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第148話 押収品

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シルビアさんに大熊宿の地下にある広い倉庫を借り、持ち帰った物を全て広げた。

木箱はもちろん、硬貨の小山や様々な道具も全てだ。



「さて…俺は“鑑定“作業してるから、4人はあの斥候と賞金首をサリーちゃんに届けてクエスト達成報告し終わったら休んでていいぞ。」



「分かりました。」



「りょ、了解なのです!!」



「”鑑定”は頼んだぞー!!」



「よろしくね~!!」



4人を見送り、宝の山に視線を戻した。



『さて…始めますか!!』



俺はショートケーキのいちごは最後に残しておくように、楽しみなことは最後に取っておく派だ。

なので、現在で最も楽しみである硬貨の山と共に置かれていた魔道具の”鑑定”は最後に回そう。



まずは硬貨の枚数を数える作業からだ。

1枚1枚数えていたら日が暮れてしまうので、“アイテムボックス“に収納して数量が表示される収納画面を見た。



『おぉ…!!金貨12枚に大銀貨26枚、小銀貨42枚に大銅貨93枚もあったのか!!』



5人で山分けしても、数時間労働しただけで前世の月収分くらい得られるとは。

まさか盗賊がここまでもっているとは思わず、驚きの色を隠せなかった。



『…謎の木箱を開けてみるか。』



色々な大きさの木箱があるが、最も多いのは一辺90cm程度の立方体のものだ。

子供が入れそうな大きさなので、人身売買を警戒したがそんなことはなかった。



ちなみに奴隷制度は2年前に世界的に撤廃されたらしい。

だが奴隷商館や裏奴隷市を全て潰すことは難しく、今でも少し残っているという。



それはさておき、まずはひと際小さな箱4つと大きな箱2つの計5つを開封した。



小さな箱には大きな宝石のついたネックレスとサークレット、指輪とイヤリングが入っていた。

バフやデバフの特殊効果は付与されていないようで、ただの装飾品だ。



『売ったら高値が付きそうだな!!』



大きな箱には解体した魔物素材がぎっしりと詰まっていた。

食料保存庫にあれだけの食料があり、薄々勘付いていたので驚きはない。



『クエスト数回分はありそうだな。C、Dランク魔物の素材が多いし…4人にあげた方が良いな。』



最後に立方体の箱を9つ開封した。

7つは全て木材や石材といった建築材料で、残り2つは道具と紙の山だった。

紙は邪神教関連で他の組織と連絡を取った形跡のようなので、サリーちゃんに提出するのが良いだろう。



大量の建築材料と道具があるということは、やはりあの盗賊団はDIYが趣味だったらしい…

あまり期待したものが入っていなかったので残念だ。



『次は道具を“鑑定“…いや、調べるまでも無いな。』



そこには壁登りの道具や建築道具、拷問器具など本当に様々な道具があった。

盗賊は拠点を構える場所と襲撃の立ち回りが大事なので、おそらくそのための道具なのだろう。



どれも使い込まれているようだが、まだ寿命は長そうだ。

せっかくなので、これらの道具は俺がもらって有効活用してやろう。



『…しかしこんなに大量の道具をどうやって持ち運んだんだ?』



その疑問は次に“鑑定“した、道具の中に混ざっていた魔道具によって解決された。

そう、それはアイテムボックスの魔道具である。



念のために言っておくが、この魔道具はダンジョンの深い部分でごく稀に発掘される程度の希少で高価なものだ。

商会で普通に買おうとしたら金貨50枚(日本円にして5,000,000円)は下らないだろう。



中身を見てみると、今は土がパンパンに入っていた。

おそらく土を収納しながら地下室を掘っていたのだろう。



『贅沢な使い方だが効率的だな。…さて、最後に魔道具を”鑑定”するか!!』



手元に紙とペンを用意し、1つ1つ丁寧に書き記していった。



数十分後



『…ふぅ。これで全部だな。』



「終わったかー??」



「ああ、ちょうど今終わったところだ。」



「おぉ~!!早速見させてもらうよ~!!」



4人と交代するようにして俺は休憩に入った。

とはいっても、壁に寄りかかって休んでいるだけだ。



「水を無限に出す坪の魔道具…ですか?」



「こ、こっちはどれだけ食べても太らない指輪…なのです?」



「ああ。」



見つかったのは以下の16個だ。

1.アイテムボックス:50kg分まで収納できる。

2.無限水源の壺:壺に無限に水が溜まる。

3~6.暴飲暴食の指輪×4:これを付けるとどれだけ飲み食いしても全く太らない。

7.言語理解の片眼鏡(人族語):これを付けると大陸共通語が読める。

8.言語理解の片眼鏡(妖精語):これを付けると妖精語が読める。

9.言語理解の片眼鏡(悪魔語):これを付けると悪魔語が読める。

10.言語理解の片眼鏡(精霊語):これを付けると精霊語が読める。

11.言語理解の片眼鏡(魔族語):これを付けると魔族語が読める。

12.価格看破の眼鏡:これを付けると物品の価格が分かる。

13~16.結界展開の石×4:ある程度のダメージを受けるまで周囲に結界が展開され続ける。なお、結界が壊れるとともに石が砕け散る。



結論から言うと、かなりアタリだ。

どれも有用性が高く、今後の冒険者生活に大きく影響することだろう。



「こ、これいただいていいですか!!」



「ボ、ボクも!!」



「オレも!!」



「あたしも!!」



「あ、ああ。いいぞ。」



物凄い勢いで4人が欲したのは暴飲暴食の指輪だった。

やはり多くの女性が自身の体型を気にするのはどの世界でも一緒らしい。



それから賞金首の提出報酬を含めた硬貨を山分けし、見つけた道具の使い道を決めた。

装飾品や使わない武器、魔物素材や建築材料等要らないものは全て売却することになった。



俺がもらったのは食料と様々な道具、アイテムボックスの魔道具、無限水源の壺、価格看破の眼鏡、結界展開の石×2個だ。

欲しかったものが全て手に入ったので、鼻歌を歌うほど高いテンションで水浴びをしに行った。
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