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19 レオン
しおりを挟む新しく始まる舞台では、俺の一つ年下の友人が準主役を演じることが決定した。
つい三ヶ月前までは後援者が一人もいなくて、夢を諦めて田舎に帰るのかと心配していた相手に、俺はあっという間に追い抜かされていた。
「エドの勢いが止まらないな」
「恋人には可愛いノエルちゃんがいて、後援者にはヴァイオレット様って……無敵だろっ!」
「なぁ、エドぉ~。久々にノエルちゃんに会わせろよぉ~! 心が狭い男は嫌われるぞ!?」
「クソッ、余裕ってか!? いい男オーラ出すんじゃねぇよっ!」
仲間たちから羨ましいとばかりに声をかけられ、エドワードは微笑をたたえた。
少し前のエドワードなら謙遜しているのに、今では当たり前のように賛辞の言葉を受け取っている。
堂々としているし、以前のような必死な感じもなくて、演技も自然体になっている。
一皮むけて洗練された姿を見ることが出来て嬉しいはずなのに、俺はエドワードがなんだか別人になったみたいで少しだけ寂しい気持ちになっていた。
◆
稽古を終えて急いで着替えていると、エドワードの青色の瞳が俺を見ていた。
「今日は久々に、一緒に夜会に行かないか?」
パーティー嫌いのエドワードの言葉に、俺はびっくりしすぎて返事が遅れた。
「予定でもあるのか?」
「いや? でも、アルと飯の約束してて」
「ああ、レオンの後援者の……。じゃあ、三人で行かないか? 俺も久々にアルバートに会いたいし」
「おう、じゃあ聞いてみるわ。多分、ノリノリでついて来ると思うぜ?」
ふっと笑ったエドワードは、どこか貫禄がある。
最近、なんだか距離を感じていたから、わざわざ俺を誘ってくれたのかもしれない。
初めは、俺が強引に誘って、渋々エドワードがついてくるっていう流れだったのにな?
立場が逆転したみたいだ。
嫉妬していた部分もあったけど、エドワードの頑張りは傍でずっと見てきた。
もし、エドワードが成功者になって、俺は一生売れない俳優のままでも、俺はずっとエドワードを応援したいと思う。
アルバートと合流した俺たちは、さっそくパーティー会場に向かった。
急な変更だったのに、完璧におめかししてきたアルバートは、ノエルちゃんのような可憐な容姿。
でも、口を開けばマシンガントークでうるさいんだけど、今は居てくれて助かる。
馬車の中ではいつものようにアルバートがぺちゃくちゃ喋り倒し、エドワードは笑って聞いていた。
「なぁ、エド……」
「あっ!」
会場に足を踏み入れ、黒髪の美女を見つけた途端、青色の瞳にはヴァイオレット様しか見えていなかった。
早々に離れていった背を眺める俺たちは、目が点になっていた。
「エドが僕たちを誘ったんだよね?」
「っ……ごめんな? アイツ、今ちょっと周りが見えていないんだよ」
不貞腐れているアルバートを宥める俺は、出かかった溜息を飲み込んだ。
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