悪虐氷姫の幸せな結婚

nao

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旅立ち-6

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次の日は
港に停泊中の大型貨物船を見学する事になりました。

船の名前はクリザ号。
ベリアル王国王都と、トルティア帝国帝都を往復して荷物を運んでいる貨物船だそうです。
今日の案内役にはリゼル王太子殿下が自ら来て下さいました。

「大きい…」

下から見上げた船は首が痛くなるほどとても大きいです。
一体 馬車何台分の荷物を運べるのかしら?

「凄いですリオネル様、こんなに大きな船は初めて見ました。」

「………」

あれ?返事がない?
不思議に思ってリオネル様を見ると何だか笑っているけど笑っていないリオネル様がこちらを見ていました。
そして…

「リ、オ、」

「あ…   リオ?」



「それで良い、行こうか、私も中まで入らせてもらうのは初めてだよ」

そうして差し出されたリオの手を取って二人手を繋いで船の中へ入って行きました。


クリザ号はベリアルとトルティアをたったの4日で往復するそうです。
行きに1日、荷下ろしに1日、トルティアからの荷物を積むのに1日、帰りに1日だそうです。
馬車だと往復10日もかかるのに…
しかも、たっぷりの荷物を積んでです。
本当に凄いです。

ベリアル王国は海運に力を入れていて、次々と船を作っているそうです。
しかも海の魔獣を寄せ付けない新技術を搭載しているそうです。
その技術は秘匿されていて、現在、海運事業はベリアル王国が独占状態らしいです。

船の甲板はすごーく広くて走り回れそうです。
貨物倉庫は、今日はお魚をたくさん積んでいるのでちょっと臭かったです。
そして、3階部分の操舵室から見る景色はどこまでも果てしなく続く海を実感して、感動しました。

1時間ほどの見学を終えて、今日、案内してくださった船長さんにお礼を言って船を降りました。

私達はそのまま王太子殿下に招かれて王太子宮へ向かい、お茶会にお呼ばれしました。

「本日は船を見せていただき、ありがとうございます」

「気に入っていただけましたか?女性にあの様な殺伐とした場所は相応しくないかと思ったのですが…」

「いえ、大変貴重な体験をさせていただきました、ありがとうございます」

「それなら良かったです、リオネルとても良いお嬢さんを見つけたね、エトワールも褒めていたよ。兄様に見る目があって良かったねって」

「全く君達兄弟は…で、私の花嫁は君達のお眼鏡に叶ったと思って良いのかな?」

「そうだね、まぁ、まだまだ若すぎるのが心配だけれどね」

あ…
リオネル様と王太子殿下の話が年齢の事になると私は少し居たたまれなくなって、俯いてしまいました。
そんな私の手をリオネル様がキュッと握って下さいました。
リオネル様と2人見つめ合います。

「クスクス…仲が良いね。」

「ええ、良いですよ。ベタ惚れですから」

リオネル様はまるで王太子殿下を挑発するように握っていた私の手を持ち上げてチュッとキスをしました。

なんてことをするんですか!!!

「リオ、そろそろ手加減してあげないと、王女殿下が憤死しそうだよ」

「リゼル兄様が変に挑発するからだよ」

リオネル様は私を翻弄しすぎです!!!



疲れました
大人の男性2人に挟まれて物凄く疲れました。
心も身体もくたくたです。
でも、まるで実の兄弟の様に仲の良い2人の関係を見ているととても羨ましいです。
私と兄弟との関係は破綻していましたから…

もしも、私達が小さな頃から仲の良い姉妹でいられたら…

考えても仲の良い3人兄弟をとても想像出来ずに、頭を振ってその考えを吹き飛ばしました。


その夜の晩餐会は王太子夫妻の主催で行われました。

海洋国家と呼ばれるだけあって見たこともないたくさんの新鮮な海鮮を使った料理がテーブルいっぱいに並べられました。

大きな海老のグリルは大皿の真ん中にドーンと置かれていて、立派なヒゲが2本、たくさんの足が付いた胴体の背中の殻は取り除かれ、中の身が食べやすいようにカットされ、殻の中に戻されてタルタルソースというものがかけられています。

海老の周りには、小玉ねぎ、豆キャベツ、にんじん、じゃがいもなどの焼いた物がぐるりと飾られて香ばしい香りが漂っています。一口食べると身はプリプリとしていてソースは程よい酸味があってとても美味しいです。

鯛の煮込みは、魚醤というソースに砂糖や生姜などと一緒に鯛を煮込んでふっくらと仕上げています。濃厚なタレがふっくらとした白身に絡んでとても美味しいです。

真っ黒なイカ墨のパスタに目を丸くして、ヒラメのカルパッチョで初めて生の魚を食べました。生臭みも無くて、爽やかなレモンの風味がとても良く合っていてこちらもとても美味しいです。

海藻のサラダには赤や黄色の魚卵が散りばめられていて、まるで宝石のようです。プチプチとした食感がとても面白いです。

「シルビア、どう?美味しい?」

「はい、とても。どれも初めて見るお料理ばかりでとても美味しいです。」

「喜んでいただけて良かったわ。今日のお料理はリオネル様にシルビア様のお好みを聞いて、私が準備しましたの。」

そう、王太子妃殿下がおっしゃいました。

王太子妃殿下アルメリア様はチョコレートのような焦げ茶の髪に空のような青い瞳のスレンダーで背の高い美しい方です。
王太子殿下とは幼馴染だったそうで、伯爵令嬢だったという家格の壁を乗り越えての恋愛結婚だったそうです。
お互いを見つめ合う瞳に愛情が見えてとても羨ましいです。

私とリオネル様もこんな風になれたらいいな…


和やかに晩餐会を終え、部屋に戻ってゆったりとしたワンピースに着替えて休む準備をします。

明日は観劇だそうです。
劇を観るのも初めてなのでとても楽しみです。

眠れそうになくて、バルコニーに向かう扉を開けて外に出ます。

ここはノースウッド王国と違って夜でも温かいです。
外に出ると、隣のバルコニーにリオネル様がいました。

「シルビア?」

「リ…リオ?」

「どうしたの?眠れない?」

「何だか昼間の興奮が抜けなくて…」

「私もだよ、シルビアを皆に自慢して回れてちょっとテンションが上がってる。」

「自慢ですか?」

「そう、自慢の婚約者。若くて、可愛くて、綺麗で、優しくて、魔力もたっぷりで、私には勿体ない位の私の婚約者。私のね!みんな羨ましがって、凄く気分が良い」

「何だか、褒められすぎて恥ずかしいです」

「本当は、今すぐにでもそっちに移りたいくらいなんだけど、理性が吹っ飛びそうだから、今日はここで我慢してる」

そう言ってバルコニーの手すりにもたれるようにして頬杖をついてこっちをじっと見つめるリオネル様。
ほんのり赤い頬
トロンとした赤い瞳
お酒を飲んだのかな?
色気がダダ漏れです!

私まで顔に熱が上がってきて、なんだかとっても恥ずかしくなってきました。

「クスクス…シルビア、真っ赤だよ」

「へっ?!」

思わず両頬を手で包みます。

「さぁ、そろそろお休み。私ももう休むから…」

「はい、リオ、おやすみなさい」

「お休みシルビア、また明日。さぁもう部屋に入って」

「はい、おやすみなさい」

そうして私はドキドキしながらベッドに潜り込みました。

おやすみなさいリオ…
リオ…
キャーーーー!!

ベッドの中で恥ずかしさにバタバタと悶えていると

「姫様、大丈夫ですか?」

と、メイドに声をかけられてしまいました。

「ごめんなさい、大丈夫です」

今度こそ静かに布団に潜りました。
おやすみなさい、リオ…また明日…

















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