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婚約白紙
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「え!? お父様? 今 なんて? あの 良く聞こえなかったんですが…」
父の執務室に呼び出され あり得ない話を聞かされる。
眉間にシワを寄せ 苦虫を噛み潰したような顔をして、お父様が言う。
「今日、ビクター(ヴィトゲンシュタイン公爵)と共に王宮に呼び出された。」
「おじ様もですか?」
「お前達の婚約を白紙にするようにと…」床を睨みつけて 悔しそうにお父様が言う。
信じられない言葉を聞いて、お父様に問う。
「理由をお聞きしても?」
「お前を オルランドの王太子妃とするそうだ。」
「待ってください!オルランドには 第一王女が嫁ぐ事が決まっていたのではありませんか?婚姻による同盟を結んでいると記憶しておりますが…」理由がわからない。
「王女では不足だと判断したそうだ。」忌々しげにお父様が言う。
「そんな!!私だって婚約中です!」
「だから 白紙だ。無かった事にされた。」
「横暴です!そんな事。おじ様も受け入れたのですか?こんな勝手な話…」
「王命を出された。」
「王命!?」
「レミリア、お前はオルランドの王太子 ノアール殿下の妃に、そしてレオはヴァレンティア王女と結婚させられる。」
「そんな…そんな事 簡単に通るはず…」胸が苦しい うまく声が出てこない…
「それ故 王命なのだ、陛下は王女に甘いからな…」
私はどんどん目の前が真っ黒に塗り潰されてゆくような感覚に陥っていた。
「レミリア、すまない。お前を犠牲にする私を 許してくれ。確かに、あんな王女では オルランドに出すのをためらわれる。下手をすれば あの大国に 侵略のきっかけを与える事になるかもしれない。オルランド相手では我が国はひとたまりも無いだろう…」
「そんな…ひどい!!」涙が溢れる。
「レミリア…」お父様の胸に抱きしめられる。嗚咽が止まらない。
「1ヶ月後、お前は この国を離れオルランドへ向かい、王太子殿下と婚約を結ぶ事になる。そのまま王宮入りし、王太子妃教育、そして 王妃教育を受けさせられる。一刻も早くお前をこの国から追い出したいようだ。」
絶望で目の前が真っ暗になる。
「レオに 会いたい…」
「無理だ。王家に影を付けられた。大国の王太子妃になる大切な身だからと…いわゆる監視だ。お前とレオを会わせないようにする為だろう。」
「そんな…このまま別れるなんて嫌です!酷すぎる!」
「レミリア 堪えてくれ、もう学園にも行かなくていい。あちらに行くまで屋敷から出る事は許さない。」
「お父様!!」私は泣きながらレオに会わせてとお父様に縋りついた。
「ジョージ!」お父様が扉の外に控えていた執事を呼ぶ。
「はい。旦那様。」侍女を2人引き連れて、執事のジョージが部屋に入って来た。
「レミリアを部屋へ!」
「さぁ、お嬢様 参りましょう。」
2人の侍女に 両脇を抱えられるようにして、部屋に戻された。
「レオに会いたい…」
「お嬢様…」
「お願いよ アン。このまま別れるなんて嫌よ!」アンは小さな頃から何時だって私の味方だ。
王家の見張りを掻い潜って、レオに会うにはどうすればいいか…
それから私は、侍女達の協力で なんとかレオと 連絡を取った。
レオにも影が付けられていて、自由を奪われているようだ。
既に王女と婚約させられたと手紙に書いてあった。
もう どうにもならない。
なんとかレオと会うために 侍女のアンに協力してもらって、屋敷の外へ出る計画を立てた。
非常用の秘密の抜け道を使って 屋敷の外に出た。
髪をまとめて、カツラを付け、男の子のような格好をして表に出た。
辻馬車に乗って、待ち合わせ場所に向かう。
間違えないよう、しくじらないように、今日の為に侍女達と 入念に、何度も打ち合わせをした。
落ち合う場所は アンの実家。
昼間、アンの家族は 仕事や学校に行っていて 誰もいない。
アンに家の鍵を借りて、彼女の家に向かう。
怪しまれないように、堂々と鍵を開けて中にはいった。
しばらくすると、ノックの音がした。
ドアを開けると 変装したレオがいた。
素早く家の中に入り、私を抱き締めてくれる。
涙が溢れる。
「レミィ、会いたかった…」
「レオ、私も…」レオの背に手を回し、しっかりと抱きしめ返した。
言葉が出ない。
私達は、ソファーに座り、寄り添って、手を繋ぎ、ただ 黙って、お互いの体温を感じていた。
あまり 時間がない。もうすぐ 学校からアンの弟達が 帰ってくる。
「レオ」私は 意を決してレオに話しかけた。
「レオ 最後にお願いがあるの。」
「レミィ 何?」そう言って、私の瞳を覗き込む。
「レオと キスしたい。初めてのキスはレオがいい。お願い…」
「レミィ…」
レオの手が 私の頬を包み込み ゆっくりレオの顔が近付いて来る。
(あぁ レオの瞳 やっぱりきれい…)
私だけを見つめてくれる この水色の瞳が大好きだった。
唇にレオの唇が重なる。
わたしは そっと目を閉じた。
触れるだけだったキスは、少しずつ、少しずつ熱を持って、深いものに変わってゆく。
お互いの熱を分け合うように 舌を絡ませ、まるで食べられるようなキスをする。
どのくらいの間 そうしていただろうか…
玄関の方が騒がしくなり、アンの弟達が 帰ってきたようだ。
私達は、キスの始まりの時のように、そっとお互いの唇を離した。
(あぁ これで レオとは本当にお別れなんだわ…)
彼の腕の中で涙を流しながら レオに「ありがとう…」とお礼を言った。
「レミィ たとえ離ればなれになっても、他の誰と結婚しても、私の愛する女は、レミィだけだ。一生、死ぬまで レミィだけを愛してる。」
「レオ。私も あなたの事忘れない。たとえどんなに離れてもあなたを愛してる。」
もう一度 彼を抱き締める。
そして 私達はアンの家を後にした。
10日後 私は オルランドに向かう馬車の中にいた。
もう ずいぶん王都から離れたように思う。
馬車の外から声をかけられる。
護衛をしてくれている2番目の兄 レスター兄様が丘の上を見るようにうながす。
(あれは…)馬に乗ったレオが見送ってくれている。
(レオ 王家の影を振り切って来てくれたのかな?)又 涙が次から次へと溢れて レオの姿が歪んでしまう。
もっとちゃんと見たいのに…
馬車の窓から身を乗り出してレオに手を振る。
レオの姿が見えなくなるまで、私は手を振り続けた。
父の執務室に呼び出され あり得ない話を聞かされる。
眉間にシワを寄せ 苦虫を噛み潰したような顔をして、お父様が言う。
「今日、ビクター(ヴィトゲンシュタイン公爵)と共に王宮に呼び出された。」
「おじ様もですか?」
「お前達の婚約を白紙にするようにと…」床を睨みつけて 悔しそうにお父様が言う。
信じられない言葉を聞いて、お父様に問う。
「理由をお聞きしても?」
「お前を オルランドの王太子妃とするそうだ。」
「待ってください!オルランドには 第一王女が嫁ぐ事が決まっていたのではありませんか?婚姻による同盟を結んでいると記憶しておりますが…」理由がわからない。
「王女では不足だと判断したそうだ。」忌々しげにお父様が言う。
「そんな!!私だって婚約中です!」
「だから 白紙だ。無かった事にされた。」
「横暴です!そんな事。おじ様も受け入れたのですか?こんな勝手な話…」
「王命を出された。」
「王命!?」
「レミリア、お前はオルランドの王太子 ノアール殿下の妃に、そしてレオはヴァレンティア王女と結婚させられる。」
「そんな…そんな事 簡単に通るはず…」胸が苦しい うまく声が出てこない…
「それ故 王命なのだ、陛下は王女に甘いからな…」
私はどんどん目の前が真っ黒に塗り潰されてゆくような感覚に陥っていた。
「レミリア、すまない。お前を犠牲にする私を 許してくれ。確かに、あんな王女では オルランドに出すのをためらわれる。下手をすれば あの大国に 侵略のきっかけを与える事になるかもしれない。オルランド相手では我が国はひとたまりも無いだろう…」
「そんな…ひどい!!」涙が溢れる。
「レミリア…」お父様の胸に抱きしめられる。嗚咽が止まらない。
「1ヶ月後、お前は この国を離れオルランドへ向かい、王太子殿下と婚約を結ぶ事になる。そのまま王宮入りし、王太子妃教育、そして 王妃教育を受けさせられる。一刻も早くお前をこの国から追い出したいようだ。」
絶望で目の前が真っ暗になる。
「レオに 会いたい…」
「無理だ。王家に影を付けられた。大国の王太子妃になる大切な身だからと…いわゆる監視だ。お前とレオを会わせないようにする為だろう。」
「そんな…このまま別れるなんて嫌です!酷すぎる!」
「レミリア 堪えてくれ、もう学園にも行かなくていい。あちらに行くまで屋敷から出る事は許さない。」
「お父様!!」私は泣きながらレオに会わせてとお父様に縋りついた。
「ジョージ!」お父様が扉の外に控えていた執事を呼ぶ。
「はい。旦那様。」侍女を2人引き連れて、執事のジョージが部屋に入って来た。
「レミリアを部屋へ!」
「さぁ、お嬢様 参りましょう。」
2人の侍女に 両脇を抱えられるようにして、部屋に戻された。
「レオに会いたい…」
「お嬢様…」
「お願いよ アン。このまま別れるなんて嫌よ!」アンは小さな頃から何時だって私の味方だ。
王家の見張りを掻い潜って、レオに会うにはどうすればいいか…
それから私は、侍女達の協力で なんとかレオと 連絡を取った。
レオにも影が付けられていて、自由を奪われているようだ。
既に王女と婚約させられたと手紙に書いてあった。
もう どうにもならない。
なんとかレオと会うために 侍女のアンに協力してもらって、屋敷の外へ出る計画を立てた。
非常用の秘密の抜け道を使って 屋敷の外に出た。
髪をまとめて、カツラを付け、男の子のような格好をして表に出た。
辻馬車に乗って、待ち合わせ場所に向かう。
間違えないよう、しくじらないように、今日の為に侍女達と 入念に、何度も打ち合わせをした。
落ち合う場所は アンの実家。
昼間、アンの家族は 仕事や学校に行っていて 誰もいない。
アンに家の鍵を借りて、彼女の家に向かう。
怪しまれないように、堂々と鍵を開けて中にはいった。
しばらくすると、ノックの音がした。
ドアを開けると 変装したレオがいた。
素早く家の中に入り、私を抱き締めてくれる。
涙が溢れる。
「レミィ、会いたかった…」
「レオ、私も…」レオの背に手を回し、しっかりと抱きしめ返した。
言葉が出ない。
私達は、ソファーに座り、寄り添って、手を繋ぎ、ただ 黙って、お互いの体温を感じていた。
あまり 時間がない。もうすぐ 学校からアンの弟達が 帰ってくる。
「レオ」私は 意を決してレオに話しかけた。
「レオ 最後にお願いがあるの。」
「レミィ 何?」そう言って、私の瞳を覗き込む。
「レオと キスしたい。初めてのキスはレオがいい。お願い…」
「レミィ…」
レオの手が 私の頬を包み込み ゆっくりレオの顔が近付いて来る。
(あぁ レオの瞳 やっぱりきれい…)
私だけを見つめてくれる この水色の瞳が大好きだった。
唇にレオの唇が重なる。
わたしは そっと目を閉じた。
触れるだけだったキスは、少しずつ、少しずつ熱を持って、深いものに変わってゆく。
お互いの熱を分け合うように 舌を絡ませ、まるで食べられるようなキスをする。
どのくらいの間 そうしていただろうか…
玄関の方が騒がしくなり、アンの弟達が 帰ってきたようだ。
私達は、キスの始まりの時のように、そっとお互いの唇を離した。
(あぁ これで レオとは本当にお別れなんだわ…)
彼の腕の中で涙を流しながら レオに「ありがとう…」とお礼を言った。
「レミィ たとえ離ればなれになっても、他の誰と結婚しても、私の愛する女は、レミィだけだ。一生、死ぬまで レミィだけを愛してる。」
「レオ。私も あなたの事忘れない。たとえどんなに離れてもあなたを愛してる。」
もう一度 彼を抱き締める。
そして 私達はアンの家を後にした。
10日後 私は オルランドに向かう馬車の中にいた。
もう ずいぶん王都から離れたように思う。
馬車の外から声をかけられる。
護衛をしてくれている2番目の兄 レスター兄様が丘の上を見るようにうながす。
(あれは…)馬に乗ったレオが見送ってくれている。
(レオ 王家の影を振り切って来てくれたのかな?)又 涙が次から次へと溢れて レオの姿が歪んでしまう。
もっとちゃんと見たいのに…
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