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126 両想い万歳っ!!!!

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 新しい朝が来た、希望の朝だ。
 俺は喜びに胸を開いて、大空を仰いでいる。

 別にラジオ体操をしているわけではない。

 好きな人と過ごすと、胸がドキドキして、ほっこりとした温かな気持ちになるらしい。
 だが、俺の胸は温かくなるどころじゃない。
 今の俺の胸は燃え上がっている。

 そう、愛という名の炎でなッ!

 恋は人を駄目にするってよく言うけど、真実だった。
 相変わらずジルベルトの周りには、キラキラと光る金色の粒が舞っている。
 俺の視界には、恋人であるジルベルトの姿しか見えない。
 イケメンすぎる顔を見ているだけで、だらしなく頬が緩んで、どうしようもない顔になってしまう。

 朝からジルベルトが俺の部屋に来てくれて、『おはよう、リオン。会いたかった』なんて言われて、たった数時間しか離れていないのに、そんな可愛いことを言うジルベルトにもうメロメロだった。

 リュカが居たから、照れ隠しで『ん』しか返事を出来なかった俺……。
 王子様ジルベルトと比べたら、俺は残念すぎるだろう。
 素っ気ない態度をとってしまったが、顔はにやけまくっていたと思う。



 そんな俺はジルベルトを隣に座らせて、さりげなくぴったりとくっついている。

 よく見ると目元に隈が出来ていることに気付いて、膝枕をしてあげた。
 キラキラの金髪を愛でて、心配している風を装って、ただジルベルトに触れたいだけ。

 いや、もちろん心配はしているけどな?

 「ちゃんと寝ないとダメだぞ?」
 「ああ、心配してくれてありがとう」
 「ん。たくさん寝て、たくさん食べて、逞しい体にならないといけないからな!」

 腕で目元を隠して寝ているジルベルトの頬が、僅かに赤くなっている気がするのは気のせいだろうか?

 いや、気のせいじゃない。
 要するに、俺はジルベルトに「早く抱いて!」と言っているんだ。
 察しの良いジルベルトなら、俺の言葉に隠された意味にすぐに気付いたんだろう。

 「べ、別に、急かしているわけじゃない、からな?」
 「……ああ、俺も早く……。いやなんでもない」

 っうぉい!
 恥ずかしいだろう、馬鹿野郎がっ!
 そこまで言うなら最後まで言ってくれっ!

 内心歓喜の雄叫びをあげている俺だが、リュカもいるから抑えている。
 にやけそうになる表情筋を全力で駆使して、口を尖らせている俺は、ジルベルトの上半身を服の上から撫で回していた。

 「宰相殿にはいつ話そうか」
 「ブレスレットの件がうまくいってからにしようと思っている。あの人に認められるかは分からないけど、俺はリオンに相応しい男になってから報告したい」

 腕を少しずらして俺を見上げるジルベルトは、男前すぎてかっこいい。

 ……めちゃくちゃキスしたい。
 でも我慢我慢。
 朝から盛るな、俺!

 「そうだな、でも兄様には報告するつもり。ていうか、俺が言いたい」
 「っ、俺もだよ。全国民に知らせたい」
 「うっ…………。バカ」

 ぷいっとそっぽを向いたが、俺の顔色は確実に完熟トマトになっている。

 リュカが新しい紅茶を用意するために席を外した瞬間、ジルベルトが小声で話しかけてくる。

 「リオン、好きだよ。リオンのことを考えていたら全然眠れなかった。二人きりになってリオンに口付けしたい、たくさん愛でたい。そんなことばかり考えている俺は、嫌いか?」

 不安そうに問いかけてくるジルベルトに、胸をぎゅっと鷲掴みにされた。

 ジルベルトも俺と同じ気持ちだった!
 嬉しすぎるだろう、コノヤロウっ!
 両想い万歳っ!!!!

 俺は我慢出来ずに、ジルベルトの唇を奪っていた。

 「ごめん、我慢してたけど無理だった。俺も同じこと考えてた。実はさ、前まで好きな人がいたんだけど、失恋しちゃって。でも、ジルベルトのおかげで心の傷が癒えたんだ! 愛の力ってすごいよな、本当。俺は生涯、ジルベルト一筋だ」

 堂々と宣言すると、ジルベルトは大きな目を丸くしていた。

 俺はそんなジルベルトの頬を撫でて、撫でて、撫でまくる。
 好きだよって気持ちを乗せて。

 いつのまにかリュカが戻っていて、俺は慌てて手を引こうとしたが、ジルベルトが俺の手を掴む。
 俺はジルベルトと視線を合わせて、微笑みながら頬を撫で続けた。

 ブレスレットの件を早く報告したがるリュカに、さっさと座れと幸せな時間を遮られてしまったが、ジルベルトとは言葉を交わさなくても、気持ちが通じ合っている気がした。

 「じゃあ、俺のすることはほとんどないんだな」
 「ああ、最終確認だけ頼む。リオンを頼らずに成し遂げたいんだ」
 「ジルベルト……。うん、よく頑張ったな! さすが俺の相棒だ!」

 金髪をわしゃわしゃと撫でると、ジルベルトが嬉しそうに口許を緩める。
 その顔をじっくりと見ていると、ジルベルトも同じように熱い視線を向けてくる。

 俺と婚約するために全力で頑張っているジルベルトは、本当にかっこいい。
 しばらく見つめ合っていると、リュカがカシャンと音を鳴らして紅茶のカップを置いていた。

 リュカが音を出すなんて珍しい。
 あ、気まずいよな?
 ごめん、本当。
 周りが見えなくなっていたぜっ。

 「報告はこれで終わり」
 「了解。今日は特にやることがないなら、まったりしないか? ……ふたりで」

 小声で付け加えてみたが、隣に座るジルベルトには聞こえているはず。
 俺の言葉に目を見張ったジルベルトは、花が咲き誇るような笑みを見せてくれる。

 「俺の部屋に行こうか」
 「……ぅん」

 そして今日もお姫様扱いをしてくるジルベルトに連れられて、夕食の時間だとリュカの迎えが来るまで、ジルベルトとひたすらイチャイチャして過ごした俺は、世界一幸せ者だと思った。








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