43 / 85
高瀬さんの優しさ
ストーリー43
しおりを挟む
会社社長室(高瀬side)ーー
「失礼します」
いつものように社長室に行き、本日のスケジュール確認を行う。
「分かった」
スケジュール確認が終わると、社長はPCを見ながら仕事をする。いつもと同じ光景だ。
ただ何となく感じる違和感。ケイスケと付き合いが長いせいか、ちょっとした変化に気づいてしまうのだ。明日香ちゃんと何かあったのか?少し探りを入れてみよう。
「社長、お疲れですか?」
仕事をしているケイスケに声をかける。するとケイスケは仕事の手を止め、俺の方を見た。
「いや、いつも通りだが?」
うわぁ、満面の仕事用笑顔……これは何かあるな。
「隠すな隠すな。どうせ明日香ちゃん絡みだろ? 話くらいは聞いてやるよ」
俺は仕事モードをやめて来客用ソファーに座る。ケイスケも社長椅子から立ち上がり、ソファーに座った。
「何もないと言ってるだろう? 明日香とも今までとそんなに変わらない」
変わらない……ねぇ。ってか明日香って呼び捨てで呼んでるのか。それにしても違和感感じたのは気のせいだったか?
「でも何か疲れてないか……あっ、夜頑張り過ぎてるんだろ? 羨ましい奴」
「……何もないって言っただろう」
「…?」
何か変だな。何もない……何もない?
まさか……
「もしかして、明日香ちゃんとまだやってないのか!?」
ケイスケは無言のまま、俯き加減で頭を抱えている。図星か。
「お前、バカじゃねぇの? 好きな女と一つ屋根の下にいながら手ぇ出さないって信じられない」
「いや、お前その言い方」
「うわぁビックリしたわ俺。何で? 何で手ぇださねぇの?」
「うるせぇな、ブレーキがかかるんだよ。アイツ、まだ経験ないんだ。つい、俺で良いのかって……っていうか何でお前にこんな話をしなきゃいけないんだ」
こんな時まで真面目根性出すなんて、なんて損な性格なんだ。
「じゃあ、俺が明日香ちゃんもらおうか」
冗談交じりで言ったのに、ケイスケの顔が鬼の形相になった。怖い怖い。マジで冗談通じない奴だな。
「冗談だって。でもさ、明日香ちゃん気にしてるんじゃない? 何で何もしてくれないんだろうって思ってるぞ、きっと」
「……はぁ、タイミングが分かんねぇ」
ケイスケのため息交じりの一言に俺は思わず吹き出してしまった。それなりに経験豊富な奴が中坊みたいに悩んでいる。まぁそれだけ明日香ちゃんを大事にしてるって事だろうけど。
「まぁ、俺から一言アドバイスをするなら……何も考えるな、本能のままに行動せよ。じゃあまた後で来るよ、社長様」
それだけを言い残して社長室を後にした。
社長室から秘書課に戻る途中、携帯から電話をかけた。相手は明日香ちゃんだ。
「もしもし、明日香ちゃん」
「はい、どうしました?」
「今日、晩御飯食べに行ってもいい?」
「いいですよ。食べたいものはありますか?」
「何でもいいよ。じゃあケイスケと一緒に帰ってくるから」
「はい、お待ちしてます」
会話終了。さて、明日香ちゃんはどんな様子だろう。
そして夜 ーー
「お邪魔します。ごめんね明日香ちゃん、突然来ちゃって」
「気にしないで下さい」
明日香ちゃんは笑顔で迎えてくれた。相変わらず可愛い。
明日香ちゃんが食事の支度をしてくれてる間、俺はケイスケの部屋で仕事の話をしていた……が、仕事が終わってまで仕事の話をしたくないので早々と明日香ちゃんのところへ逃げた。
「手伝うよ」
「ありがとうございます」
明日香ちゃんが盛り付けた皿をテーブルへ運ぶ。見た感じ明日香ちゃんは普通な感じだがあんまり気にしてないのか?
「明日香ちゃん、毎日楽しいかい?」
「はい、あっでも……」
「でも?」
「い、いえ……何でもないです」
そう言ってまた皿に盛り付けを始める。でもよく見るとほっぺが少し赤くなってる。やっぱりデリケートな問題だから俺には話難いか。
「何? 気になるじゃん。俺は気にしないから話してみてよ」
「……あの、私ってやっぱり女としての魅力がないんですかね?」
手を止めて、恥ずかしそうに小声で話す。ほら見ろケイスケ。やっぱり明日香ちゃん、気にしてるじゃん。
「明日香ちゃんは魅力的な女性だよ。何なら俺は今すぐにでも抱けるけど?」
「……誰が誰を抱くって?」
後ろから怒りに満ち溢れた声がする。恐る恐る振り向くとケイスケが鋭い目つきで俺を見ていた。
「ケイスケいたのか。ほら明日香ちゃん気にしてるじゃん。ちゃんと責任とらないと」
明日香ちゃんに聞こえないようにケイスケの耳元で小声で話した。そして何も言い返せないケイスケをよそに、俺は鼻歌交じりで食事の準備を再開する。
その後はたわいもない話をしながら食事を終え、邪魔者の俺はさっさと帰る事にした。
「じゃあ明日香ちゃん、ご馳走さまでした」
「いえ。またいつでも来て下さい」
「そんな事言ったら明日も来るぞ、コイツは」
「そんなこと言って、明日も俺に来て欲しいのか。じゃあまたね明日香ちゃん、おやすみ」
そしてケイスケのマンションを出た。どうやら二人は大丈夫そうだ。それよりも、俺の失恋の傷はまだ癒えてない……か。二人を見るのは少し辛い。
「よし、帰ってビールでも飲むか」
帰り道、コンビニでビールとつまみを買って帰った。
「失礼します」
いつものように社長室に行き、本日のスケジュール確認を行う。
「分かった」
スケジュール確認が終わると、社長はPCを見ながら仕事をする。いつもと同じ光景だ。
ただ何となく感じる違和感。ケイスケと付き合いが長いせいか、ちょっとした変化に気づいてしまうのだ。明日香ちゃんと何かあったのか?少し探りを入れてみよう。
「社長、お疲れですか?」
仕事をしているケイスケに声をかける。するとケイスケは仕事の手を止め、俺の方を見た。
「いや、いつも通りだが?」
うわぁ、満面の仕事用笑顔……これは何かあるな。
「隠すな隠すな。どうせ明日香ちゃん絡みだろ? 話くらいは聞いてやるよ」
俺は仕事モードをやめて来客用ソファーに座る。ケイスケも社長椅子から立ち上がり、ソファーに座った。
「何もないと言ってるだろう? 明日香とも今までとそんなに変わらない」
変わらない……ねぇ。ってか明日香って呼び捨てで呼んでるのか。それにしても違和感感じたのは気のせいだったか?
「でも何か疲れてないか……あっ、夜頑張り過ぎてるんだろ? 羨ましい奴」
「……何もないって言っただろう」
「…?」
何か変だな。何もない……何もない?
まさか……
「もしかして、明日香ちゃんとまだやってないのか!?」
ケイスケは無言のまま、俯き加減で頭を抱えている。図星か。
「お前、バカじゃねぇの? 好きな女と一つ屋根の下にいながら手ぇ出さないって信じられない」
「いや、お前その言い方」
「うわぁビックリしたわ俺。何で? 何で手ぇださねぇの?」
「うるせぇな、ブレーキがかかるんだよ。アイツ、まだ経験ないんだ。つい、俺で良いのかって……っていうか何でお前にこんな話をしなきゃいけないんだ」
こんな時まで真面目根性出すなんて、なんて損な性格なんだ。
「じゃあ、俺が明日香ちゃんもらおうか」
冗談交じりで言ったのに、ケイスケの顔が鬼の形相になった。怖い怖い。マジで冗談通じない奴だな。
「冗談だって。でもさ、明日香ちゃん気にしてるんじゃない? 何で何もしてくれないんだろうって思ってるぞ、きっと」
「……はぁ、タイミングが分かんねぇ」
ケイスケのため息交じりの一言に俺は思わず吹き出してしまった。それなりに経験豊富な奴が中坊みたいに悩んでいる。まぁそれだけ明日香ちゃんを大事にしてるって事だろうけど。
「まぁ、俺から一言アドバイスをするなら……何も考えるな、本能のままに行動せよ。じゃあまた後で来るよ、社長様」
それだけを言い残して社長室を後にした。
社長室から秘書課に戻る途中、携帯から電話をかけた。相手は明日香ちゃんだ。
「もしもし、明日香ちゃん」
「はい、どうしました?」
「今日、晩御飯食べに行ってもいい?」
「いいですよ。食べたいものはありますか?」
「何でもいいよ。じゃあケイスケと一緒に帰ってくるから」
「はい、お待ちしてます」
会話終了。さて、明日香ちゃんはどんな様子だろう。
そして夜 ーー
「お邪魔します。ごめんね明日香ちゃん、突然来ちゃって」
「気にしないで下さい」
明日香ちゃんは笑顔で迎えてくれた。相変わらず可愛い。
明日香ちゃんが食事の支度をしてくれてる間、俺はケイスケの部屋で仕事の話をしていた……が、仕事が終わってまで仕事の話をしたくないので早々と明日香ちゃんのところへ逃げた。
「手伝うよ」
「ありがとうございます」
明日香ちゃんが盛り付けた皿をテーブルへ運ぶ。見た感じ明日香ちゃんは普通な感じだがあんまり気にしてないのか?
「明日香ちゃん、毎日楽しいかい?」
「はい、あっでも……」
「でも?」
「い、いえ……何でもないです」
そう言ってまた皿に盛り付けを始める。でもよく見るとほっぺが少し赤くなってる。やっぱりデリケートな問題だから俺には話難いか。
「何? 気になるじゃん。俺は気にしないから話してみてよ」
「……あの、私ってやっぱり女としての魅力がないんですかね?」
手を止めて、恥ずかしそうに小声で話す。ほら見ろケイスケ。やっぱり明日香ちゃん、気にしてるじゃん。
「明日香ちゃんは魅力的な女性だよ。何なら俺は今すぐにでも抱けるけど?」
「……誰が誰を抱くって?」
後ろから怒りに満ち溢れた声がする。恐る恐る振り向くとケイスケが鋭い目つきで俺を見ていた。
「ケイスケいたのか。ほら明日香ちゃん気にしてるじゃん。ちゃんと責任とらないと」
明日香ちゃんに聞こえないようにケイスケの耳元で小声で話した。そして何も言い返せないケイスケをよそに、俺は鼻歌交じりで食事の準備を再開する。
その後はたわいもない話をしながら食事を終え、邪魔者の俺はさっさと帰る事にした。
「じゃあ明日香ちゃん、ご馳走さまでした」
「いえ。またいつでも来て下さい」
「そんな事言ったら明日も来るぞ、コイツは」
「そんなこと言って、明日も俺に来て欲しいのか。じゃあまたね明日香ちゃん、おやすみ」
そしてケイスケのマンションを出た。どうやら二人は大丈夫そうだ。それよりも、俺の失恋の傷はまだ癒えてない……か。二人を見るのは少し辛い。
「よし、帰ってビールでも飲むか」
帰り道、コンビニでビールとつまみを買って帰った。
0
あなたにおすすめの小説
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。
翼 うみ
恋愛
父の会社を立て直す交換条件のため、ほぼ家族に身売りされた形で関東最大級の極道・桜花組の次期組長に嫁入りしたジェシカ。しかし母を亡くして以降、義母と義妹に虐げられていたジェシカは実家を出られるなら、と前向きだった。夫となる和仁には「君を愛することはない」と冷たく突き放される。それでもジェシカは傷つくことはなく、自分にできることを探して楽しんでいた。
和仁には辛い過去がありそれ故に誰のことも愛さないと決めていたが、純真で健気なジェシカに段々と惹かれてゆき――。
政略結婚から始まる溺愛シンデレラストーリー。
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる