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討伐依頼-4
しおりを挟む【リオネル】
南の砂漠に来て3日目。
とうとう、火竜の群れが姿を現したと連絡が来た。
私とシルビアを先頭に50名の騎士団と族長自慢の戦闘集団30名が討伐に向けて出発した。
現場まで馬で30分。
ゴツゴツした岩に囲まれた峡谷に40頭余りの火竜が群れを成してやって来た。
空飛ぶ火竜は私達を見つけると、次々と口から炎を吐き出し、私達を害そうとやって来る。
「リオ、行きます」
『氷槍』
シルビアが短く詠唱すると、無数の氷の槍が火竜に襲いかかった。
その数100本以上
「一撃だと…?」
シルビアを知らない族長達が信じられないものを見るように呟いた。
シルビアの手から無数の氷の槍が飛び出し、空を飛ぶ火竜に突き刺さり、火竜が落ちて行く。
火竜は自分に何が起きたのかもわからぬまま、自分の身体に深く突き刺さった氷の槍が自分の身体を凍らせ、核を破壊し、地面に叩きつけられ、まるでガラス細工のように粉々になってゆくのを信じられないようだった。
そして、10分もせずに火竜討伐は完了した。
粉々になった火竜の残骸の中に冷たい目をして一人立つシルビアはまるで女神のように美しかった。
彼女の力を目の当たりにして、族長達は言葉もなくシルビアを見つめていた。
やがて騎士達の中からザワザワとシルビアを讃える声が大きくなっていく。
その声は狭い峡谷のなかに響き渡り、地面を震わせるのだった。
「やっぱり私のシルビアは凄いな。」
「リオ」
私を見て、さっきまでの冷たい表情が一気に綻んだ。
まるで花が咲くように微笑むその顔は
今、私だけに向けられている。
その柔らかな微笑みは間違いなく私だけのものだ。
私だけが彼女にあの笑顔をさせる事が出来る。
そう思うと、少しの優越感と大きな愛情を感じる事が出来た。
その夜行われた討伐完了を祝う宴はシルビアの事を褒め称える族長達の余りの浮かれように開いた口が塞がらないそんな言葉が頭を過った。
あんなにシルビアの事を歯牙にもかけない態度を取っていたのに、この変わりようは…
今日のシルビアの討伐を見て、シルビアの魔力の素晴らしさを熱く語り、シルビアを女神のごとく崇め讃える。
手のひら返しとはまさにこのことだな…
族長達はシルビアの機嫌を取ろうと熱心にシルビアに話しかけている。
私はシルビアを隣に座らせ、彼女の腰を抱いて片時も側から離さなかった。
油断すれば攫われるかもしれない。
そんな不安が私の神経を尖らせていた。
ビビアンやシンディに
「まるで子持ちの母熊みたいですね」
と、からかわれたが、ここの者たちは冗談ではなく本当に気に入った女を自分のハーレムに隠そうとするのだ。
油断はならない。
私はシンディ、ビビアン、エリオに決してシルビアを一人にさせるなと命令した。
何故か胸騒ぎが止まらない。
私は族長達に囲まれて身動きが取れなくなってしまった。
シルビアを早く休ませてやりたくて、エリオを呼んで、シンディ、ビビアンと共に部屋へ戻るように命令した。
これ以上むさ苦しい男達の目にシルビアを晒したくなかった。
でも、この判断は間違っていた。
私はシルビアの手を離すべきではなかったのだ。
1時間後、オスカーがエリオ達が気絶させられて、リネン室に放り込まれていたと報告があったのだ。
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