悪虐氷姫の幸せな結婚

nao

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花嫁探し-4

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滞在6日目。
王に2人で話したいと謁見を申し込んで2日目、王の執務室にて謁見する事になった。
早速、第二王女と会わせて欲しいと申し込んだ。

「シルビアにですか…」

「えぇ、とても膨大な魔力をお持ちだとか、その力は私の魔力をも凌駕するかもしれないと神殿からも聞いています。ぜひ一度お会いしたい。」

「そうですか…あの子はその膨大な魔力ゆえに離宮に隠すようにして育てて来ました。あの子が生まれたとき、産声と同時に魔力が溢れ、暴走して城中を氷漬けにしました。幸い、その時は怪我をする者もなく、側で護衛として控えていた魔導師団長のおかげで、シルビアの魔力を相殺してくれて事なきを得ました。ですが、その時の事がきっかけであの子の母親は身体を壊し、元々身体の弱かった彼女は、あの子を生んで1年も経たずに死んでしまいました。」

王は昔に思いを馳せ、そこで一度言葉を切った。

「あの子が3歳のときでした。5歳年上のアリシアと喧嘩になってしまい、シルビアがアリシアを魔法で攻撃したのです。アリシアの右手が凍りつき、もう少しでアリシアは片腕を失うところでした。その日を境に私はシルビアに魔導師団長とその妻イレーネ夫人を付け、離宮に閉じ込めたのです。」

王が少し冷えたお茶を一口飲む。
そして、私の目を見て先を続ける。

「あの子の噂をご存知ですか?」

「えぇ…まぁ おおよそは…」

「傲慢、わがまま、人殺し、男好き、全てアリシアが学園で流した噂です。」

「知っていて何故そのままに?」

「アリシアが悪い訳では無いのです。全ては王妃ダイアナのせいなんです。母を亡くしたアリシアを王妃に預けたのがそもそもの間違いでした。あの子はすっかり王妃の人形になってしまった。母を失ったのは全てシルビアのせいだと思い込んで、シルビアの魔力はいずれこの国を滅ぼすかもしれない、来る日も来る日も王妃にシルビアの悪評を吹き込まれ、あの子は洗脳されてしまいました。私が気づいた時にはもう取り返しがつかない程でした。離宮に閉じ込めたのはシルビアを守る為でもあったのです。あの子の母が死んで公務を手助けしてくれる妃がどうしても必要になり、今の第二妃を娶りました。第二妃だけに王妃の苛烈な嫌がらせが向くのを避けるため同時に側妃も1人迎えました。アリシアを王妃から遠ざけ、側妃の元へ預けましたが、アリシアのシルビアに対する態度が良くなる事はありませんでした。」

そこまで言うと国王は、疲れたように目頭を押さえた。

「そこまでそちらの内情を私に打ち明けてもよろしいのですか?」

「シルビアを帝国に連れて行って欲しいのです。どんな形でも構いません。アリシアと王妃がいる限り、この国ではあの子は何時までたっても幸せになれません。」

「陛下…」

「会っていただけますか?私の娘に。」

「ええ、喜んで。」

そして、私は王の案内でそのままシルビア王女の住む離宮に向かったのだ。

シルビア王女が住むという離宮には馬車で向かった。
こんもりとした小さな森の中にその離宮はあった。
こんな寂れた所に…
雀の時の狭い視野ではこんなに寂しい所だとは思わなかった。

離宮のエントランスで執事に迎えられ、サロンに案内された。最低限の使用人だが離宮のいたる所に花が飾られ、温かい雰囲気に包まれていた。
大きな窓から明るい日の射すサロンに案内され、中ではフワフワとした青銀色の長い髪をハーフアップにし、濃い青のドレスを身に纏った少女が私達を出迎えてくれた。

「お久しぶりです、お父様。」

「久しいなシルビア。先月の食事会以来か、変わりはないか?」

「ええ、元気にしておりますわ。」

「今日は紹介したい方がいてな…」

そう言って王が私を振り返った。
私は王の横に一歩を踏み出し、シルビア王女と視線を合わせた。

「はじめまして、私はトルティア帝国のリオネルリード=トルティアと申します。以後お見知りおきを。」

「はじめまして、私はノースウッド王国第二王女、シルビアリリィ=ノースウッドと申します。どうぞよろしくお願いいたします。」

「これは、麗しいレディ。お手をとっても?」

「は…はい」

私は彼女の手を取り恭しく彼女の手の甲に口づけた。
手を取っただけで彼女の膨大な魔力が伝わってきた。

「すごい…」

「えっ?あの王太子殿下?」

「あぁ、失礼しました。あまりの魔力の多さに少し驚いてしまって…」

「も…申し訳ありません。私…」

「いえ、あなたを責めるわけではありません。王女殿下も私の噂をお聞き及びではありませんか?」

「あ…はい…少し…」

「私も母の腹の中にいる時から魔力が多くて神の加護のおかげで魔力に翻弄される事も無く、そのうち魔力制御も覚えましたが、子供の頃は何を起こすか分からないと周りに警戒されていた事もあったのです。少しですがあなたの気持ちも分かるつもりです。」

「リオネル殿、ここでは落ち着いて話も出来ないでしょう、少し二人で庭を散歩して来てはどうかな?お互いを知る時間が必要でしょう。」

「ありがとうございます、陛下。」

「お父様…」

「シルビア、私は先に失礼するよ。次の昼食会を楽しみにしているから。」


王を見送って、私と王女は庭へ出た。
森に囲まれた小さな庭はそれでも色とりどりの花が咲き、良い香りに包まれていた。
花の中に立つ少女はとても噂にある様な悪女には見えなかった。









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