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激怒するヘンリー(ロイドとヘンリー)

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「ロイド、何があった?」

アランに呼び出されて、教室に暗い顔で戻ってきたロイドを見てヘンリーは尋ねた。

「ヘンリー、生徒会長に兵士を動かす権限を剥奪されてしまった」

「どういうことだ?」

ロイドは俯きながら説明したした。

「今まで生徒会で信頼されていたから緊急時にハート家に許可を取らなくても衛兵を派遣することができたんだか、俺が無茶なことをしたせいでこれからはできなくなってしまった」

「お前は何をしたんだ?」

「兵士に骨牌の村からマロンを奪還するように命令した」

ヘンリーは不思議そうな顔をした。

「なぜそれがダメなんだ?遊牧民に拐われたマロンを取り戻すためにやったことだろう?」

「はっきり言って俺もなぜ生徒会長が怒っているのか、分からない」

ロイドは麻袋を被せる危ない方法を使って行ったことは黙っていた。

「まったく訳がわからないな。しかしロイドもお人好しだな。マロンなんてほっとけばいいのに」

ヘンリーは元彼女にまったく未練はないような口ぶりだ。

「そうはいかないよ。彼女もチュースワン国の国民だしね。でも、骨牌を滅ぼそうとした時彼女のせいで作戦がうまくいかないことがあったんだ」

ヘンリーは眉をひそめた。

「なんだと!?マロンは何をやったんだ?遊牧民の忠告を最初にしたのはマロンではないか!」

ロイドはヘンリーの態度をみて調子を取り戻してきたのか、もったいぶった口調でつぶやいた。

「マロンが…、我が国の兵士を骨牌側に取り込んでしまったんだ」

それを聞いてヘンリーは激昂した。

「それじゃあ売国奴じゃないか!」

「売国奴と断定するのは早計かもしれないが、そういう可能性もある。

あと、生徒会長は骨牌のリーダーがフレア・ジョーカーの息子かもしれないからそれを探るために兵士を派遣するのは一旦やめろと言ってきた」

ヘンリーは大好きなロクサネのホラ話を信じているため、怒りにふるえた。

「フレア・ジョーカーっておばあさまに酷い嫌がらせをしていたという悪女ではないか!そんな奴の息子がリーダーならなおさらすぐに滅ぼすべきではないのか?」

「そうだよな。俺には生徒会長が言っていることは理解ができないよ」

ヘンリーは興奮してもはや手がつけられないような状態になってしまった。

「クソっ!ちょっとアランを問い詰めてくる!」
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