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プロポーズ-2
しおりを挟む【シルビア】
「一緒に学園に行かれるのですか?」
次の日の朝早く、殿下が最上級の笑顔で、今日、私と一緒に学園に行きたいと言い出しました。
「あの、でも…こんなに急ですと、学園の方の準備も出来ませんし、護衛もすぐには手配出来ないですから…」
「大丈夫ですよ。護衛はこちらで用意しますし、行くのはあなたが学んでいる騎士科だけです。少しでもあなたと一緒にいたくて、わがままを言いますがお願いします。」
私の手を取り、キラキラとした瞳でお願いされて、私に断る事は出来ません。
殿下のお顔がまぶしすぎる…
「では、学園に聞いてみますので、少しお待ちいただけますか?」
「その必要はありませんよ、お忍びですから。」
「お忍び?」
言葉の意味がわかりません…
いや…わかるけど、それを理解してはいけないような気がします。
大帝国の王太子ともあろう方が、こんな小国の学園に、私といたいからという理由でこっそりと付いてくるなんて、そんな事が許されても良いのでしょうか?
殿下は慌てふためく私の手を取り、さっさと馬車に乗り込みます。
(殿下、自由過ぎます!)
学園には馬車で20分ほどの距離です。
結局、どこにも知らせる事無く騎士科まで来てしまいました。
どうすれば良いのでしょうか?
泣きそうです…
とりあえず、騎士科の鍛錬場に殿下をご案内して、ここでじっとしているようにと懇々と言い聞かせ、私は服を着替える為、一旦殿下と別れました。
大急ぎで騎士服に着替えて、殿下の待つ鍛錬場に向かいました。
殿下の姿が見えなくて焦っていると、広場で殿下が学生騎士達を相手に打ち合いをしているのが見えました。
(どうして?!)
焦って殿下のもとへと急ぎます。
でも、彼らの打ち合いを目にして…
「凄い…」
強いとは思っていましたが、殿下にかかっていく男子を、どんどん打ち負かしていきます。
しかも、物凄い笑顔で…
何だかどんどん人が集まっているような…
女性騎士が殿下に熱い視線を送っています。
1人が
「リオネル殿下ー!がんばってくださーい!!」
と、声援を送りました。
殿下はにっこりと笑って片手を上げて、それに応えました。
ツキン…と胸の辺りが痛みます。
この痛みは一体なんでしょう?
今日は何だか朝から調子が悪いです。
私の姿を見て殿下が打ち合いを切り上げて、笑顔でこちらに向かって来ます。
殿下の額に流れる汗を見て、私は慌ててタオルを差し出しました。
「ありがとう!シルビア。」
今度はドキン!と胸が痛みます。
さっきのツキンとは少し違います。
本当に私の心臓は一体どうなってしまったのでしょうか?
「次は君と手合わせしたいな。」
ニッコリと笑顔を向けられて、今度は顔が、かぁっと熱くなりました。
本当に、今日の私はとてもおかしいです。
手合わせなんていつ以来でしょうか?
男好きなんて噂が流れる前は同級生との手合わせもしていましたが、噂以降、私と手合わせしてくれる生徒は1人もいませんでした。
一ヶ月位前に、先生を相手にして以来です。
カンカンと木剣を打ち合う音が響きます。
最初は殿下相手に少し遠慮がちだった私も、段々楽しくなって来ました。
流石、殿下はとっても強くて、私のどんな攻撃も軽くかわしてしまわれます。
右、左、足元、どんなにフェイントを使っても、力まかせに打ち込んでも、殿下はニッコリと笑みでかわしていきます。
こんなに楽しいのはいつぶりでしょうか?
私はすっかり調子に乗ってしまい、私達の打ち合いを見ていた先輩騎士が
「そこまで!!」
と止めるまで、嬉々として殿下と打ち合っていました。
我に返って、恥ずかしくて、慌てて殿下に謝りました。
「も…申し訳ありません!!私ったら夢中になって…」
そう言うと、殿下は声を上げて笑いました。
「シルビアは剣術も凄いね!私もとても楽しかったよ。」
そう言って恥ずかしがる私の頭をワシャワシャと撫でてくださいました。
その後、殿下はやってきた私の担任教師と一緒に学園長に話があるからと校内に入っていきました。
「座学が終わったら一緒に帰ろう。」
私の耳元でそう囁いて、先生と一緒に行ってしまいました。
耳を押さえて真っ赤になっている私を腹立たしげに睨んでいる女性達がいることに、この時の私はまったく気づいていませんでした。
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