25 / 137
25
しおりを挟むレオンさんとの約束をして一ヶ月が経ち、季節は春を迎えていた。
結局、僕の夕飯を食べてくれる人はレオンさんだけだった……。
エドワードときちんと話し合いたかった僕は、レオンさんに僕が必ず家にいる日時を伝えてもらっていた。
何度か手紙でやり取りをしたのだけど、どうしてもやらなければならないことがあるらしく、会えずじまい。
明らかに避けられていることに気付いた僕は、レオンさんにお願いして、エドワードのところへ連れて行ってもらうことにした。
僕が行けば迷惑になるってわかっているけど、もう別れたいのなら、ハッキリ言って欲しい。
幼馴染みに戻って、傍にいられなくなったとしても、僕は遠くからエドワードを応援するつもり。
でも、エドワードと別れるなんて一度も考えたことがなかった僕は、いざ別れたいって言われたら、受け入れられるのかな……?
今まではエドワードの気持ちを優先して来たけど、別れ話をされた時は、ちょっとだけ我儘を言ってみたいと思う。
◆
今日は劇団の人たちが集まるパーティーがあるから、そこに突撃する予定だ。
というより、なぜかエドワードに怒っているレオンさんがそう決定していた。
夜会だと聞いたから、夜から始まるパーティーなのだと思っていたのだけど、どうしてか一日空けて欲しいと言われた僕は、朝からレオンさんを待っていた。
そうしてやってきたのは、お花の妖精のような儚い容姿の男の子だった。
「わあっ! 本物のノエルちゃんッ! ようやく会えたっ! はじめまして。レオンの友人のアルバートだよ、よろしくね! アルって呼んで? で。さっそくだけど、今日の夜会に着ていく衣装は、グリーンでいいかな? 僕と同じ体型だから、直しをしなくてもピッタリだと思うッ!」
ひょろい僕と同じような体型なのに、元気溌剌な男の子──アルバートくんの圧に、僕は口をはくはくとさせていた。
ラベンダー色の髪と瞳がすごく綺麗で、男の子なんだけど、お金持ちのお嬢様みたいだ。
「おい、アル。ノエルちゃんが困ってるだろ? しかも、なんでわざわざ緑なんだよ……」
「ふふふふふっ。あの馬鹿を正気に戻すためにそ決まってるじゃないっ! 恋人が心変わりしそうになってるってわかれば、きっと飛んでくるはず!」
「えっ。ノ、ノエルちゃんが、俺を……?」
「は? なんで照れてるの? 略奪以前に、想いも伝えてないくせにっ。気持ち悪っ。レオンのためじゃないからね? ノエルちゃんのためだからッ! それに、今回はきっとスペシャルゲストもいるしね? ムフフ……。残念ながら、レオンは蚊帳の外かもよ? 誰がノエルちゃんを幸せにしてくれるんだろうね~?」
なにやら含み笑いをするアルバートくんに、ドン引きしている様子のレオンさん。
頭を抱えているけど、仲が良いことが伝わって来ていた。
そんな彼らの後ろからは、スーツ姿の大人が続々と荷物を運んで来た。
箱の中からは派手な衣装や装飾品が出てきて、僕の小さな家が荷物でぎゅうぎゅうになった。
「さて、始めますか!」
「あ、あの、僕はどれを着たら……」
「なに言ってるの? まずは髪の毛からだよ!」
「……へ?」
蜂蜜のような液体の入った、透明な瓶を手に取るアルバートくんに詰め寄られる僕は、あれよあれよという間に素っ裸にされて浴室に放り込まれていた。
141
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
生まれ変わりは嫌われ者
青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。
「ケイラ…っ!!」
王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。
「グレン……。愛してる。」
「あぁ。俺も愛してるケイラ。」
壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。
━━━━━━━━━━━━━━━
あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。
なのにー、
運命というのは時に残酷なものだ。
俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。
一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。
★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
【運命】に捨てられ捨てたΩ
あまやどり
BL
「拓海さん、ごめんなさい」
秀也は白磁の肌を青く染め、瞼に陰影をつけている。
「お前が決めたことだろう、こっちはそれに従うさ」
秀也の安堵する声を聞きたくなく、逃げるように拓海は音を立ててカップを置いた。
【運命】に翻弄された両親を持ち、【運命】なんて言葉を信じなくなった医大生の拓海。大学で入学式が行われた日、「一目惚れしました」と眉目秀麗、頭脳明晰なインテリ眼鏡風な新入生、秀也に突然告白された。
なんと、彼は有名な大病院の院長の一人息子でαだった。
右往左往ありながらも番を前提に恋人となった二人。卒業後、二人の前に、秀也の幼馴染で元婚約者であるαの女が突然現れて……。
前から拓海を狙っていた先輩は傷ついた拓海を慰め、ここぞとばかりに自分と同居することを提案する。
※オメガバース独自解釈です。合わない人は危険です。
縦読みを推奨します。
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
もう一度君に会えたなら、愛してると言わせてくれるだろうか
まんまる
BL
王太子であるテオバルトは、婚約者の公爵家三男のリアンを蔑ろにして、男爵令嬢のミランジュと常に行動を共にしている。
そんな時、ミランジュがリアンの差し金で酷い目にあったと泣きついて来た。
テオバルトはリアンの弁解も聞かず、一方的に責めてしまう。
そしてその日の夜、テオバルトの元に訃報が届く。
大人になりきれない王太子テオバルト×無口で一途な公爵家三男リアン
ハッピーエンドかどうかは読んでからのお楽しみという事で。
テオバルドとリアンの息子の第一王子のお話を《もう一度君に会えたなら~2》として上げました。
※画像は男の子メーカーpicrewさんよりお借りしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる