悲しい恋 【完結】

nao

文字の大きさ
7 / 29

もう一つの結婚式

しおりを挟む
 王女が18才の誕生日を迎えた。
今夜は 王女の成人を祝う舞踏会だ。
今日も私は、王女をエスコートし、王女の横で、作り物の愛想笑いを顔に貼り付け、ただ人形のように王女の隣に立っている。
来月の卒業式が終われば、結婚式が待っている。
逃げ出したい。
(レミィ…)
小さく 口の中で呟いた。
レミィが結婚して、1年が過ぎた。
悪い噂は聞かない。
王太子妃となり、夫婦の仲も良好で、後は世継ぎの誕生を待つばかり。
そんな噂を耳にする。
胸の内にドス黒い物が広がってゆく。
苦しい…
レミィと別れてから ずっと 死んだように生きている。
暗い瞳をして、目の下にクマを作って、顔つきは益々キツイものになっていた。
あの王女は こんな私の何がいいのか、熱に浮かされたように、頬を染めて私の腕に、自分の腕を絡め、グイグイと胸を押し付けて、迫ってくる。
吐き気がする。
せり上がってくるものをなんとか飲み込み、王女とダンスを踊る。
ゆっくりと心が死んでゆく。


王女の誕生パーティーから1ヶ月。
王女と私の結婚式は、眩しいくらいの青空が広がる、素晴らしい天気の日に行われた。
「真実の愛」「世紀の恋」
王女が流した噂に 国民は熱狂し、盛り上がっている。糞食らえだ…
目をつむり、レミィの顔を思い浮かべ、荒れた心を落ち着かせる。
教会から王宮に戻り、王と王妃に無事、調印が済んだことを報告し、結婚披露パーティーで、王女とファーストダンスを踊る。
このあとの初夜の事を考えると、鳥肌が全身を覆う感覚に身震いする。
「レオ様、緊張されているのですか?顔色が悪いですわ。」
私を上目遣いで見つめ、頬を染めている。
王女を見ていると、このまま首を締めてやりたい衝動にかられる。ゆっくりと目を閉じ、かぶりをふって「いいえ、大丈夫です。」
そう答えるのが精一杯だった。
ダンスを踊る事さえ、吐き気がするのに、夜を共にするなんて考えられない。
案の定、私は王女を抱くことは出来なかった。
こればっかりはしょうが無い。私が反応するのは、レミィだけ。
彼女だけが私を男に出来るのだから。
だが、王女は諦めなかった。夜毎私に閨事を強要する。
1ヶ月が過ぎた頃、私は王女に薬を飲まされた…
しおりを挟む
感想 84

あなたにおすすめの小説

【短編】ちゃんと好きになる前に、終わっただけ

月下花音
恋愛
曖昧な関係を続けていたユウトとの恋は、彼のインスタ投稿によって一方的に終わりを告げた。 泣くのも違う。怒るのも違う。 ただ静かに消えよう。 そう決意してトーク履歴を消そうとした瞬間、指が滑った。 画面に表示されたのは、間の抜けたクマのスタンプ。 相手に気付かれた? 見られた? 「未練ある」って思われる!? 恐怖でブロックボタンを連打した夜。 カモメのフンより、失恋より、最後の誤爆が一番のトラウマになった女子大生の叫び。

報われなかった姫君に、弔いの白い薔薇の花束を

さくたろう
恋愛
 その国の王妃を決める舞踏会に招かれたロザリー・ベルトレードは、自分が当時の王子、そうして現王アルフォンスの婚約者であり、不遇の死を遂げた姫オフィーリアであったという前世を思い出す。  少しずつ蘇るオフィーリアの記憶に翻弄されながらも、17年前から今世まで続く因縁に、ロザリーは絡め取られていく。一方でアルフォンスもロザリーの存在から目が離せなくなり、やがて二人は再び惹かれ合うようになるが――。 20話です。小説家になろう様でも公開中です。

殿下!婚姻を無かった事にして下さい

ねむ太朗
恋愛
ミレリアが第一王子クロヴィスと結婚をして半年が経った。 最後に会ったのは二月前。今だに白い結婚のまま。 とうとうミレリアは婚姻の無効が成立するように奮闘することにした。 しかし、婚姻の無効が成立してから真実が明らかになり、ミレリアは後悔するのだった。

実在しないのかもしれない

真朱
恋愛
実家の小さい商会を仕切っているロゼリエに、お見合いの話が舞い込んだ。相手は大きな商会を営む伯爵家のご嫡男。が、お見合いの席に相手はいなかった。「極度の人見知りのため、直接顔を見せることが難しい」なんて無茶な理由でいつまでも逃げ回る伯爵家。お見合い相手とやら、もしかして実在しない・・・? ※異世界か不明ですが、中世ヨーロッパ風の架空の国のお話です。 ※細かく設定しておりませんので、何でもあり・ご都合主義をご容赦ください。 ※内輪でドタバタしてるだけの、高い山も深い谷もない平和なお話です。何かすみません。

嫌われ令嬢とダンスを

鳴哉
恋愛
悪い噂のある令嬢(妹)と 夜会の警備担当をしている騎士 の話 短いので、サクッと読んでもらえると思います。 読みやすいように、4話に分けました。 毎日1回、予約投稿します。 姉の話もこの後に続けて後日アップする予定です。 2024.10.22追記 明日から姉の話「腹黒令嬢は愛などいらないと思っていました」を5話に分けて、毎日1回、予約投稿します。 短いので、サクッと読んでもらえると思います。 妹の話を読んでからお読みいただきたいです。

【完結】おしどり夫婦と呼ばれる二人

通木遼平
恋愛
 アルディモア王国国王の孫娘、隣国の王女でもあるアルティナはアルディモアの騎士で公爵子息であるギディオンと結婚した。政略結婚の多いアルディモアで、二人は仲睦まじく、おしどり夫婦と呼ばれている。  が、二人の心の内はそうでもなく……。 ※他サイトでも掲載しています

こんな婚約者は貴女にあげる

如月圭
恋愛
アルカは十八才のローゼン伯爵家の長女として、この世に生を受ける。婚約者のステファン様は自分には興味がないらしい。妹のアメリアには、興味があるようだ。双子のはずなのにどうしてこんなに差があるのか、誰か教えて欲しい……。 初めての投稿なので温かい目で見てくださると幸いです。

《完結》金貨5000枚で売られた王太子妃

ぜらちん黒糖
恋愛
​「愛している。必ず迎えに行くから待っていてくれ」 ​甘い言葉を信じて、隣国へ「人質」となった王太子妃イザベラ。 旅立ちの前の晩、二人は愛し合い、イザベラのお腹には新しい命が宿った。すぐに夫に知らせた イザベラだったが、夫から届いた返信は、信じられない内容だった。 「それは本当に私の子供なのか?」

処理中です...