上 下
64 / 108
第七十章 巡礼の道

ライラのお料理

しおりを挟む

 ライラさんのお料理は、何ともおいしいものでした。
 どうやら家事は得意のようですね。
 食事の後も、片付けや寝床の準備など、出来うる限りのことをしてくれます。

 この人、本当に健康的な美しい娘さんですね。
 大人になれば、傾国の美女になるでしょうね。
 でも……食べちゃって……

 ペルペトゥアさんはかなり精悍な方で、凛とした美女ですね。
 ただあまり格好に頓着しないのが残念ですが……
 こちらも……食べちゃって……

 貞操帯などをつけた二人ですので、駅舎を出てから昼すぎまで、ライラさんは、かなりセクシーな歩き方をされていました。
 といっても、昨日に比べれば健全ですけど。

「二人とも貞操帯をはずしてはいかがですか?」
「大丈夫です、かなり慣れてきました」
「それに、いつもティアマト様に愛していただけるように、体がなります」

「夜だけではなく、朝でも昼でも一日中、ティアマト様に支配されているようで……誇らしく思っています」
 ペルペトゥアさんの言葉です。

 ……なんといえばいいのか……

 三人はお昼を取るため、街道を少し外れて、焚き火などしています。
 ライラさんが忙しそうに、お昼の準備を始めました。
 無論、食材は美子さんが出しています。
 
「ペルペトゥアさん、振武刀には馴染みましたか?」
「朝、駅舎で振ってみたのですが、軽いし、扱いよいものですね」

「片刃ですので、最初は戸惑いましたが、すぐに馴染みました」
「ティアマト様のいわれるように、岩に対して念じながら切ってみると、簡単に切れました」

「ペルペトゥアさんは、達人に近いでしょうからなんですが、突きもありですよ」
「突きですか?」
 こういいながら、振武刀の切っ先に、目がいくペルペトゥアさんです。

「一つ余芸を見せてあげましょう」
 美子さん、振武刀を手に取ると、腰を落として突きの姿勢をとりました。

「そこのこぶし大の石を、上に軽くほうってくれませんか?」
 ペルペトゥアが放り上げると……

 振武刀が石を貫いていました。

 唖然としているペルペトゥアに、
「一撃必殺、格上の相手とやりあうときには有効でしょう、隙を衝かれれば、私でも喰らうかもしれませんね」

 なにか云いかけたペルペトゥアさんでしたが、ライラさんが
「ご飯が出来ました!」
 
 昨晩出したフライパンで、切り刻んだソーセージとキャベツをいためたものを、昨晩とっておいたチャパティを少しあぶって挟んでいます。

 飲み物はクランベリーワイン、これを暖めてそのまま飲むようです。
 アルコールも飛んでいますし、まぁジュースみたいなものですね。
 テラのドイツあたりの、ホットワインといえばいいでしょぅ。

 で、お食事中にお約束の強盗ですね。
 ペルペトゥアさんが追っ払っていますが、二三人こちらに向かってきました。
 ライラさん、怖くて美子さんにしがみついています。
 
 やりにくそうな美子さんですが、石つぶてなんてお見舞いしています。
 ライラさん、結構じゃましているのです。

 強盗団を蹴散らした、ペルペトゥアさんが戻ってきました。
「ご苦労様です、お食事の続きをしましょう」

「すみませんでした……」
 ライラさん、申し訳なさそうにいいましたが、
「なんてことないわよ、それよりライラさんは大丈夫、怪我はなかった?」

「大丈夫です、ティアマト様に守っていただきましたから……」
「それなら、このパンみたいなもの、追加をお願いできませんか、おいしくてね」
「はい♪」

 こんなことがありましたが、その夜はまた駅舎で一泊、翌日の夕刻に、なんとかアヨーディヤーの街に到着したのです。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

罰ゲームから始まる陰キャ卒業

BL / 完結 24h.ポイント:392pt お気に入り:56

時翔る嫁 双子令嬢と身代わりの花婿

恋愛 / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:68

親友とキスしちゃったら、気持ちよくてハマりそう

mii
BL / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:58

Vanishing Twins 

ミステリー / 完結 24h.ポイント:85pt お気に入り:11

ペア

BL / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:5

鈍感生真面目男と恋人になるまでのロングプロセス

BL / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:48

処理中です...