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魔術学園-7
しおりを挟む【アリアン=アメリー ①】
使えないわ…
本当に、あんなに使えないなんて…
何でもかんでもあからさますぎるのよ
あんなに堂々と嫌がらせをして、ちょっと反撃されたからって逆上して皆が見ている前で階段から突き落とすなんて、馬鹿にも程があるわ。
あんな女の家が没落しようと構わないけれど、同じ派閥のこっちまで被害を受けるようになったらどうしてくれるのよ!
キリエがもう使えないとなると次はどうしようかしら?
噂も色々ばら撒いているけれどこれと言った成果も見えないし、持ち物やスケジュールなんかも周りにいる人間がしっかり管理するようになってもう手が出せないし…
次のチャンスは淑女教育の授業かしら?
毒でも仕込んでみる?
でも、バレたら私もただでは済まないわね。
自分も被害者になればいけるかしら?
誰を生贄にしようかしら?
やっぱりロビーナかな?
ジャックにやってもらう事が結構ありそうね。
私の婚約者のジャックはうちの援助が無ければ没落必至の子爵家の嫡男でお金の為なら何でもやってくれる、私にとってとっても都合のいい男。
私の下僕なの。
お茶会当日、キリエの名前を使ってロビーナを人気のない学園の倉庫裏に呼び出し、彼女のアリバイを無くしたわ。
ジャックに今日のお茶会に出す予定のロールケーキに毒を入れさせたの。
今日のお茶会に用意したのは最近王都で流行っているロールケーキ。
四角いスポンジ生地にはちみつを染み込ませ、生クリームをたっぷり塗ってクルクルと丸めたもの。
ジャックに言って毒はランダムに入れさせたの。
私は念のためあらかじめ解毒薬を飲んでおいたわ。
そして、一応どの辺りに致死量の毒を注射したかもちゃんと聞いておいたわ。
致死量の毒に当たるか、軽い中毒で済むかは時の運かしら…
まず、私がホスト役として毒見役として一口食べる。
ここは大丈夫な部分。
シルビアに致死量の毒が当たりますように。
ロビーナは蜂蜜が苦手だから食べないはず、
「王都で今流行っているロールケーキですわね」
「おいしそうだわ」
皆、侍女にケーキを取り分けてもらい嬉しそうに口に運んでいるわ。
(やったわ!シルビアが取った部分は一番毒が強い所よ!)
自然に口元が緩んじゃうわ
まず最初に毒に反応したのはナビエだったわ。
慌ててシルビアが氷魔法を使い、体内で凍らせた毒を吐き出させているわ。
自分も苦しいくせに…
殆どナビエと同時に毒に反応したくせに…
自分の事よりナビエを優先するなんて…
そんな事してたら毒が身体中に回って死んじゃうわよ。
んふふ…
次に私も計画通り気分が悪くなってきたわ。
私も被害者にならないと疑われてしまうもの。
シルビアは次々と毒に倒れる私達を見て青い顔をして必死で私達の治癒をしているわ。
早く死ねばいいのに…
ところがいつまで経ってもシルビアが倒れる事は無かったの。
なぜ?
どうして?
確かに致死量の毒入りケーキを食べたはずなのに…
まさか、ジャックが失敗したの?
それともシルビアには毒が効かない?
どうやらシルビアは体内で毒を凍らせ、毒の吸収を防いでそのまま浄化と癒しを行ったらしいの。
何なのそれ?!
あんなに強い毒が効かないなんてどんな身体してるのよ!
シルビアの手当てのお陰で毒に倒れた私達は全員無事だったわ。
全員の無事が確認されると次は犯人探しが始まったわ。
真っ先に疑われたのはロビーナと私。
でも、私は毒に中ったし、完璧なアリバイもある。
毒が入れられたと思われる時間にアリバイが無かったのはたった一人、ロビーナだけだった。
でも結局、証拠不十分でロビーナも釈放されたようね、計画は完璧だったわ、なのにまさか失敗するなんて…
病院のベッドで休んでいると、リオネル様が私の病室を訪ねてこられたの!
計画は失敗したけれど、まさかこんなに近くでリオネル様に会えるなんて…
私はまだ少し体調の悪いフリをして、しおらしくリオネル様の質問に答えたの。
なんて素敵な声なのかしら
私を見つめる真剣な眼差し
ああ、胸がドキドキして死にそうよ
私は小さな頃からずっとリオネル様が好きだった。
私にはリオネル様と同級生の姉がいる。
姉から聞くリオネル様の話は本当に素敵で、姉と一緒に王都に売られているリオネル様の肖像画を集めたり、リオネル様に関する物を買い漁っていたわ。
リオネル様が使っている同じ種類のペンやインク。
リオネル様が読んだ本。
リオネル様とお揃いのハンカチ。
私の寝室はリオネル様で一杯だったわ。
姉にも侍女にも呆れられたけれど、本当にずっと好きだったの。
リオネル様
私の王子様
それなのに、どこの馬の骨とも知れない小国の王女を婚約者にしたと聞いて私がどれ程絶望したか分かる?
目の前が真っ暗になって倒れそうになったわ。
しかも15歳
私と同じ歳
あなたの肖像画に囲まれて眠りに就く毎日がとても幸せだったわ。
あなたがシルビアを連れて帰って来るまでは。
あなたの婚約が発表された時、私の幸せだった人生は真っ黒に塗りつぶされ、嫉妬という醜い思いに囚われて、私は絶望の毎日を送ることになったのよ。
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