悪虐氷姫の幸せな結婚

nao

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旅立ち-4

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トルティア帝国を目指して2週間が経ちました。
私達は今、ベリアル王国に来ています。

ベリアル王国は、トルティア帝国の同盟国で、トルティア帝国とは昔からとても仲が良く、トルティア帝国の王女が嫁いだり、ベリアル王国の王女を娶ったりと、ずっと良好な関係を続けてきたそうです。
もちろん今も王族同士が懇意にしていて、王都には1週間ほど滞在する予定だそうです。
そして、ベリアル王国の国王に、私の事を婚約者として紹介してほしいとお願いされたそうです。
婚約者の私にもベリアル王国の事を知って欲しいと、王都の視察や王城での夜会など、準備していてくださるそうです。

田園を通り抜け、街中に入り、しばらく行くと急に目の前が広がり、一面の『青』が広がりました。

「シルビア、ほら、見てご覧。これが『海』だよ。」

そこには一面の青い水が、ずっと向こうまで続いています。あの一番向こうの空と海の境目を水平線というそうです。

「これが うみ… すごい…向こうが見えません。」

「もうすぐ港に着く、そうしたら少し馬車から下りてみるか?」

「いいんですか?!」

「ああ、少しなら大丈夫だ、王城には夕方入ればいいだろう、どうせ国王との謁見は明日になるだろうからな、この海は城からもよく見えるから海に沈む夕日もきれいだぞ、楽しみにしているといい」

「はい」

海に沈む夕日なんてどんなものでしょうか?あの空にある太陽が水平線の彼方に沈むんですよね。山の向こうに沈む夕日とどう違うんでしょう?今から楽しみです。

しばらく走ると港に着きました。
港に近づくほどに、生臭いような今まで嗅いだことのない不思議な匂いがどんどん強くなっていきます。

「何の匂いでしょう?」

「ああ、潮の香りだな、海の近くは大体こんな匂いがするよ。」

「しおの香り…」

私は初めて匂う『しおの香り』を胸一杯吸い込みました。
やっぱり少し生臭いです…

港はたくさんの人で賑わっていて、たくさんの船が停まっていました。

「ここの船は朝、漁に出て、昼前にこちらに戻って来て、捕ってきた魚を降ろすんだ。その魚がそのまま市場に並べられて、買い付けに来た商人や、一般家庭の主婦が買っていくんだ。」

凄いです。
こんなにたくさんの魚が並んでいるのを初めて見ました。
たくさんの人が入り乱れて、大きな声で競り落とし、次々と買われていきます。
まるで戦場です。

「シルビア、屋台の方に行ってみるか?何か食べよう。お腹が空いただろう?」

「はい食べたいです」

リオネル様と手を繋いで屋台に向かいます。
とってもいい匂いがそこかしこでしていて食欲をそそります。

さぁ、屋台へという所で、リオネル様に引き留められました。
不思議に思って、リオネル様を見ると、麗しいお顔が近づいて来て、私の耳元で小さな声で、

「シルビア、ここではリオと呼んでくれ、身分がバレるとまずいからね」

そう囁かれました。

「リ…リ リオ 様…?」

「リ、オ、呼び捨てで構わない」

「リ…リオ」

「それでいい、さぁ行こう!」

そう言って手を差し出してくれました。

リオ、リオ、リオ
呼び捨てなんてとっても恥ずかしいです。
でも繋いでくれた手がとても温かくて、何だかとっても嬉しくて、私は最初の屋台を見て、

「リオ!あれが食べたいです!」

そう言ってリオの手を引っ張りました。

「OK、行こう!」

2人仲良く手を繋いで、初めての屋台を目指しました。

最初に行ったのは、串焼きの屋台です。

長い串にたくさんの魚?貝?海老?あとこれは…

「それは『いか』だな」

串に刺して焼かれたそれは、甘いような辛いような香ばしい香りがしていて、とても美味しそうです。

早速、一口噛ります。

「リオ、これ凄く美味しいです!」

甘辛いタレが焼いた魚介類にとても合っていて、凄く美味しいです。

次の屋台は『カプル』という屋台です。
クレープのような生地に、キャベツと玉ねぎとトマト、そして赤身のお魚を挟んで、白いソースをたっぷりと掛けてクルッと巻いて、紙に包んで渡してくれました。

両手いっぱいの紙包みをどうしようかと悩んでいると、

「こうやって食べるんだ」

と言って、リオネル様が大きな口を開けて、パクっとかぶりつきました。

びっくりしましたが、私もリオネル様を真似て大きな口を開けてパクっと一口かぶりつきました。

「美味しい!」

少し酸味のあるソースが赤身のお魚ととてもよく合っていて、シャキシャキのキャベツや玉ねぎ、まるでフルーツのように甘いトマトもとっても美味しいです。

もぐもぐと夢中になって食べていると、リオネル様がじっと楽しそうに私の顔を見ているのに気づきました。
すると、スッと手が伸びてきて、私の口元にリオネル様の指が…

「付いてる」

そう言ってそっと私の口元を拭い、ソースの付いたその指をペロッと舐めました。

「な…な…な…」

舐めました…リオネル様が…私の口に付いていたソースを…ペロッって…

恥ずかしい~~~!!

私ったら、小さな子供のようにはしゃいで、口の周りにソースを付けて、それを拭ってもらうなんて…
なんて恥ずかしい…

そんな私の気持ちもお構いなしにリオネル様は

「シルビア、さぁ 次は何が食べたい?」

なんて聞いてきます。
リオネル様は私の恥ずかしがる様子も、とっても楽しそうに嬉しそうに見ていてくださいます。

私の恥ずかしい姿も、笑って受け止めてくれるリオネル様に、私はとっても安心して、これからこの方とずっと一緒にいられるんだと思うと、とても嬉しくてリオネル様の問いかけに

「はい リオ!次は甘いものが食べたいです!」

そうして精一杯の笑顔で『リオ』と呼んで、初めて私からリオネル様の手をつなぎました。






















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