私のかわいい婚約者【完結】

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26 世界一かわいい私の奥さん

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ジューンブライド

6月の花嫁は幸せになる

婚約を決めて、結婚の日取りをどうしようかと考えていた時、そんな前世の言い伝えを信じて、6の月に結婚したいとカティに言ってみた。

「昔読んだ 異国の小説に 書いてあったんだ。」

そう言うと、

「素敵ですね。私も 6の月が良いです。季節も穏やかで、とっても良いと思います。エリィ、楽しみですね。」

うっすらと 頬を染めて、恥ずかしそうにカティが笑った。

あの時のカティは本当に可愛かったなぁ…

日本では、6月は梅雨の季節で、天気の心配をする所だったが、ここ、モンステラ王国の王都の6の月は1年で、一番爽やかな季節だ。
毎日、柔かい日差しの 青い空が広がり、雨もあまり降らない。
春と夏の間で、暑くもなく、寒くもなく、至る所に花が咲いて、一番美しい季節とも言える。



青い空が広がる今日。
私達は、王都大聖堂で結婚式を上げた。
街中の人が 集まったのかと思うほど、大聖堂の周りには 人々が集まり、私達の結婚を 祝ってくれた。

街中のモルガン商会系列の店で、小さな花を型どった飴のブーケと、祝い酒が振る舞われ、男も女も、老いも若きも、小さな子供達まで、皆んなが笑顔で 私達に手を振ってくれた。

純白のドレスを身に纏い、真っ白な薔薇の花のブーケを手に持って、ニコニコと 嬉しそうに、私を見つめるカティが、とても可愛い!

あぁ、今日から この世界一 可愛らしい女性が、私の妻になるんだ。
そう 思うだけで、嬉しさで胸が爆発しそうだ。
今日の私は、これまで生きてきた中で、一番浮かれている自信がある。

大聖堂から、私達の新居に 戻って来て、披露宴を行い、沢山の人にお祝いを頂いて、ようやく 新郎である私が 開放されたのは、夜の10時を回っていた。
侍従に手伝ってもらって、湯浴みを済ませ、2人の寝室に向かった。

寝室には先に披露宴会場を退出していたカティが、大きな寝台の端に、ちょこんと座って 私を待っていた。

「お疲れ様でした、エリィ。」

「お待たせしました、カティ。」

2人の目が合った瞬間、お互い恥ずかしくなって、顔が赤くなる。

私は、そろそろと リンゴ一個分位の隙間を開けて、カティの隣に腰をおろした。

夜着姿のカティが色っぽくて、目眩がしそうだ。

「あの… カティ、実は 私はこういう経験は初めてで、上手く出来ないかもしれません… こういう時は、男性がしっかりしないといけないのに、すみません。」

なにせ、前世、今世通して、全く女っ気の無かった私だ。
知識はもちろんあるが、カティを満足させられるか、非常に不安だ。
そんな事を グダグダと頭の中で 考えていると、

「わ…わたしも…こんな経験 初めてなので、上手く出来ないかもしれません。でも、エリィも初めてだって聞いて、今、私はとっても嬉しいし、とっても幸せです。エリィの全部が 私のものだって 自惚れても良いですか?」

何?それ、何なの?

「もちろんです!それなら 私も、カティの全部が私のものだって自惚れます!」

そう言って、カティを引き寄せ、抱きしめた。

唇を合わせ、カティの髪を手櫛ですいて、あらわになった首筋にもキスをする。

天蓋を閉じて、2人だけの世界に閉じこもる。

2人の影が重なって、拙い愛撫をおぎなうように、お互い何度も、

「愛している」

と呟いて、私達は一つになって、愛を確かめあった。







嬉しい、恥ずかしい あの夜から3ヶ月が過ぎた。

今、カティのお腹には、私達の子供がいる。

今、2ヶ月になるらしい。

「おはよう。私達のかわいいジュニア。」

カティのペッタンコのお腹に手を当てて、少し魔力を流してみる。
確かに、カティと、もう一つ 別の魔力を感じる。

カティは、うっとりと お腹に当てた私の手に 自分の手を重ねて、幸せそうに微笑んでいる。

聖母?女神?

カティが 綺麗すぎて、ドキドキか止まりません!

「エリィ?」

「何?カティ。」

「大好きよ。私の素敵な旦那様。」

「私も 愛しているよ。世界一かわいい私の奥さん。」







               完






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ここまで、読んで頂いてありがとうございます。
これで、本編完結となります。
WEBコンテンツ大賞にエントリーしていたこともあって、今月中に終わらせたいという気持ちがありまして、最後の方は、チョットバタバタでした。まだ、リリの恋とか、アリシア様の恋とか、考えてた事があるので、番外編がかけたらいいなと思ってます。
エールを送ってくれた皆様、お気に入り登録をしてくれた皆様、拙い作品をここまで読んで頂いて 本当にありがとうございました。ⅴⅴ














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