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第七十章 巡礼の道
ライラのお料理
しおりを挟むライラさんのお料理は、何ともおいしいものでした。
どうやら家事は得意のようですね。
食事の後も、片付けや寝床の準備など、出来うる限りのことをしてくれます。
この人、本当に健康的な美しい娘さんですね。
大人になれば、傾国の美女になるでしょうね。
でも……食べちゃって……
ペルペトゥアさんはかなり精悍な方で、凛とした美女ですね。
ただあまり格好に頓着しないのが残念ですが……
こちらも……食べちゃって……
貞操帯などをつけた二人ですので、駅舎を出てから昼すぎまで、ライラさんは、かなりセクシーな歩き方をされていました。
といっても、昨日に比べれば健全ですけど。
「二人とも貞操帯をはずしてはいかがですか?」
「大丈夫です、かなり慣れてきました」
「それに、いつもティアマト様に愛していただけるように、体がなります」
「夜だけではなく、朝でも昼でも一日中、ティアマト様に支配されているようで……誇らしく思っています」
ペルペトゥアさんの言葉です。
……なんといえばいいのか……
三人はお昼を取るため、街道を少し外れて、焚き火などしています。
ライラさんが忙しそうに、お昼の準備を始めました。
無論、食材は美子さんが出しています。
「ペルペトゥアさん、振武刀には馴染みましたか?」
「朝、駅舎で振ってみたのですが、軽いし、扱いよいものですね」
「片刃ですので、最初は戸惑いましたが、すぐに馴染みました」
「ティアマト様のいわれるように、岩に対して念じながら切ってみると、簡単に切れました」
「ペルペトゥアさんは、達人に近いでしょうからなんですが、突きもありですよ」
「突きですか?」
こういいながら、振武刀の切っ先に、目がいくペルペトゥアさんです。
「一つ余芸を見せてあげましょう」
美子さん、振武刀を手に取ると、腰を落として突きの姿勢をとりました。
「そこのこぶし大の石を、上に軽くほうってくれませんか?」
ペルペトゥアが放り上げると……
振武刀が石を貫いていました。
唖然としているペルペトゥアに、
「一撃必殺、格上の相手とやりあうときには有効でしょう、隙を衝かれれば、私でも喰らうかもしれませんね」
なにか云いかけたペルペトゥアさんでしたが、ライラさんが
「ご飯が出来ました!」
昨晩出したフライパンで、切り刻んだソーセージとキャベツをいためたものを、昨晩とっておいたチャパティを少しあぶって挟んでいます。
飲み物はクランベリーワイン、これを暖めてそのまま飲むようです。
アルコールも飛んでいますし、まぁジュースみたいなものですね。
テラのドイツあたりの、ホットワインといえばいいでしょぅ。
で、お食事中にお約束の強盗ですね。
ペルペトゥアさんが追っ払っていますが、二三人こちらに向かってきました。
ライラさん、怖くて美子さんにしがみついています。
やりにくそうな美子さんですが、石つぶてなんてお見舞いしています。
ライラさん、結構じゃましているのです。
強盗団を蹴散らした、ペルペトゥアさんが戻ってきました。
「ご苦労様です、お食事の続きをしましょう」
「すみませんでした……」
ライラさん、申し訳なさそうにいいましたが、
「なんてことないわよ、それよりライラさんは大丈夫、怪我はなかった?」
「大丈夫です、ティアマト様に守っていただきましたから……」
「それなら、このパンみたいなもの、追加をお願いできませんか、おいしくてね」
「はい♪」
こんなことがありましたが、その夜はまた駅舎で一泊、翌日の夕刻に、なんとかアヨーディヤーの街に到着したのです。
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