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ロイドのこと(マーガレット視点)

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激動の戴冠式は前国王のジョンと新国王のマックスの熱い握手によってひとまず幕を閉じた。

ーー

「マーガレット!」

「ロイド…」

戴冠式から戻るマーガレットをロイドが呼び止めた。

「納得できないよな!君からもスペード家を特例貴族にするように言ってくれないか?」

「…頼んでみますわ。ただ、無理だったらごめんなさい」

「無理って!?何がなんでも特例貴族にしてくれよ!僕らが離れ離れになってしまうかもしれないんだぞ!」

「さっきの様子だと、マロンさんはロイドのことを相当恨んでいる様子でした。

今のマロンさんは新国王のお気に入りですから、マロンさんを納得させることができないと撤回は難しいと思いますわ…」

「クソっ!あの女は何を考えているんだ!!自己中なことばかり言いやがって!」

マーガレットはいつもロイドがマロンの悪口を言うとなぜか心地よかった。
ヘンリーが自分を捨てて選んだ女は非難されて当然だと思っていたからだ。

しかし、今マーガレットは嫌な気持ちになった。

ーー

(回想)

私がロイドとの恋に夢中になっている間にチュースワン王国は遊牧民の骨牌に乗っ取られてしまった。

貴族制度は廃止されるそうだ。
身分制度がなくなればきっと今まで私よりも地位が低かったものは私のことを恨むだろう。

でも、もうなんでもいい。
身分も何もいらない。

そう思っていたのに、

マロンが私を特例貴族に選んだ。

何を企んでいるのかしら?恩を着せたつもり?

と思ったのにマロンはまさかのことを言った。

「私はあなたが努力を重ねた結果完璧な淑女になったと思っています。それでこの先も完璧な淑女として生きていってください」

それは私が1番欲しい言葉だった。

私の所作は生まれつきではない。
相当努力して身につけたものだ。

それをマロンは見ていてくれたのだ。

自分はマロンを避けていたのに。

ーー

マーガレットは自分の努力を認めてくれたマロンのことを悪く言われたくなかった。

「…ロイド、もうマロンさんのことを悪く言うのはやめましょう」

「どうしたマーガレット?自分が特例貴族に選ばれたから考え方が変わったのか?」

「いいえ。私は身分なんてどうでもいい。

ねえ、ロイド…、もしロイドが国外追放になったら私もついて行きますわ。2人でいればどこでもやっていけるは…」

「何を言っているんだ!正気か?」

マーガレットは良い提案ができたと思ったのにロイドがキレたので泣きたくなった。
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