悪虐氷姫の幸せな結婚

nao

文字の大きさ
25 / 64

国王の後悔-3

しおりを挟む



「アリシア王女殿下が見つかりました!!」

兵士の言葉に辺りから安堵のため息が漏れる。

アリシアは王宮の地下にある転移の間で発見された。

転移陣の中でぐったりと青い顔をして気を失っていた。
医者は魔力枯渇を起こしていると言った。
シルビアは?
まさかアリシアがシルビアを転移させたのか?
一体どこへ?

魔法陣の痕跡を調べると、魔物が巣くう北の森のど真ん中だった。

私は急ぎ、討伐部隊を編成して、シルビアの救助に向かわせた。

討伐部隊が到着したそこは、氷の森になっていた。
何百という魔物がシルビアを中心にそのままの姿で氷漬けにされていた。

氷漬けにされた魔物の中心でシルビアは小さく丸まって気を失っていた。
頬は涙で濡れていた。
可哀想に、どれほど恐ろしかっただろう。
討伐部隊からの報告ではシルビアを中心に1キロ四方が氷の森になっていたそうだ。
アリシアとシルビアの無事を確認して私はダイアナのもとへ向かった。

「アリシアをそそのかしてシルビアを殺そうとしたのはお前か?」

「何の事を仰っているのか分かりませんわ。」

「マリエルが死んだ時、お前が任せてくれと言うからアリシアをお前に託したがそれは間違いだったようだ。まさか、自分の実の妹を殺そうとするような殺人鬼に育てるとは、後悔してもしきれないよ。」

「あなたが悪いのよ!!愛してるっていったのに!たった1人私だけだって言ったのに!たった3年で私を裏切るなんて!」

「私の考えが甘かった事は認めるよ。あの時の私の愛は確かに君だけのものだった。一人の男としての私には確かに君さえいれば良かったんだ。だが私は一国の王だ。私が王になる頃には君も王妃として私の横に並び立ち共にこの国を治めて行くとそう信じていたんだ。だが、君が妃として国の力になる事は無かった。所詮平民だった君に王族としての振る舞いは無理だったと私は思い知ったんだ。だから私を支えてくれる第二妃を迎えた。君さえしっかりとしていてくれればこんな事にはならなかったんだ。」

「私だけが悪いと言うの?」

そう言って、憎しみを込めた瞳で私を睨みつけるダイアナにため息しか出ない。

「ダイアナ、次はないよ。頼むからおとなしくしていてくれ。私は今でも君を愛してる。私の青春は君と共にあった。だがあれから私も君も、色々変わってしまった。もうあの頃には戻れないんだ。私達は王と王妃として新しい関係を作っていかなければならない。これ以上私を失望させないでくれ。愛してるよ私のディア。」

学生の頃、ダイアナによくかけていた言葉を口にして私は彼女の頬を撫でそっと口づけた。

彼女の瞳に絶望がゆっくりと広がっていく。
私はそれを無視して部屋を後にした。

閉めた扉の向こうから、彼女が泣き叫ぶ声と物を壊す音がしていた。
私はそのままアリシアとシルビアの眠る子供部屋に向かった。









しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

虐げられた私、ずっと一緒にいた精霊たちの王に愛される〜私が愛し子だなんて知りませんでした〜

ボタニカルseven
恋愛
「今までお世話になりました」 あぁ、これでやっとこの人たちから解放されるんだ。 「セレス様、行きましょう」 「ありがとう、リリ」 私はセレス・バートレイ。四歳の頃に母親がなくなり父がしばらく家を留守にしたかと思えば愛人とその子供を連れてきた。私はそれから今までその愛人と子供に虐げられてきた。心が折れそうになった時だってあったが、いつも隣で見守ってきてくれた精霊たちが支えてくれた。 ある日精霊たちはいった。 「あの方が迎えに来る」 カクヨム/なろう様でも連載させていただいております

この度娘が結婚する事になりました。女手一つ、なんとか親としての務めを果たし終えたと思っていたら騎士上がりの年下侯爵様に見初められました。

毒島かすみ
恋愛
真実の愛を見つけたと、夫に離婚を突きつけられた主人公エミリアは娘と共に貧しい生活を強いられながらも、自分達の幸せの為に道を切り開き、幸せを掴んでいく物語です。

私の存在

戒月冷音
恋愛
私は、一生懸命生きてきた。 何故か相手にされない親は、放置し姉に顎で使われてきた。 しかし15の時、小学生の事故現場に遭遇した結果、私の生が終わった。 しかし、別の世界で目覚め、前世の知識を元に私は生まれ変わる…

ある日、私は事故で死んだ───はずなのに、目が覚めたら事故の日の朝なんですけど!?

ねーさん
恋愛
   アイリスは十六歳の誕生日の前の日に、姉ヴィクトリアと幼なじみジェイドと共に馬車で王宮に向かう途中、事故に遭い命を落とした───はずだったが、目覚めると何故か事故の日の朝に巻き戻っていた。  何度もその日を繰り返して、その度事故に遭って死んでしまうアイリス。  何度目の「今日」かもわからなくなった頃、目が覚めると、そこにはヴィクトリアの婚約者で第三王子ウォルターがいた。  「明日」が来たんだわ。私、十六歳になれたんだ…

【完結】公爵子息は私のことをずっと好いていたようです

果実果音
恋愛
私はしがない伯爵令嬢だけれど、両親同士が仲が良いということもあって、公爵子息であるラディネリアン・コールズ様と婚約関係にある。 幸い、小さい頃から話があったので、意地悪な元婚約者がいるわけでもなく、普通に婚約関係を続けている。それに、ラディネリアン様の両親はどちらも私を可愛がってくださっているし、幸せな方であると思う。 ただ、どうも好かれているということは無さそうだ。 月に数回ある顔合わせの時でさえ、仏頂面だ。 パーティではなんの関係もない令嬢にだって笑顔を作るのに.....。 これでは、結婚した後は別居かしら。 お父様とお母様はとても仲が良くて、憧れていた。もちろん、ラディネリアン様の両親も。 だから、ちょっと、別居になるのは悲しいかな。なんて、私のわがままかしらね。

『影の夫人とガラスの花嫁』

柴田はつみ
恋愛
公爵カルロスの後妻として嫁いだシャルロットは、 結婚初日から気づいていた。 夫は優しい。 礼儀正しく、決して冷たくはない。 けれど──どこか遠い。 夜会で向けられる微笑みの奥には、 亡き前妻エリザベラの影が静かに揺れていた。 社交界は囁く。 「公爵さまは、今も前妻を想っているのだわ」 「後妻は所詮、影の夫人よ」 その言葉に胸が痛む。 けれどシャルロットは自分に言い聞かせた。 ──これは政略婚。 愛を求めてはいけない、と。 そんなある日、彼女はカルロスの書斎で “あり得ない手紙”を見つけてしまう。 『愛しいカルロスへ。  私は必ずあなたのもとへ戻るわ。          エリザベラ』 ……前妻は、本当に死んだのだろうか? 噂、沈黙、誤解、そして夫の隠す真実。 揺れ動く心のまま、シャルロットは “ガラスの花嫁”のように繊細にひび割れていく。 しかし、前妻の影が完全に姿を現したとき、 カルロスの静かな愛がようやく溢れ出す。 「影なんて、最初からいない。  見ていたのは……ずっと君だけだった」 消えた指輪、隠された手紙、閉ざされた書庫── すべての謎が解けたとき、 影に怯えていた花嫁は光を手に入れる。 切なく、美しく、そして必ず幸せになる後妻ロマンス。 愛に触れたとき、ガラスは光へと変わる

狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します

ちより
恋愛
 侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。  愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。  頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。  公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。

魔力なしの役立たずだと婚約破棄されました

編端みどり
恋愛
魔力の高い家系で、当然魔力が高いと思われていたエルザは、魔力測定でまさかの魔力無しになってしまう。 即、婚約破棄され、家からも勘当された。 だが、エルザを捨てた奴らは知らなかった。 魔力無しに備わる特殊能力によって、自分達が助けられていた事を。

処理中です...