尽くすことに疲れた結果

ぽんちゃん

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 レオンさんとの約束をして一ヶ月が経ち、季節は春を迎えていた。


 結局、僕の夕飯を食べてくれる人はレオンさんだけだった……。


 エドワードときちんと話し合いたかった僕は、レオンさんに僕が必ず家にいる日時を伝えてもらっていた。
 何度か手紙でやり取りをしたのだけど、どうしてもやらなければならないことがあるらしく、会えずじまい。
 明らかに避けられていることに気付いた僕は、レオンさんにお願いして、エドワードのところへ連れて行ってもらうことにした。

 僕が行けば迷惑になるってわかっているけど、もう別れたいのなら、ハッキリ言って欲しい。
 幼馴染みに戻って、傍にいられなくなったとしても、僕は遠くからエドワードを応援するつもり。

 でも、エドワードと別れるなんて一度も考えたことがなかった僕は、いざ別れたいって言われたら、受け入れられるのかな……?
 今まではエドワードの気持ちを優先して来たけど、別れ話をされた時は、ちょっとだけ我儘を言ってみたいと思う。
 


 

 今日は劇団の人たちが集まるパーティーがあるから、そこに突撃する予定だ。
 というより、なぜかエドワードに怒っているレオンさんがそう決定していた。
 夜会だと聞いたから、夜から始まるパーティーなのだと思っていたのだけど、どうしてか一日空けて欲しいと言われた僕は、朝からレオンさんを待っていた。

 そうしてやってきたのは、お花の妖精のような儚い容姿の男の子だった。

 
 「わあっ! 本物のノエルちゃんッ! ようやく会えたっ! はじめまして。レオンの友人のアルバートだよ、よろしくね! アルって呼んで? で。さっそくだけど、今日の夜会に着ていく衣装は、グリーンでいいかな? 僕と同じ体型だから、直しをしなくてもピッタリだと思うッ!」
 

 ひょろい僕と同じような体型なのに、元気溌剌な男の子──アルバートくんの圧に、僕は口をはくはくとさせていた。
 ラベンダー色の髪と瞳がすごく綺麗で、男の子なんだけど、お金持ちのお嬢様みたいだ。


 「おい、アル。ノエルちゃんが困ってるだろ? しかも、なんでわざわざ緑なんだよ……」
 「ふふふふふっ。あの馬鹿を正気に戻すためにそ決まってるじゃないっ! 恋人が心変わりしそうになってるってわかれば、きっと飛んでくるはず!」
 「えっ。ノ、ノエルちゃんが、俺を……?」
 「は? なんで照れてるの? 略奪以前に、想いも伝えてないくせにっ。気持ち悪っ。レオンのためじゃないからね? ノエルちゃんのためだからッ! それに、今回はきっとスペシャルゲストもいるしね? ムフフ……。残念ながら、レオンは蚊帳の外かもよ? 誰がノエルちゃんを幸せにしてくれるんだろうね~?」


 なにやら含み笑いをするアルバートくんに、ドン引きしている様子のレオンさん。
 頭を抱えているけど、仲が良いことが伝わって来ていた。
 そんな彼らの後ろからは、スーツ姿の大人が続々と荷物を運んで来た。
 箱の中からは派手な衣装や装飾品が出てきて、僕の小さな家が荷物でぎゅうぎゅうになった。

 
 「さて、始めますか!」
 「あ、あの、僕はどれを着たら……」
 「なに言ってるの? まずは髪の毛からだよ!」
 「……へ?」


 蜂蜜のような液体の入った、透明な瓶を手に取るアルバートくんに詰め寄られる僕は、あれよあれよという間に素っ裸にされて浴室に放り込まれていた。





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