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第七十三章 神在(かみあ)り騒動

供食(きょうしょく) 其の二

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 茜さんが、ここで幹事役を始めます。
「お父様、お母様、おじい様はこちらのテーブル、ほら、ライラさんとペルペトゥアさん、三人のお相手をお願いね」
「お給仕?美子と私がやりますから、今日は二人もお客様よ」 

「ガスコンロの火をつけてね、お餅を焼いたらお椀にいれてね、それからお汁をかけてね、お汁は沸騰させてはだめよ」

「あげ餅もあるわよ、足りなければいってね、美子があげてくれるから」

「おじい様、ちょっと待ってくださいね」

「最後はぜんざいがあるから、お腹の隙間を残しておいてね」

「お酒も少しはあるわ、でも酔っ払うのは禁止よ、その為にお銚子は一人一本よ」

 怒涛の仕切りです。
 
 そして供食(きょうしょく)会は、楽しく始まったのです。
 
 美子さんと茜さんは、各テーブルを回っています。
「お餅、もういいわよ、お汁をこれにかけてね」
「無理してお箸を持つことはないわ、このスプーンで食べてね」
 
 忙しい二人ですが、なぜか嬉しそうですね。

 天津吉川高御産巣日様と天津吉川高御産巣日様が、
「あなた、娘たち、嬉しそうですね」
「そうだな、心にあったかいものが湧き出でている、これが幸せの波動なのだろうな」

「皆さんもよい娘さんですね、少し話したのですが、心が綺麗で、あまり他人をねたんではいない」
「競争心は持っておられるようですが、陰湿なところは誰も持っていない」

「ウイッチというものは、美子の気持ちを反映してしまうのだろう」
「好ましい者に好かれたいために、これはいいことだな」
「他者を妬む、うらむなどの感情は、憎悪の波動を呼び起こす」

「それに、これはサリーさんに聞いたことだが、美子の世界では、もうすぐ誰でも食事が出来る体制をめざし、めどがつきかけているそうだ」
「誇らしいですね」

 天津吉川天之御中主(あめのみなかぬし)様は、そのような二人を眺めながら、このように思っていました。
 
 ……なるほどな、美子の波動が影響しているのか……人の親のように見える、優しい波動だ……

 ……孫娘……言葉は力を持つ、大神様はご存知だったのだろうか……

 ……大神様の贈り物、私もありがたくいただくとしようか……私は祖父ということ、孫娘を溺愛しても許される……

 ……すばらしきかな、この『有』の世界……

「おじい様、少し孫娘のお酒を受けてください」
 美子と茜が銚子を持っています。

 少し照れたような『おじい様』は、小さい杯を差し出したようです。 

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