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積乱雲の向こうは夏空
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「はじめは俺だけがヒートがあって、俺だけがパイロットになれないことが嫌なだけだった。」
記憶を紐解きながら話せば、出来るだけ淡々と話そうと思っていたのに少しだけ声が裏返ってしまう。
何で自分だけがこんなにもおかしな身体に生まれたのか、それは今でも時折昴希の脳裏に浮かぶ疑問だった。
「高校入ったばっかりのヒートのときに、それが怖くてとにかくたくさん薬飲んだのが最初。」
オメガになんか生まれたくなかったと叫ぶ心は悲しいのに、身体が早く誰かを受け入れなくてはと渇きを覚えたあの頃からずっと昴希はちぐはぐだ。
心がどんなに拒否をしても、身体が精と快楽を求める。それがクラスの中で自分だけに起きていることだと思うとななおさら惨めでやるせない。
「飲んでなんか変わんの?」
心の乱れを悟られないよう必死に痛みと不快感に耐える昴希に、おそらく無知から来るのであろう、翼は鋭く切り込んでくる。
それに対して昴希は静かに首を横に振った。
「変わるわけない。気休めだよ。俺の薬は一番弱いのだし。」
何かしていないと窓から飛び降りたくなりそうな激しい衝動と嫌悪感だった。
しかしそれを試さない程度の分別と臆病さ、それから周囲の優しさがいつも昴希にストップをかけてきた。
「そうは言っても副作用あるからちょっとすると吐いて、薬ごと吐くから全然効かなくてまた飲むの繰り返し。」
そうして疲れ切ってトイレで寝るか、たまたま抑制剤が効いてふらふらになりながらベッドに戻るか、毎回そういったことを繰り返してきている。
「……バカみたいだろう。」
何度やっても何も変わらないと分かっていながら同じことを繰り返す自分に対して思わず嘲笑してしまい、同意を求めるように翼を見るが、真剣な顔をするだけで同じようには笑ってくれない。
ただじっと昴希の話を聞くその目はいつもと同じ熱をチラつかせながらも落ち着いていて、その静かさが自然と引きつった頬を下げてしまう。
「腕噛んだのは、薬と関係ある?」
「……どうだろう。薬のせいで噛んだとかじゃないけど、効かないのが悔しくて……気付いたら噛んでた。」
本当にみっともない。情けない自分がそこにはいる。
言葉にするとどうしようもなく自分が小さい気がして、昴希は恥ずかしくて泣きたくなるのを俯いて堪えた。
翼は昴希の深いところを知っても、それに対していいも悪いも言わない。ただ純粋な問いかけを重ねただけで、心配そうな表情は変えずにただじっとこちらを見つめていた。
それが昴希の不安を余計に煽る。やはり呆れてしまったんじゃないかと。
「こーちゃんはなんで続けたの?」
瞬間、羞恥なのか怒りなのかカアっと頬が燃えた。
そしていつものように反射的に心を固く閉ざそうとする。
どうして気づかないフリをしてくれないんだ、と怒りと悲しみが混じり合った感情の波が昴希の身体に打ちつけ、元々どろどろざらざらと嫌な音を立てて流れていた血流が早くなったような気がした。
「…………怖かったから。」
「それは最初でしょ?意味ないって思ったら、こーちゃん続けないじゃん。」
小さな衝動でついた嘘はすぐに見抜かれてしまう。
必死に守りを固めた心の一番脆いところを突かれてしまい、裸の自分を見せるような恐怖と羞恥に襲われた。
昴希とは正反対に凪いだ海のような視線と言葉をなげてくる翼は時々容赦がない。
その容赦のなさに救われたこともあるが、今はただ昴希に強烈な恥じらいを覚えさせるだけだ。
心の一番奥に隠して、自分さえも見ないで済むように隠してきた澱のようなものがふわっと浮き上がってきて感情を濁らせる。
静かに、だけれど確実に昴希の心を乱す濁りを感じると、翼の視線も愛情も受けているのが辛くなってきて紙袋を胸に抱え身体を折った。
「……こ、こーちゃん?」
「同じでいられるから。」
うずくまるような格好になったのを見てさすがに動揺した翼の声を無視して、昴希は一言だけそう言った。
本当は背中さえ見てほしくない。このまま小さくなって消えられるならそうしたいほどだという気持ちさえ湧き上がる。
だがどれだけ卑しくても、そういう自分さえも全部見せないと、翼を受け止める資格を得ることさえできない気がして、昴希は溢れる涙にも構わず身体を震わせて続ける。
「吐いてるときと、痛いときは……性欲なくなるから、みんなと、同じでいられた……。」
ヒートの衝動の中、翼や直人のように飛べる自分でいられる時間はほとんどない。
大きな波が襲ってくれば、薬が効いて落ち着くまで求め続ける身体と、それに恐怖する自分に飲み込まれないように必死になるしかない。
そういう中で吐き気が来て全部が流れるまでの間と、自分の歯が皮膚を破る瞬間だけは真っさらで他の人と変わらない自分がいるような気がしていた。
そんな一瞬の幻想を捨て身で手に入れようとする自分が、悲しいほど惨めで、腹立たしいほどほど情けない。
これ以上みっともないところは見せられず、顔を伏せて泣き続ける昴希の背中に躊躇いながら大きな手が触れる。
戸惑っているのか、撫でるだけなのにぎこちないその手つきが愛しくてしゃくりあげて泣く合間に何とか言葉を繋いでいく。
「でも……もう、それ……ダメだから。」
「え……?」
「薬、飲むの……もう、したくない。」
――「江夏くんはどうするの?」
智の声が頭の中でこだまする。
翼を選びたい。それが昴希の答えであり、選ぶためにはこの紙袋を手放さないといけなかった。
「なんで、ダメなの?」
声を震わせたその問いかけに、やはり翼は翼だと安心してしまう。もどかしいほど全部を伝えないと分からない彼が昴希は憎らしいほど好きになっていた。
ぐしゃぐしゃに汚れて歪んだ酷い顔だろうと思いながらゆっくり身体を起こす。昴希を支えるように寄り添う体温が嬉しくて、最後に一筋涙を流して翼を見つめた。
「薬、飲みすぎて……長い間入院した人がいる。……それもたくさん。」
それは昴希を躊躇わせる残り時間の見えない時限爆弾だった。
依存からの脱却と同時に薬の調整を行うのは一朝一夕にはいかないようで、年単位の入院になることもあるらしい。
それに入退院を繰り返すともまことしやかに噂されている。
「翼をその間一人にするって分かってて、付き合おうなんて言えない。」
かわいそうなほど昴希だけを求める翼と手を繋ぐためには、これ以上同じことは繰り返せない。
智の焦るような声も、自分が溺れるように薬を飲んでしまった過去も、この爆弾を止めるにはそれしかないのだと昴希の弱い心に強く訴えてくる。
いつか一人にするかもしれないと分かっていて、騙すように好きだと言えるほど昴希も無責任にはなれない。何の躊躇いもなく恋人になれると思えて初めて翼の手を取れるように感じていた。
そこまで分かっているのに抑制剤はまだ手元にある。
これがなくなったときに、自分はどこまで自分でいられるか分からないのが昴希に恐ろしいまでの不安をもたらして捨てられなかった。
視線を落とせば短い時間でシワだらけになった抑制剤の袋が目に入る。表面にびっしりと凹凸が刻まれたそれが、ハリボテも保てなくなった今の情けない自分のようだと思ってしまう。
全てを話し終えたと実感すると、再び涙が溢れ出す。
ふと視線を上げると、眉間にシワを寄せ考えこみながらも昴希を心配している優しい瞳と目が合った。
そんな翼の姿にすごく申し訳なさを覚えて、どうしていいか分からずに昴希はひとまず下手くそな笑顔を作って見せた。
それを見た途端、翼は眉間のシワを深くしてから不器用な掌で昴希の背中を優しく撫でる。
吸い込まれてしまいそうな瞳でこちらを覗くので、昴希も視線を逸らさずにその奥にある心を見つめた。
「……こーちゃんは、薬飲みすぎないでいれたら、俺のこと好きって言ってくれんの?」
返事の代わりに一つ頷く。
すると紙袋を潰しそうなほど力が込められた昴希の手を翼が優しく包みこんだ。
心が子どものようなところがあるせいか、不思議なほど翼の手のひらは温かい。
「じゃあこれ、オレが預かる。」
突然の申し出に驚きつつも、瞬きを繰り返しつつ昴希はもう一度頷いた。
「薬足りなくなったり、こーちゃん怖い思いしたらすぐもってくから。」
「持ってきたらダメなんだって……。」
思わず吹き出してから、きっと大丈夫だと昴希は思った。翼になら預けてもいいと、そっと紙袋から手を引いた。
残った翼の手が紙袋を包んで、昴希の膝から自分の身体の横に移動させるのを見て、何だか身体が軽くなった気がした。たった百グラムくらいの重さなのに。
「翼。ヒート終わったら、一緒に捨ててくれるか?」
「うん。」
これが昴希がねだってした初めての約束だった。
きっとこの約束があれば、次のヒートは大丈夫だと自然とそう思えた。
記憶を紐解きながら話せば、出来るだけ淡々と話そうと思っていたのに少しだけ声が裏返ってしまう。
何で自分だけがこんなにもおかしな身体に生まれたのか、それは今でも時折昴希の脳裏に浮かぶ疑問だった。
「高校入ったばっかりのヒートのときに、それが怖くてとにかくたくさん薬飲んだのが最初。」
オメガになんか生まれたくなかったと叫ぶ心は悲しいのに、身体が早く誰かを受け入れなくてはと渇きを覚えたあの頃からずっと昴希はちぐはぐだ。
心がどんなに拒否をしても、身体が精と快楽を求める。それがクラスの中で自分だけに起きていることだと思うとななおさら惨めでやるせない。
「飲んでなんか変わんの?」
心の乱れを悟られないよう必死に痛みと不快感に耐える昴希に、おそらく無知から来るのであろう、翼は鋭く切り込んでくる。
それに対して昴希は静かに首を横に振った。
「変わるわけない。気休めだよ。俺の薬は一番弱いのだし。」
何かしていないと窓から飛び降りたくなりそうな激しい衝動と嫌悪感だった。
しかしそれを試さない程度の分別と臆病さ、それから周囲の優しさがいつも昴希にストップをかけてきた。
「そうは言っても副作用あるからちょっとすると吐いて、薬ごと吐くから全然効かなくてまた飲むの繰り返し。」
そうして疲れ切ってトイレで寝るか、たまたま抑制剤が効いてふらふらになりながらベッドに戻るか、毎回そういったことを繰り返してきている。
「……バカみたいだろう。」
何度やっても何も変わらないと分かっていながら同じことを繰り返す自分に対して思わず嘲笑してしまい、同意を求めるように翼を見るが、真剣な顔をするだけで同じようには笑ってくれない。
ただじっと昴希の話を聞くその目はいつもと同じ熱をチラつかせながらも落ち着いていて、その静かさが自然と引きつった頬を下げてしまう。
「腕噛んだのは、薬と関係ある?」
「……どうだろう。薬のせいで噛んだとかじゃないけど、効かないのが悔しくて……気付いたら噛んでた。」
本当にみっともない。情けない自分がそこにはいる。
言葉にするとどうしようもなく自分が小さい気がして、昴希は恥ずかしくて泣きたくなるのを俯いて堪えた。
翼は昴希の深いところを知っても、それに対していいも悪いも言わない。ただ純粋な問いかけを重ねただけで、心配そうな表情は変えずにただじっとこちらを見つめていた。
それが昴希の不安を余計に煽る。やはり呆れてしまったんじゃないかと。
「こーちゃんはなんで続けたの?」
瞬間、羞恥なのか怒りなのかカアっと頬が燃えた。
そしていつものように反射的に心を固く閉ざそうとする。
どうして気づかないフリをしてくれないんだ、と怒りと悲しみが混じり合った感情の波が昴希の身体に打ちつけ、元々どろどろざらざらと嫌な音を立てて流れていた血流が早くなったような気がした。
「…………怖かったから。」
「それは最初でしょ?意味ないって思ったら、こーちゃん続けないじゃん。」
小さな衝動でついた嘘はすぐに見抜かれてしまう。
必死に守りを固めた心の一番脆いところを突かれてしまい、裸の自分を見せるような恐怖と羞恥に襲われた。
昴希とは正反対に凪いだ海のような視線と言葉をなげてくる翼は時々容赦がない。
その容赦のなさに救われたこともあるが、今はただ昴希に強烈な恥じらいを覚えさせるだけだ。
心の一番奥に隠して、自分さえも見ないで済むように隠してきた澱のようなものがふわっと浮き上がってきて感情を濁らせる。
静かに、だけれど確実に昴希の心を乱す濁りを感じると、翼の視線も愛情も受けているのが辛くなってきて紙袋を胸に抱え身体を折った。
「……こ、こーちゃん?」
「同じでいられるから。」
うずくまるような格好になったのを見てさすがに動揺した翼の声を無視して、昴希は一言だけそう言った。
本当は背中さえ見てほしくない。このまま小さくなって消えられるならそうしたいほどだという気持ちさえ湧き上がる。
だがどれだけ卑しくても、そういう自分さえも全部見せないと、翼を受け止める資格を得ることさえできない気がして、昴希は溢れる涙にも構わず身体を震わせて続ける。
「吐いてるときと、痛いときは……性欲なくなるから、みんなと、同じでいられた……。」
ヒートの衝動の中、翼や直人のように飛べる自分でいられる時間はほとんどない。
大きな波が襲ってくれば、薬が効いて落ち着くまで求め続ける身体と、それに恐怖する自分に飲み込まれないように必死になるしかない。
そういう中で吐き気が来て全部が流れるまでの間と、自分の歯が皮膚を破る瞬間だけは真っさらで他の人と変わらない自分がいるような気がしていた。
そんな一瞬の幻想を捨て身で手に入れようとする自分が、悲しいほど惨めで、腹立たしいほどほど情けない。
これ以上みっともないところは見せられず、顔を伏せて泣き続ける昴希の背中に躊躇いながら大きな手が触れる。
戸惑っているのか、撫でるだけなのにぎこちないその手つきが愛しくてしゃくりあげて泣く合間に何とか言葉を繋いでいく。
「でも……もう、それ……ダメだから。」
「え……?」
「薬、飲むの……もう、したくない。」
――「江夏くんはどうするの?」
智の声が頭の中でこだまする。
翼を選びたい。それが昴希の答えであり、選ぶためにはこの紙袋を手放さないといけなかった。
「なんで、ダメなの?」
声を震わせたその問いかけに、やはり翼は翼だと安心してしまう。もどかしいほど全部を伝えないと分からない彼が昴希は憎らしいほど好きになっていた。
ぐしゃぐしゃに汚れて歪んだ酷い顔だろうと思いながらゆっくり身体を起こす。昴希を支えるように寄り添う体温が嬉しくて、最後に一筋涙を流して翼を見つめた。
「薬、飲みすぎて……長い間入院した人がいる。……それもたくさん。」
それは昴希を躊躇わせる残り時間の見えない時限爆弾だった。
依存からの脱却と同時に薬の調整を行うのは一朝一夕にはいかないようで、年単位の入院になることもあるらしい。
それに入退院を繰り返すともまことしやかに噂されている。
「翼をその間一人にするって分かってて、付き合おうなんて言えない。」
かわいそうなほど昴希だけを求める翼と手を繋ぐためには、これ以上同じことは繰り返せない。
智の焦るような声も、自分が溺れるように薬を飲んでしまった過去も、この爆弾を止めるにはそれしかないのだと昴希の弱い心に強く訴えてくる。
いつか一人にするかもしれないと分かっていて、騙すように好きだと言えるほど昴希も無責任にはなれない。何の躊躇いもなく恋人になれると思えて初めて翼の手を取れるように感じていた。
そこまで分かっているのに抑制剤はまだ手元にある。
これがなくなったときに、自分はどこまで自分でいられるか分からないのが昴希に恐ろしいまでの不安をもたらして捨てられなかった。
視線を落とせば短い時間でシワだらけになった抑制剤の袋が目に入る。表面にびっしりと凹凸が刻まれたそれが、ハリボテも保てなくなった今の情けない自分のようだと思ってしまう。
全てを話し終えたと実感すると、再び涙が溢れ出す。
ふと視線を上げると、眉間にシワを寄せ考えこみながらも昴希を心配している優しい瞳と目が合った。
そんな翼の姿にすごく申し訳なさを覚えて、どうしていいか分からずに昴希はひとまず下手くそな笑顔を作って見せた。
それを見た途端、翼は眉間のシワを深くしてから不器用な掌で昴希の背中を優しく撫でる。
吸い込まれてしまいそうな瞳でこちらを覗くので、昴希も視線を逸らさずにその奥にある心を見つめた。
「……こーちゃんは、薬飲みすぎないでいれたら、俺のこと好きって言ってくれんの?」
返事の代わりに一つ頷く。
すると紙袋を潰しそうなほど力が込められた昴希の手を翼が優しく包みこんだ。
心が子どものようなところがあるせいか、不思議なほど翼の手のひらは温かい。
「じゃあこれ、オレが預かる。」
突然の申し出に驚きつつも、瞬きを繰り返しつつ昴希はもう一度頷いた。
「薬足りなくなったり、こーちゃん怖い思いしたらすぐもってくから。」
「持ってきたらダメなんだって……。」
思わず吹き出してから、きっと大丈夫だと昴希は思った。翼になら預けてもいいと、そっと紙袋から手を引いた。
残った翼の手が紙袋を包んで、昴希の膝から自分の身体の横に移動させるのを見て、何だか身体が軽くなった気がした。たった百グラムくらいの重さなのに。
「翼。ヒート終わったら、一緒に捨ててくれるか?」
「うん。」
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