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プロポーズ-1
しおりを挟む【シルビア】
この方がトルティア大帝国の王太子殿下…
初めて王太子殿下を見た印象は「とても綺麗」でした。
魔力に満ちてキラキラと輝く赤金色の髪は長く伸ばして1つに括り、左の肩に流しています。
赤と金の混じる瞳は優しく、温かく、気品あふれる仕草で私の手を取り、エスコートして下さいます。
心臓の音が聞こえそうなほど、私の胸はドキドキしていて上手く言葉が出てきません。
こんなに魔力あふれる方に初めてお会いしました。
でもちっとも怖くありません。
神様の加護を与えられているからでしょうか?
私と違って王太子殿下の魔力はとても温かく、優しく、包み込まれる様な安心感がありました。
「私の魔力の圧は大丈夫ですか?緊張して少し制御が出来なくなっているのですが…不快ではありませんか?」
「だ…大丈夫です。ちっとも不快なんかじゃありません。むしろ包み込まれているようでとても安心します。」
「それは良かった。シルビア王女、私もあなたの魔力を感じたいのですが少し力を見せていただけませんか?」
「でも、私…魔力の制御が上手く出来なくて…」
「大丈夫ですよ、暴走しそうになったら私が止めて差し上げます。」
殿下の言葉に促され、私は恐る恐る自分の身の内にある魔力を解放しました。
足元に霜が張り、周りの空気がだんだん凍りついていきます。
どこまで広げれば良いのか分からなくて私はどんどん魔力を解放していきます。
「ありがとうございます。シルビア王女。」
そう殿下の言葉が聞こえた途端私は殿下に抱き締められていました。
(えっ?!何で?!どうして?!)
私は殿下の腕の中で固まってしまい、指一本も動かす事が出来ません。
そして、
「シルビア王女、私と結婚していただけませんか?」
頭の上からとんでもない言葉が聞こえてきました。
「はっ?!」
殿下は私の肩をつかんで、私の顔を覗き込み、もう一度同じ言葉を繰り返しました。
「シルビア王女、私と結婚していただけませんか?今すぐに返事が欲しいとは言いません。しばらく滞在させていただくよう陛下にお願いしましょう。どうか私の事をもっと良く知っていただきたい。」
やはり、聞き間違いでは無いようです。
殿下は私の目を見てハッキリと「結婚してくれ」とおっしゃいました。
見る見るうちに顔に熱が上がってくるのがわかります。
今、私の顔はリンゴの様に真っ赤になっているでしょう。
私はそのまま、殿下に手を取られ、王宮に向かいました。そして、お父様のいる執務室に向かいました。
そして殿下は私への求婚と滞在の延長をお父様に願いました。
お父様は嬉しそうに微笑んで殿下の願いを快く了承したのでした。
その後、私はリオネル殿下が離宮に送っていくと言う申し出を丁重にお断りして、1人で離宮に戻りました。
その夜私は何度も殿下の言葉を思い出し、なかなか眠る事が出来ませんでした。
『結婚』
殿下と結婚すれば私はこの国から出られます。
窮屈なこの離宮での生活からも解放されます。
でも、知らない国へ行くのは不安です。
もし、帝国でもここと同じ様な事が起きたら…そう思うと怖くてたまりません。
リオネルリード=トルティア王太子殿下
強く、美しく、お優しい、魔法大国の次期国王。
私にその妻が務まるのでしょうか?
引きこもりの無知な王女では殿下の御迷惑になるかもしれません。
お父様はこの結婚に乗り気のようですが、私は怖くてたまりません。
色々想像して、身体の芯が震えます。
でも…別れ際に殿下が
「急な申し出にとても困惑なさったでしょう。あまり考える時間を差し上げられない事も申し訳ありません。でも、私が本気であなたを妃に迎えたいと思っている事だけは信じてください。」
真剣な目をしていらした…
確かに不安は大きいです。でも、新しい生活に対する希望に、少しワクワクする自分も確かにいるのです。
明日も殿下に会えるかしら?
私はその夜殿下の温かい瞳を思いながらいつの間にか眠っていました。
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