金が渡るのかは私には分かりません。
「……そんな……」
「それから、子供達のことはどうするつもりだったのですか?彼女達の親権はもちろん伯爵にあります。
ですから、ダイアナ様と今後会うことを許すかどうかの決定権も旦那様にあるのですよ」
「わ、私が産んだ子なのにっ!」
「そうですね。貴方が産んで貴方が置き去りにしたのです。その後の約束も何もせずに。ですよね?」
「……だって、あの時は……生きられるか分からなくて……」
しっかりしなさいっ!と背中をバシッ!と叩きたい気分ですわ。これで旦那様より歳上なのでしょう?10代から中身が成長していないのではないかしら。
「貴方に置き去りにされた子供達が、不幸になるとは考えもしないのですね」
「え、不幸って……」
ああ、この顔は欠片も考えていなかったようです。
「私の母も、私と弟を残して家出しました」
「!」
「父はもちろん激怒しました。なんてみっともないことをしたのだと、すでに5年以上経っているのに、今でも思い出しては腹を立てています。
ダイアナ様の話を聞いた時も大変怒っていました。
女性とは清貧、貞淑、従順であるべきだと言い出し、私は丸一日食事を食べることが許されませんでした」
「えっ!?」
本当に、え?って感じですよね。ようやく巻き添えにあった文句を言えて嬉しいです。こんな機会に恵まれるとは思いもしませんでしたわ。
「私は家出した母に似ています。だから、父は私のことが嫌いなのですよ。
自分に似た弟だけを可愛がり、私を疎んでいました。旦那様との結婚だって、弟の学費の為に勝手に決めてきたのです。酷いと思いませんか?」
苦労知らずのお嬢様は、そんな不幸が存在するなんて知らなかったのでしょう。
「ユーフェミア様とコンラッド様。お二人はダイアナ様にそっくりですね」
だからどうしたのかは伝えずにニッコリと笑って見せました。どうやら意味は伝わったようです。
「まさか……グレンが子供達を!?」
……そう来るのですか。違います。私が言いたいのはそういう事ではなくて。
「旦那様は子供達を大切にしていますよ。ただ、そういう可能性もあったのだと言っているのです。ご理解頂けましたか?」
「……酷いです。驚かさないで下さい」
え、まだ伝わっていないのですか?
「私以外の女性は、寄宿学校に入れるのはどうかとか、お二人を排除して、いずれ産まれるであろう自分の子供を跡継ぎにしようと画策していたそうです。
貴方に捨てられて危険がいっぱいでしたね」
すっかりと俯いてしまいました。話したいことはまだまだありますのに。
「……どうして私だけが責められるの」
「他に誰を責めろと?」
思わずノーランを見てしまいました。クスッと笑って肩をすくめています。
それが馬鹿にされたと思ったのでしょう。ダイアナ様が突然大声を出されました。
「どうしていつも私だけがあの子達の面倒を見なくてはいけないの!?グレンだって父親よ!それなのに、どうして病気の間の1年、彼に任せただけてこんなにも嫌味を言われなくてはいけないのよっ!!」
……旦那様。彼女の魅力はどこですか?
「ダイアナ様。答える前に私の話を聞いて下さい。
──絶対に嘘偽りを仰らないで。
それは、貴方の為でもあり、子供達の為でもあります。
あの子達に恥ずかしくない、母親としての正しい姿を見せて下さい」
子供の為を本当に思っていたのなら、最後まで母親としての自分を守って欲しいと思うのは当然でしょう。
「…は、はおやとして…?」
「それとも。貴方は本当に子供達を捨てるのですか。愛する男がいればそれでいい、ただの女でしかありませんか。
今からの貴方の発言にすべてが掛かっています。心してお話し下さいませ」
信じられないことを聞いたと言わんばかりの表情。どれだけ甘やかされて生きてきたのでしょう。
結婚式を楽しみにしながら……式まで待てず、婚約者に体を許した愚かな令嬢。
それがダイアナ様の本質だったのでしょうか。
「どうしました?ご自分では言い難いのですか?
では、一つずつお尋ねします。
貴方は離婚が成立しています。ですが、子供達のことや、貴方の持ち出したお金についてなど、話し合いが必要なのはお分かりですね?」
「……お金は……だって……私の名義で……」
子供よりお金に反応するのは止めてほしかったです。
「少し違います。ダイアナ様の個人資産はもちろんありますが、貴方様が持ち出したのは伯爵夫人の費用です。
それは離婚した貴方が自由に使える資金ではありませんよ?」
家令のホワイトさんはしっかりしていました。
いつかこうなる事を見越していたのでしょうか。ダイアナ様の個人資産は、婚姻の際に持ってきた持参金のみ。他の莫大な資産は伯爵夫人としての費用としていたのです。
正式に離縁を申し入れていれば、また違ったでしょうが、駆け落ちをして伯爵家に迷惑をかけた彼女にどれ程のお金が渡るのかは私には分かりません。
「……そんな……」
「それから、子供達のことはどうするつもりだったのですか?彼女達の親権はもちろん伯爵にあります。
ですから、ダイアナ様と今後会うことを許すかどうかの決定権も旦那様にあるのですよ」
「わ、私が産んだ子なのにっ!」
「そうですね。貴方が産んで貴方が置き去りにしたのです。その後の約束も何もせずに。ですよね?」
「……だって、あの時は……生きられるか分からなくて……」
しっかりしなさいっ!と背中をバシッ!と叩きたい気分ですわ。これで旦那様より歳上なのでしょう?10代から中身が成長していないのではないかしら。
「貴方に置き去りにされた子供達が、不幸になるとは考えもしないのですね」
「え、不幸って……」
ああ、この顔は欠片も考えていなかったようです。
「私の母も、私と弟を残して家出しました」
「!」
「父はもちろん激怒しました。なんてみっともないことをしたのだと、すでに5年以上経っているのに、今でも思い出しては腹を立てています。
ダイアナ様の話を聞いた時も大変怒っていました。
女性とは清貧、貞淑、従順であるべきだと言い出し、私は丸一日食事を食べることが許されませんでした」
「えっ!?」
本当に、え?って感じですよね。ようやく巻き添えにあった文句を言えて嬉しいです。こんな機会に恵まれるとは思いもしませんでしたわ。
「私は家出した母に似ています。だから、父は私のことが嫌いなのですよ。
自分に似た弟だけを可愛がり、私を疎んでいました。旦那様との結婚だって、弟の学費の為に勝手に決めてきたのです。酷いと思いませんか?」
苦労知らずのお嬢様は、そんな不幸が存在するなんて知らなかったのでしょう。
「ユーフェミア様とコンラッド様。お二人はダイアナ様にそっくりですね」
だからどうしたのかは伝えずにニッコリと笑って見せました。どうやら意味は伝わったようです。
「まさか……グレンが子供達を!?」
……そう来るのですか。違います。私が言いたいのはそういう事ではなくて。
「旦那様は子供達を大切にしていますよ。ただ、そういう可能性もあったのだと言っているのです。ご理解頂けましたか?」
「……酷いです。驚かさないで下さい」
え、まだ伝わっていないのですか?
「私以外の女性は、寄宿学校に入れるのはどうかとか、お二人を排除して、いずれ産まれるであろう自分の子供を跡継ぎにしようと画策していたそうです。
貴方に捨てられて危険がいっぱいでしたね」
すっかりと俯いてしまいました。話したいことはまだまだありますのに。
「……どうして私だけが責められるの」
「他に誰を責めろと?」
思わずノーランを見てしまいました。クスッと笑って肩をすくめています。
それが馬鹿にされたと思ったのでしょう。ダイアナ様が突然大声を出されました。
「どうしていつも私だけがあの子達の面倒を見なくてはいけないの!?グレンだって父親よ!それなのに、どうして病気の間の1年、彼に任せただけてこんなにも嫌味を言われなくてはいけないのよっ!!」
……旦那様。彼女の魅力はどこですか?
3,689
あなたにおすすめの小説
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login
【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~
魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。
ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!
そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!?
「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」
初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。
でもなんだか様子がおかしくて……?
不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。
※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます
※他サイトでも公開しています。
「美しい女性(ヒト)、貴女は一体、誰なのですか?」・・・って、オメエの嫁だよ
猫枕
恋愛
家の事情で12才でウェスペル家に嫁いだイリス。
当時20才だった旦那ラドヤードは子供のイリスをまったく相手にせず、田舎の領地に閉じ込めてしまった。
それから4年、イリスの実家ルーチェンス家はウェスペル家への借金を返済し、負い目のなくなったイリスは婚姻の無効を訴える準備を着々と整えていた。
そんなある日、領地に視察にやってきた形だけの夫ラドヤードとばったり出くわしてしまう。
美しく成長した妻を目にしたラドヤードは一目でイリスに恋をする。
「美しいひとよ、貴女は一体誰なのですか?」
『・・・・オメエの嫁だよ』
執着されたらかなわんと、逃げるイリスの運命は?
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる