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好きになれない1
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「しょっぱなからバタバタでごめんね。日和くん」
玄関から入ってすぐの右手側。子どもがつくったと思しき「スタッフルーム」のプレートがかかっているドアを引いた先は、小さな洋室だった。パソコンの置かれた横並びの二つの机と、天井まで届きそうな本棚。
ひとまずおいで、と通された部屋で、日和は慌てて頭を下げた。
「あ、いえ。その。改めまして、よろしくお願いします。K大学教育学部の三年で、日和と言います。ここのことは塩見さんの紹介で知って……」
「あぁ、そういや、塩見さんの後輩なんだったっけ。こちらこそ、今日はありがとう。お世話になります」
短く返された一礼は、ぴんとしていて、どこか体育会系の人間の匂いがした。
「それと、……あ、ごめん。まだ自己紹介してなかったね。真木です。一応、ここの正職員で、火曜日は優海さん――代表がいないから、わからないことがあれば俺に聞いてくれたら良いから」
優しい言葉にほっとしてこくりと頷く。ついでに、学生ボランティアの人かもしれないと考えていた疑念も晴れる。後半もしっかりと顔に出ていたのか、真木と名乗った青年が苦笑を零した。
「大学は数年前に卒業してます、これでも」
「あ、いや、……その、こういうところの正職員って、もっと年配の方が多いイメージだったので」
「それはそうかもね」
まったくの日和の勝手な推測だったのだが、真木はさらりと受け流した。
「そもそもとして、正規のスタッフ自体があまりいない業種だし。運営できてるのは、日和くんたち学生ボランティアのおかげだな」
「はぁ」
「火曜日は特に人手が足りてなくて。だから、日和くんが来てくれて、本当に助かった。ありがとうね」
笑うと雰囲気が途端に幼くなって、とっつきやすくなる。得なタイプだなぁ、と少し羨ましく思いながら、日和は曖昧に微笑んだ。第一印象ばかりが良く、中身を知れば知るほどマイナスと評される自分とは正反対だ。
ドアを飛び越えて聞こえてくる子どもたちの声が一段と大きくなった。なにか盛り上がることがあったのかと想像すると微笑ましいような気もする。よくわからないが。彼の視線が声を追うように動いて、日和に戻る。真木の身長が低いことはないのだろうが、長身の日和より頭半分ほど低かった。
「ちなみに、さっき、日和くんが捕まえてくれたのが、今のうちの最年少で、小学四年生。暁斗っていうんだけど、みんな『あき』って呼んでる。ここに通い出してからちょうど半年くらいかな」
「小四」
「年より幼く見えてたんでしょ。自分の学年を言いたがらない子もなかにはいるから、本人が自分から言わない限りは聞かないほうがいいかもね」
日和は無言のまま何度も頷いた。聞いておいてよかった。お名前は? という質問の次に尋ねただろう未来が簡単に予見できる。
「大体いつも十人くらい来るんだけど。昼からやってくる子もいるから、午前中から来ているのは六人くらいで、――あきを除いたら、みんな中学生かな」
「はい」
「それで、午前中は、勉強会の名目で、各々のやりたい勉強をしてるんだけど。日和くん、任せてもいい?」
「はい?」
「だから、勉強。学校の教科書範囲から逸脱するようなことはしてないし、日和くんなら大丈夫な範囲だと思うんだけど」
なにか問題ありますかと言わんばかりに首を傾げられて、日和は盛大に焦った。塩見がどうだったのかは知らないが、同じ教育学部の後輩だからと言って過大に期待されても困る。
「あの、真木さん」
「ん? なに?」
「俺、その、本当にこういったボランティアははじめてで。学習支援のボランティアとかも一切したことはなくて」
「あぁ。大丈夫、大丈夫」
軽く請け負われて、なんだ、そこまでの期待はされていなかったのか、と日和はほっとした。そうだよな、まさか初日から俺一人でやれなんて言わないだろう。
「誰だって、最初ははじめてだからね」
微笑を浮かべたまま、ぽんと肩を叩かれた。そのまま横を通り過ぎた彼の手がドアノブを回す。大きくなった声が耳に流れ込んでくる。
「……え」
一歩遅れて、「はじめてだから、がんばろうね。俺は手伝わないけど」と言われたのではないかと気付く。真木さん、と呼び止めようと思ったときには、すでに襖が引かれていた。
「勉強、始めるぞー」
十畳ほどの部屋の中心。大きな座卓を囲んでお喋りに興じていた子どもたちが、一斉に真木のほうを見る。
「今日は日和くんが見てくれるから。ちゃんと自分のやるところは自己申告すること。俺の所為だけど、いつもより開始が十分くらい遅れてるから。早くおいで」
「まきちゃんは入らないの?」
ボブカットの女の子が発した問いかけに、日和は内心で大きく頷いた。そりゃ、そうだ。会ったばかりの学生ボランティアと取り残されたら、不安にも思うだろう。それなのに、真木はさも当然と首肯した。「入らないよ。日和くん一人で大丈夫だから」
「まきちゃんが言うなら、じゃあいいや」
できることなら、もう少し粘って欲しかった。そんな日和の願望とは裏腹に、少女はあっさりと納得して立ち上がる。リュックから勉強道具を取り出して、足早に真木を追い越すと、奥の襖を開ける。六畳ほどの広さのそこには、座卓がひとつ鎮座している。勉強部屋ということらしい。少女に続いて、次々と子どもたちが机のまわりに着座していく。
「日和くん」
「あ、はい……」
真木に手招かれて、日和は固まっていた身体をぎこちなく動かした。子どもたちの視線に、暑くもないのに掌がじんわりと汗ばむ。誤魔化すように後ろで手を組んで、日和は笑みを浮かべようと試みた。
「はじめまして、日和智咲です。今日から毎週火曜日につぼみにお邪魔させてもらうので、仲良くしてください」
面白みの欠片もない挨拶を終えた日和に、「はーい」とまばらな声が上がる。暁斗少年を入れて男の子が三人に、女の子が二人。……いや、女の子が三人で男の子が二人かもしれない。悩んでいることがバレないように日和は笑みを深くした。
――最近の子って、難しいなぁ。というか、それはさておいたとしても、このあと、どうやって授業に入っていけばいいんだ?
日和が隣に立つ真木をうかがったのとほぼ同時に、彼が踵を返しかけた。
「よし、じゃあ、あとはよろしく」
「え?」
心の底から、うっかりそんな声が出た。「は?」と言わなかっただけ、褒めてほしい。せめて、普段、どういうふうに指導しているのか見せてほしい。ついでに言うなら、日和と生徒たちの間の空気が順調に流れ出すまで同じ空間にいてほしい。
「日和くん、日和くん」
「え、あ、はい」
「なに、それ」
なに、と胡乱な声を出されて、己の手元に視線を落とす。完全に無意識だったのだが、自分の手は去ろうとする真木の袖をしっかと握りしめていた。
心情そのままの行動に赤面しつつ、手を離す。行き場を失った指先をわきわきと動かしているうちに、高い笑い声が響いた。長い黒髪の少女だ。
「日和さんって、なんかひよこみたーい」
「その恵麻の理論だと俺が親鳥になるの?」
「そういうわけでもないけど。でも、まきちゃんはひよこっていうより鶏だよね。怖いもん、顔。名前はかわいいのに」
「日和もひよこも似ていて可愛いよね。ね、ね、日和さん。ぴよちゃんって呼んでいい?」
恵麻と呼ばれた少女の言葉を受けて、日和が少年か少女か悩んでいた子どもが衒いなく笑う。声は少年だが、喋り方や服装は少女だ。
LGBTというやつだろうか。扱いの難しいタイプは、頼むから事前に情報を共有させてほしかった。恨みがましく思いながらも、いいよと頷く。
「わかった、わかった。俺もちょっとここに残るから。ほら、凛音たちも名前を教えてあげて。なんて呼べばいいのか、日和くんもわからないだろ」
日和一人に場を任すことを諦めたらしい真木が音頭を取ってくれて、正直、とてもほっとした。なにもできないな、こいつ、と内心で呆れられていたとしても構わない。
――いやだって、そもそもとして、はじめてのところでいきなり一人とか有り得ないだろ。それに……。
子どもたちととりとめもないことを話している真木の横顔をちらりと盗み見る。この人、俺が変なことを言ったり、なにかしたりしたら、どうするつもりだったんだ?
玄関から入ってすぐの右手側。子どもがつくったと思しき「スタッフルーム」のプレートがかかっているドアを引いた先は、小さな洋室だった。パソコンの置かれた横並びの二つの机と、天井まで届きそうな本棚。
ひとまずおいで、と通された部屋で、日和は慌てて頭を下げた。
「あ、いえ。その。改めまして、よろしくお願いします。K大学教育学部の三年で、日和と言います。ここのことは塩見さんの紹介で知って……」
「あぁ、そういや、塩見さんの後輩なんだったっけ。こちらこそ、今日はありがとう。お世話になります」
短く返された一礼は、ぴんとしていて、どこか体育会系の人間の匂いがした。
「それと、……あ、ごめん。まだ自己紹介してなかったね。真木です。一応、ここの正職員で、火曜日は優海さん――代表がいないから、わからないことがあれば俺に聞いてくれたら良いから」
優しい言葉にほっとしてこくりと頷く。ついでに、学生ボランティアの人かもしれないと考えていた疑念も晴れる。後半もしっかりと顔に出ていたのか、真木と名乗った青年が苦笑を零した。
「大学は数年前に卒業してます、これでも」
「あ、いや、……その、こういうところの正職員って、もっと年配の方が多いイメージだったので」
「それはそうかもね」
まったくの日和の勝手な推測だったのだが、真木はさらりと受け流した。
「そもそもとして、正規のスタッフ自体があまりいない業種だし。運営できてるのは、日和くんたち学生ボランティアのおかげだな」
「はぁ」
「火曜日は特に人手が足りてなくて。だから、日和くんが来てくれて、本当に助かった。ありがとうね」
笑うと雰囲気が途端に幼くなって、とっつきやすくなる。得なタイプだなぁ、と少し羨ましく思いながら、日和は曖昧に微笑んだ。第一印象ばかりが良く、中身を知れば知るほどマイナスと評される自分とは正反対だ。
ドアを飛び越えて聞こえてくる子どもたちの声が一段と大きくなった。なにか盛り上がることがあったのかと想像すると微笑ましいような気もする。よくわからないが。彼の視線が声を追うように動いて、日和に戻る。真木の身長が低いことはないのだろうが、長身の日和より頭半分ほど低かった。
「ちなみに、さっき、日和くんが捕まえてくれたのが、今のうちの最年少で、小学四年生。暁斗っていうんだけど、みんな『あき』って呼んでる。ここに通い出してからちょうど半年くらいかな」
「小四」
「年より幼く見えてたんでしょ。自分の学年を言いたがらない子もなかにはいるから、本人が自分から言わない限りは聞かないほうがいいかもね」
日和は無言のまま何度も頷いた。聞いておいてよかった。お名前は? という質問の次に尋ねただろう未来が簡単に予見できる。
「大体いつも十人くらい来るんだけど。昼からやってくる子もいるから、午前中から来ているのは六人くらいで、――あきを除いたら、みんな中学生かな」
「はい」
「それで、午前中は、勉強会の名目で、各々のやりたい勉強をしてるんだけど。日和くん、任せてもいい?」
「はい?」
「だから、勉強。学校の教科書範囲から逸脱するようなことはしてないし、日和くんなら大丈夫な範囲だと思うんだけど」
なにか問題ありますかと言わんばかりに首を傾げられて、日和は盛大に焦った。塩見がどうだったのかは知らないが、同じ教育学部の後輩だからと言って過大に期待されても困る。
「あの、真木さん」
「ん? なに?」
「俺、その、本当にこういったボランティアははじめてで。学習支援のボランティアとかも一切したことはなくて」
「あぁ。大丈夫、大丈夫」
軽く請け負われて、なんだ、そこまでの期待はされていなかったのか、と日和はほっとした。そうだよな、まさか初日から俺一人でやれなんて言わないだろう。
「誰だって、最初ははじめてだからね」
微笑を浮かべたまま、ぽんと肩を叩かれた。そのまま横を通り過ぎた彼の手がドアノブを回す。大きくなった声が耳に流れ込んでくる。
「……え」
一歩遅れて、「はじめてだから、がんばろうね。俺は手伝わないけど」と言われたのではないかと気付く。真木さん、と呼び止めようと思ったときには、すでに襖が引かれていた。
「勉強、始めるぞー」
十畳ほどの部屋の中心。大きな座卓を囲んでお喋りに興じていた子どもたちが、一斉に真木のほうを見る。
「今日は日和くんが見てくれるから。ちゃんと自分のやるところは自己申告すること。俺の所為だけど、いつもより開始が十分くらい遅れてるから。早くおいで」
「まきちゃんは入らないの?」
ボブカットの女の子が発した問いかけに、日和は内心で大きく頷いた。そりゃ、そうだ。会ったばかりの学生ボランティアと取り残されたら、不安にも思うだろう。それなのに、真木はさも当然と首肯した。「入らないよ。日和くん一人で大丈夫だから」
「まきちゃんが言うなら、じゃあいいや」
できることなら、もう少し粘って欲しかった。そんな日和の願望とは裏腹に、少女はあっさりと納得して立ち上がる。リュックから勉強道具を取り出して、足早に真木を追い越すと、奥の襖を開ける。六畳ほどの広さのそこには、座卓がひとつ鎮座している。勉強部屋ということらしい。少女に続いて、次々と子どもたちが机のまわりに着座していく。
「日和くん」
「あ、はい……」
真木に手招かれて、日和は固まっていた身体をぎこちなく動かした。子どもたちの視線に、暑くもないのに掌がじんわりと汗ばむ。誤魔化すように後ろで手を組んで、日和は笑みを浮かべようと試みた。
「はじめまして、日和智咲です。今日から毎週火曜日につぼみにお邪魔させてもらうので、仲良くしてください」
面白みの欠片もない挨拶を終えた日和に、「はーい」とまばらな声が上がる。暁斗少年を入れて男の子が三人に、女の子が二人。……いや、女の子が三人で男の子が二人かもしれない。悩んでいることがバレないように日和は笑みを深くした。
――最近の子って、難しいなぁ。というか、それはさておいたとしても、このあと、どうやって授業に入っていけばいいんだ?
日和が隣に立つ真木をうかがったのとほぼ同時に、彼が踵を返しかけた。
「よし、じゃあ、あとはよろしく」
「え?」
心の底から、うっかりそんな声が出た。「は?」と言わなかっただけ、褒めてほしい。せめて、普段、どういうふうに指導しているのか見せてほしい。ついでに言うなら、日和と生徒たちの間の空気が順調に流れ出すまで同じ空間にいてほしい。
「日和くん、日和くん」
「え、あ、はい」
「なに、それ」
なに、と胡乱な声を出されて、己の手元に視線を落とす。完全に無意識だったのだが、自分の手は去ろうとする真木の袖をしっかと握りしめていた。
心情そのままの行動に赤面しつつ、手を離す。行き場を失った指先をわきわきと動かしているうちに、高い笑い声が響いた。長い黒髪の少女だ。
「日和さんって、なんかひよこみたーい」
「その恵麻の理論だと俺が親鳥になるの?」
「そういうわけでもないけど。でも、まきちゃんはひよこっていうより鶏だよね。怖いもん、顔。名前はかわいいのに」
「日和もひよこも似ていて可愛いよね。ね、ね、日和さん。ぴよちゃんって呼んでいい?」
恵麻と呼ばれた少女の言葉を受けて、日和が少年か少女か悩んでいた子どもが衒いなく笑う。声は少年だが、喋り方や服装は少女だ。
LGBTというやつだろうか。扱いの難しいタイプは、頼むから事前に情報を共有させてほしかった。恨みがましく思いながらも、いいよと頷く。
「わかった、わかった。俺もちょっとここに残るから。ほら、凛音たちも名前を教えてあげて。なんて呼べばいいのか、日和くんもわからないだろ」
日和一人に場を任すことを諦めたらしい真木が音頭を取ってくれて、正直、とてもほっとした。なにもできないな、こいつ、と内心で呆れられていたとしても構わない。
――いやだって、そもそもとして、はじめてのところでいきなり一人とか有り得ないだろ。それに……。
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