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【番外編】
負け犬の遠吠え・ガヴィーノ 【後編】
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「泣き止んだ?」
「……ごめん」
「いいよ、泣きたい時は思いっきり泣いちゃった方がいいんだよ。体が求めてるの。心がパンクしないようにね」
「……お前は……」
「ん?」
「俺じゃなくても拾ったのか?」
なんだ、この質問は。馬鹿か?
「ふふっ、何それ。そうねぇ、こんなに毛艶のいい高貴なワンコは中々落ちてないんじゃない?つい、放っておけなかったわ。
普段はこんな不用心なことしないわよ?これでも女のひとり暮らしなんだから。その素敵な容姿を与えてくれたご両親に感謝することね」
父上、母上ありがとうございます。
他に拾いモノは無いらしい。ホッとした。
「さて、どうする?落ち着いたのならそろそろ帰る?」
「え」
「えって。まだ寂しいの?」
まだって何だ。まさか昨日そんなことを言ったのか?俺が寂しいと言ったからここにいることを許してくれたのか。それなら……
「あぁ、兄さんに追い出されて今はひとり暮らしだ。
……寂しいんだ。拾ったから最後まで面倒をみてくれるのだろう?」
「え?!その最後っていつまでよ!」
「だってダリアが悪い。弱っている俺にこんなに優しくするから。
お前との会話は楽しいし、ご飯も美味しい。
……帰りたくないんだ」
顔が気に入ったみたいだから、上目遣いで甘えてみた。
「ちょっと!なんで急にその顔を有効利用しだすのよ!」
「何の事だ?やっぱり……俺なんかが側にいるのは嫌か……」
今度は切なげに顔を伏せる。さっきまで泣いていたから涙ぐんで見えるだろう。
この居心地のいい空間を手に入れる為なら涙くらい流してみせる。というか本当に泣くかも。
「~~っ、もう!二度と自分なんかって言わないで!今度言ったら追い出すから!」
「じゃあ、ずっといていい?」
「……どうしてよ」
「ダリアが欲しいから」
「欲しいって…、何それ」
あれ、言葉を間違えたかな。
だけど、
「ダリアのいる空間はとても息がしやすい。こんなのを味わったら手放せない」
「……ご両親に叱られるわよ。平民の家に転がり込むなんて。あなたは貴族でしょう?」
「ほとんど追い出されてるから平気」
「ベッドが一つしかないんだけど!」
「え、それって誘ってる?」
想像してみる。……うん。全然大丈夫。なんなら嬉しい。
「さ、誘ってないわよ!」
「じゃあ、嫌?俺はダリアが欲しいけど嫌な事はしない。……たぶん」
「たぶん?!駄目じゃん!というか、いつの間にそんなことまで込みの話になったの?!」
困ったな。普通だと思っていたダリアがめちゃめちゃ可愛く見える。これが恋か。
……あれ?そうか。恋だったのか。
「ダリアが好きだ」
「会ったばかりだよ?!一日は早すぎるよ!」
「だって次の恋は大切にしろってダリアが言ったんだ」
「言ったね!言ったけどさぁ」
「ダリアは?どうして俺にここまで優しくてしてくれたんだ?」
ずっと聞きたかった。
今までこんなことしなかったと言っただろ。
じゃあ、どうして?
席を立ってダリアの側に移動する。逃げられる前に足元に跪いて彼女の手を握った。
「答えを聞くまで離さないから」
容姿は活用しまくる。彼女の目を見つめたまま、そっと指先に口付けた。
可愛い。真っ赤になってる。
「だって、あなたが……」
「俺?」
「私に愛して欲しいって言ったんじゃない!」
え……?
「ベッドで私のこと抱きしめながら、愛してって寂しいって!
私は!今まで必死で勉強してやっと店を始めて!ようやく軌道に乗ってホッとしたのが最近で恋とかそんなの全然する暇も余裕も無くて!
だからまったく男性に免疫が無いのに、あなたみたいな格好いい人に抱き締められながら何度も愛を請われたらドキドキしちゃうじゃない!酔っ払いのくせにいい香りするし!なんなのよ!」
……恥ずかし……でもそれで絆されてくれるなら。
「俺はダリアの側にいたい。
俺は駄目な男なんだ。ダリアは俺を美化してる。中身は本当にろくでもないんだ。思うだけで言葉にも行動にも表せない臆病者だし、卑怯なことだってしてきた。
でも、ダリアがそんな卑怯者の中のとっても小さい正しい俺を見つけてくれた。
……凄く嬉しかったんだ。こんなの好きになるに決まってるだろう?
最初は顔だけでもいい。いつか中身も好きだって言ってもらえるように頑張るから。
だからお願いだ。側にいさせてくれ」
こんなに必死に何かを望んだのは初めてだ。
ダリアは呆れただろうか……
「……別に。私は優秀な人が好きなわけじゃないわ。あなたの、その不器用なところは正直嫌いじゃない。本当に駄目な人は自分の駄目な所なんて気にしないよ。
だから。ここにいたいなら、自分を悪く言わないで」
「……いいのか?」
ダリアがお人好し過ぎて心配になる。
「言ったでしょう。誰にでもはしないって。私はあなたに惹かれてると思う。でも一日でなんて無理。だから……友達からでもいい?」
「……ありがとう。本当に好きになってもらえるように頑張るから」
動かないと何も始まらない。モニカの教えてくれたこと。
言葉と行動で示す。これは兄さんから。
自分の恋を大事に。ダリアからの優しさ。
あと足りないのは根性、だっけ?脳みそが筋肉で出来ていそうな発言だよな。
でも、今度こそ諦めたくない。
だからみっともなくても舞台に上がるよ。もう絶対に負け犬にはならない。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
「嘘つき」
「どうして?」
「まだ一週間だよ!手が早い!」
「だってダリアが嫌がらなかったから」
「その顔が!ずるい!」
「ダリアが可愛い。好き。俺を捨てないで」
「あざと可愛いし!上目遣いは止めて!」
「だって好きだろ?」
「もう、大好き!ちょろい自分が憎いわ」
「ダリア好みの顔でよかった」
「……ちゃんと中身も好きよ?」
「……」
「やだ、泣かないでよ」
「愛してる、ダリア」
「……ごめん」
「いいよ、泣きたい時は思いっきり泣いちゃった方がいいんだよ。体が求めてるの。心がパンクしないようにね」
「……お前は……」
「ん?」
「俺じゃなくても拾ったのか?」
なんだ、この質問は。馬鹿か?
「ふふっ、何それ。そうねぇ、こんなに毛艶のいい高貴なワンコは中々落ちてないんじゃない?つい、放っておけなかったわ。
普段はこんな不用心なことしないわよ?これでも女のひとり暮らしなんだから。その素敵な容姿を与えてくれたご両親に感謝することね」
父上、母上ありがとうございます。
他に拾いモノは無いらしい。ホッとした。
「さて、どうする?落ち着いたのならそろそろ帰る?」
「え」
「えって。まだ寂しいの?」
まだって何だ。まさか昨日そんなことを言ったのか?俺が寂しいと言ったからここにいることを許してくれたのか。それなら……
「あぁ、兄さんに追い出されて今はひとり暮らしだ。
……寂しいんだ。拾ったから最後まで面倒をみてくれるのだろう?」
「え?!その最後っていつまでよ!」
「だってダリアが悪い。弱っている俺にこんなに優しくするから。
お前との会話は楽しいし、ご飯も美味しい。
……帰りたくないんだ」
顔が気に入ったみたいだから、上目遣いで甘えてみた。
「ちょっと!なんで急にその顔を有効利用しだすのよ!」
「何の事だ?やっぱり……俺なんかが側にいるのは嫌か……」
今度は切なげに顔を伏せる。さっきまで泣いていたから涙ぐんで見えるだろう。
この居心地のいい空間を手に入れる為なら涙くらい流してみせる。というか本当に泣くかも。
「~~っ、もう!二度と自分なんかって言わないで!今度言ったら追い出すから!」
「じゃあ、ずっといていい?」
「……どうしてよ」
「ダリアが欲しいから」
「欲しいって…、何それ」
あれ、言葉を間違えたかな。
だけど、
「ダリアのいる空間はとても息がしやすい。こんなのを味わったら手放せない」
「……ご両親に叱られるわよ。平民の家に転がり込むなんて。あなたは貴族でしょう?」
「ほとんど追い出されてるから平気」
「ベッドが一つしかないんだけど!」
「え、それって誘ってる?」
想像してみる。……うん。全然大丈夫。なんなら嬉しい。
「さ、誘ってないわよ!」
「じゃあ、嫌?俺はダリアが欲しいけど嫌な事はしない。……たぶん」
「たぶん?!駄目じゃん!というか、いつの間にそんなことまで込みの話になったの?!」
困ったな。普通だと思っていたダリアがめちゃめちゃ可愛く見える。これが恋か。
……あれ?そうか。恋だったのか。
「ダリアが好きだ」
「会ったばかりだよ?!一日は早すぎるよ!」
「だって次の恋は大切にしろってダリアが言ったんだ」
「言ったね!言ったけどさぁ」
「ダリアは?どうして俺にここまで優しくてしてくれたんだ?」
ずっと聞きたかった。
今までこんなことしなかったと言っただろ。
じゃあ、どうして?
席を立ってダリアの側に移動する。逃げられる前に足元に跪いて彼女の手を握った。
「答えを聞くまで離さないから」
容姿は活用しまくる。彼女の目を見つめたまま、そっと指先に口付けた。
可愛い。真っ赤になってる。
「だって、あなたが……」
「俺?」
「私に愛して欲しいって言ったんじゃない!」
え……?
「ベッドで私のこと抱きしめながら、愛してって寂しいって!
私は!今まで必死で勉強してやっと店を始めて!ようやく軌道に乗ってホッとしたのが最近で恋とかそんなの全然する暇も余裕も無くて!
だからまったく男性に免疫が無いのに、あなたみたいな格好いい人に抱き締められながら何度も愛を請われたらドキドキしちゃうじゃない!酔っ払いのくせにいい香りするし!なんなのよ!」
……恥ずかし……でもそれで絆されてくれるなら。
「俺はダリアの側にいたい。
俺は駄目な男なんだ。ダリアは俺を美化してる。中身は本当にろくでもないんだ。思うだけで言葉にも行動にも表せない臆病者だし、卑怯なことだってしてきた。
でも、ダリアがそんな卑怯者の中のとっても小さい正しい俺を見つけてくれた。
……凄く嬉しかったんだ。こんなの好きになるに決まってるだろう?
最初は顔だけでもいい。いつか中身も好きだって言ってもらえるように頑張るから。
だからお願いだ。側にいさせてくれ」
こんなに必死に何かを望んだのは初めてだ。
ダリアは呆れただろうか……
「……別に。私は優秀な人が好きなわけじゃないわ。あなたの、その不器用なところは正直嫌いじゃない。本当に駄目な人は自分の駄目な所なんて気にしないよ。
だから。ここにいたいなら、自分を悪く言わないで」
「……いいのか?」
ダリアがお人好し過ぎて心配になる。
「言ったでしょう。誰にでもはしないって。私はあなたに惹かれてると思う。でも一日でなんて無理。だから……友達からでもいい?」
「……ありがとう。本当に好きになってもらえるように頑張るから」
動かないと何も始まらない。モニカの教えてくれたこと。
言葉と行動で示す。これは兄さんから。
自分の恋を大事に。ダリアからの優しさ。
あと足りないのは根性、だっけ?脳みそが筋肉で出来ていそうな発言だよな。
でも、今度こそ諦めたくない。
だからみっともなくても舞台に上がるよ。もう絶対に負け犬にはならない。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
「嘘つき」
「どうして?」
「まだ一週間だよ!手が早い!」
「だってダリアが嫌がらなかったから」
「その顔が!ずるい!」
「ダリアが可愛い。好き。俺を捨てないで」
「あざと可愛いし!上目遣いは止めて!」
「だって好きだろ?」
「もう、大好き!ちょろい自分が憎いわ」
「ダリア好みの顔でよかった」
「……ちゃんと中身も好きよ?」
「……」
「やだ、泣かないでよ」
「愛してる、ダリア」
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