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旅立ち-8
しおりを挟む【エトワール】
私の名前はエトワール=ワイオミング。
ベリアル王国の第三王女として生まれました。
隣国のトルティア帝国は友好国でリオネル兄様とは小さな頃からとても仲が良かったのです。
年頃もよく似ていて、もしかしたら私の未来の旦那様?と思っていた事もありました。
でも、私の魔力量では足りませんでした。
リオネル兄様が昔から妃候補の事で悩んでいる事は知っていました。
後継者を作る為にはリオネル兄様と同じかそれ以上の魔力を持つ女性でないといけません。
もしくは後継者を他の血族に求めるか…
リオネル兄様はギリギリまで妃候補を探す事を選びました。
リオネル兄様が後継者を諦めていたら、もしかしたら私が…
そう思った事もありました。
でも、私はリオネル兄様の事はキッパリと諦めて18歳の時、王女として今の主人、マイケル=ワイオミング公爵の妻になりました。
マイケルは兄、リゼル王太子の側近で小さな頃からよく知っていましたし、兄の手助けになりたいと私が決めました。
今では、穏やかで、思慮深くて、優しい彼を選んで良かったと心から思っています。
リオネル兄様が、やっと見つけた婚約者、シルビア様の噂は私達の国にも少しは届いていました。
「北の国の氷姫」
「氷の悪虐王女」
とにかく魔力が強く、見るもの全てを凍らせる悪虐王女、そんな王女がリオネル兄様と婚約なんて、私がきちんと見定めて、どんな女か見極めてやる。
そう思って城に乗り込んだのに、初めて見たシルビア様は透明感のある美しい美少女で、リオネル兄様を見るたびにうっすらと頬を染め、はにかんだ様子でリオネル兄様の話を一生懸命聞いている、そんな可愛らしい女の子でした。
私が突撃してリオネル兄様に親しげに話しかけても私の無作法を気にするでもなく、ただ驚いた顔をしてこちらを見ていました。
「一緒にお茶をしましょう」
強引に彼女をお茶に誘いましたが、素直に応じて、緊張した様子で自己紹介してくれました。
時々不安そうにリオネル兄様をチラチラ見ているのが可愛らしい女の子でした。
お茶会の後リオネル兄様に
「可愛い子を見つけたわね、兄様」
そう言うと、
「エトワールにも心配かけたね、でもやっと見つけたよ」
「幸せになれそう?」
「ああ、見ただろう?すごく可愛いんだ、外見も中身も」
「大事にしなさいよ、しつこくして愛想を尽かされないようにね」
「はは、肝に銘じるよ、ありがとうエトワール」
そう言いながら笑ったリオネル兄様の笑顔は今まで私が見た笑顔の中でも一番幸せそうな笑顔でした。
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