悪虐氷姫の幸せな結婚

nao

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討伐依頼-2

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火の季節になり、学園が長期休暇に入り、私とリオは騎士団を引き連れて、南の砂漠の竜討伐に出発しました。

砂漠までは馬車で2日かかるそうです。

馬車が進むに連れて段々緑が少なくなって、やがて埃っぽい乾燥した地域に入りました。
周りは岩ばかりで、およそこんな岩と砂ばかりの土地で人間はどうやって生きているのかしら?と心配になりました。

2日目の午後、突然ポッカリと砂の中の浮島のように、大きな湖とその周りにヤシの木や花のついた低木が見えました。
通りに面して、藁で作ったような簡素な家が並ぶ街が見えて来ました。

「シルビア、ここが砂漠の街『リザード』のオアシスだよ」

リオがそう教えてくれました。

騎士団の到着に街は大騒ぎです。

あまりの歓迎様にこの街の人々がいかにリオ達を待ち望んでいたのかがよくわかります。

街を抜けて、目の前に大きな宮殿が見えて来ました。
宮殿は王家の為に建てられたもので、砂漠を治めている4つの一族の族長達は、いつもは砂漠にパオという集落を作ってそれぞれ暮らしているそうです。

宮殿に入り、荷を解いて一息つきます。
広間に族長達が集まってリオが登壇するのを待っているとの事で、私はリオにエスコートされて、広間に出ました。

族長は4人。

筆頭族長 カーン=パーシバル 52歳
第二族長 シリカ=エンカント 48歳
第三族長 ハルク=ホーラン  42歳
第四族長 ボルク=シンカリオ 40歳

それぞれが妻と子供達を連れて挨拶に来ていました。

男性は黒いクセのある髪を短く刈り込み、黒いヒゲに茶色い瞳。
白いターバンを頭に巻き、白いローブの様な裾の長い服を着ています。

奥様は皆、一様にスカーフで顔の殆どを覆い、ベールを被っていて、顔は見えません。
女性は結婚すると、その姿を家族以外には見せないそうです。

そして、族長の娘達は黒い長い髪を美しく宝石で飾り、背中に流しています。スラリとした長い手足を惜しげもなくあらわにして、浅黒い肌はまるで黒豹のようにしなやかで美しいです。
ひらひらとした薄い布が控えめに身体を隠していますが、胸が強調されたその姿は、異国の絵本で見た踊り子のようでもありました。

とにかく蠱惑的で、魅力的で、色っぽくて、明らかにリオに熱い視線を送っていました。

彼女達を見て、挫けそうになっていた私の腰をリオがギュッと引き寄せました。

「リオ?」

リオは前を向いたまま

「久しいなカーン」

「1年ぶりでございますな、リオネル殿下。お元気そうでなによりでございます」

「他の者も変わらぬようで安心した。今年も竜討伐は任せてくれ」

「頼もしいお言葉ありがとうございます。ところで先程から気になっておりました。そちらのお嬢様は一体どなたでしょう?」

「ああ、紹介しよう。彼女はシルビアリリィ=ノースウッド。私の婚約者だ。やっと私に劣らぬ力の持ち主を見つけたのだ。族長達にもこれで安心してもらえるだろう。後継者について、今まで族長達にも心配をかけてきたからな。今回の討伐は彼女にも力を借りるつもりだ。期待してくれ」

「それはそれは、喜ばしい事でございます。ですが、見たところかなりお若いように思われますが?」

「シルビアは今15歳だ。来年の16歳の成人を待って婚姻の儀を行う。その時はぜひ族長達にも出席して欲しいものだ」

「そうですか、まだ15歳、では後継者を望むのはまだ先になるのでは?」

「何を言う、そこのハルクの妻は16歳で長男ホークを産んだではないか、皆によい知らせが出来るよう励むので心配は無用だ」

ははははは………、

なんて、笑っていますけど、今、リオはとんでもない発言をしたような気がします。私、16歳でリオの子供を産むことになるのでしょうか?

リオのとんでもない発言を聞いて頭の中が真っ白になって何も考えられません。
ボーーッとしている間に族長達との謁見は終わっていました。

私はまるでリオに操られるように、腰を抱かれたままいつの間にか部屋に戻っていました。

私の様子を見て、ビビアンが心配そうにリオから私を引き剥がしてソファに座らせてくれます。
シンディが温かい蜂蜜入りの紅茶を淹れて私の手にカップを持たせてくれました。
一口飲むと、蜂蜜の甘さと紅茶の良い香りが鼻に抜けて、少し落ち着きました。

「シルビア、ゴメンね。族長達を牽制する為とは言え、シルビアにはちょっと刺激が強すぎたかな?」

「牽制ですか?」

「族長の娘達を見た?」

「ええ、皆さんお綺麗な方ばかりでしたよね」
(凄く色っぽい人ばかりでしたよね)

心の中でそう付け加えました。

「殿下は毎年のように彼女達に狙われているんです」

リオの後ろに控えていたアンドレ様が口を開きました。

「狙われている?」

暗殺?

「夜這いです」

「えっ?!」

自然と赤くなってしまいます。

「それって、つまり…」

「そうです。皆さん、殿下の妻の座を狙っていらっしゃいます」

真面目な顔をしてアンドレ様が言いました。

「毎年彼女達の突撃をかわすのに苦労していたんだ」

「とつげき…」


「そもそも初めての討伐で殿下が火竜を一撃で倒した事が事の発端だったんですよねぇ」

「エリオ様?」

「砂漠の民は強さをとても重要視しているんです。殿下の討伐を見た族長達が自分達の娘を競うようにして差し出し始めたんですよ。」

「オスカー様」

「そんな訳で今年はシルビアに助けてもらおうと思っているんだ。助けてくれる?シルビア」

「私は何をすればいいんですか?強さが全てと言うなら、やっぱり討伐でしょうか?竜を瞬殺出来たら族長達は私を認めて下さるでしょうか?」

「もちろんシルビアの強さを見たら族長達ももう何も言えないと思うよ、でも討伐はまだもう少し先になるからね、それよりももっと簡単な方法があるんだ。」

「簡単な方法ですか?」

「はあーーーーーー」

アンドレ様?そのため息は一体?

「シルビア、今夜は同じベッドを使おうか?」

「はい?」

「一緒に寝よう」

「はい?!」

リオがとんでもない事を言いましたよ?



















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