転生したら竜王様の番になりました

nao

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エレノア様

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王宮で暮らし始めて そろそろ1ヶ月、いつものように、王様の膝の上で書類のチェックをしていたら、物凄い美人が執務室にやって来ました。

サラサラとした長い黒髪をポニーテールにして、スラリとしたその身に真っ白な騎士服を纏い、キラキラ輝く黒曜石の瞳は 真っ直ぐに王様を見つめています。
その瞳を、一度 私に向け、不思議そうに目を細め、すぐさま王様に視線を戻して、帰還の挨拶をされました。
とっても美しい 男装の麗人です。
1ヶ月程 火の国へ外交の為、出張していたそうです。

「エレノア、ご苦労だった。朱雀女王様は元気だったか?」
「はい。久しぶりにお会いしましたが、とてもお元気そうでしたよ。ご夫婦の仲も相変わらず、よろしくて、当てられてしまいましたわ。」
「そうか、長旅で疲れただろう。急ぎの案件が無ければ、報告書は来週で構わない。今週はゆっくり休むといい。下がっていいぞ。」
「はい、ありがとうございます。あの···陛下?」
「うん?何だ?」
「あの···そちらのお子様は一体?」
いつものように、王様の膝の上で、お仕事のお手伝いをしている私を見て、その美女が 王様に私の事を訊ねました。

「あぁ、エレノアは始めてだったか、紹介しよう。彼女はミラ-スミス、私の【番】だ。」
ニッコリと嬉しそうに、王様が私の事を紹介した。
「は?!」
美女は一瞬にして、固まってしまいました。
「ミラ、彼女はエレノア。私の側近だ。この1ヶ月、外交の為、特使として、火の国へ行ってもらっていたんだ。」
王様の説明の間も、エレノア様はこれ以上無い程驚いた様子で、私を見つめています。

あーーー物凄くびっくりしていますね。
そりゃそうですよね、幼女ですもの。いきなり【番】って言われても、訳わかりませんよね。
私を紹介しながら、私の頭を撫でていた王様は、私の淡銀紫の髪を丁寧に一房取り、その髪に、愛しげに口付けしました。

いやーーーやめてください!恥ずかしい!
きっと!今、私の顔は真っ赤でしょう。
それを観ていたエレノア様はハクハクと声も出ません。
「へい か···いま 【つが い】と、おっしゃいましたか?」
やっとの事で、喉の奥から声を絞り出したエレノア様が信じられない物を見るように私を見つめています。

「ああ、そうだ。」
私の髪をいじるのに夢中になっている王様は、エレノア様の様子に気付きません。
「あの···まだ、小さいお子様のようですが···」
「うん、今5才だ。あと、10年もすれば美しい淑女に成長するだろう。」
そう言って、とろけるような笑顔で私を見つめる王様。
お願いです、恥ずかしいからやめてください。

私は王様の膝の上から降ろしてもらい、淑女らしく、美しい所作でカーテシーをして、エレノア様に挨拶をしました。
「ミラ-スミスと申します。どうぞ、よろしくお願い致します。」
はっとして、エレノア様も、私に自己紹介してくれます。

「初めまして、エレノア-ペールジェントと申します。陛下の側近をしております。どうぞ、お見知りおきを。」
そう言って、凛々しい騎士の挨拶を返してくれました。
なんとか私を見て、微笑もうとしているけれど、少しお顔が引き攣っているように見えるのは、気の所為でしょうか?
挨拶を終えると、王様にお休みをもらったエレノア様は、帰って行かれました。
何だか、足取りが、覚束ないように見えたけど大丈夫かしら?

その日の夜、部屋に戻った私は、父様と母様に、今日 お会いしたエレノア様の事を話しました。
なんと、エレノア様は、学園時代の母様のライバルでもあったそうです。
「でも、大丈夫かしら?」
頬に手を当て、コテリと首をかしげながら 母様が言いました。
「何がですか?母様。」
私が訊ねると、
「エレノアさんは、昔から陛下の事が大好きだったから、陛下の事が好きすぎて、未だに独身を貫いているって、噂されているし、いきなり【番】が見つかっただなんて、ショックで倒れてないかしら?」
大丈夫かしら?と心配する母様。
でも、私はそれどころではありません。
王様を好きな人だなんて···
私ってば、ただの邪魔者じゃないですか。
あんなキレイな大人の女性の恋のライバルだなんて、ムリ、ムリ、ムリ。
どうすればいいの?
母様、そんなの聞きたく無かったです~~~


◇ ◇ ◇


その頃、ペールジェント侯爵家では、

バン!ドン!ガラガラ!ガシャーン!ガシャーン!

美しい黒髪を振り乱し、瞳に怒りを滲ませて、部屋中の物を次々と、破壊してゆくエレノア様がいました。
「【番】ですって?! あんな子供が!!!」
手に持ったガラスのカップを思い切り壁に叩きつけます。
「許さない!許さない!許さない!あの子供! しかもハンナ-スミスの娘だなんて。絶対 許さない!殺してやる···」

その日、夜遅くまで、彼女は部屋を破壊し続けました。
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