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しおりを挟むエドワードとギクシャクしたまま、僕はパーティー会場の壁の花になって、二週間が経っていた。
「嫉妬しているノエルちゃんも可愛いなぁ……」
「お前は、ノエルちゃんが尻軽の性悪でも、可愛いって言ってそうだよな?」
「うん。そこは否定出来ない」
呑気に笑っている劇団の人たちは、悪気があるわけじゃない。
わかっているけど、僕の頬は引きつりそうだ。
でも僕の視線の先は、大勢の後援者に囲まれて、今まで見てきた中で一番じゃないかってくらいに浮かれている恋人じゃない。
元々の後援者たちから無視されても、凛とした姿のエメラルドグリーンの瞳が美しい人だ。
先日、ようやく復帰したユージーン様が、すぐに僕を見つけて声をかけてくれたんだ。
たくさん話したいことがあったのに、エドワードは番犬モードだし、劇団の人たちも僕の護衛のように張り付いている。
だから、ユージーン様はなにか話したそうにしていたのだけど、挨拶するのもやっとだったんだ。
実は、ユージーン様が僕が魔法使いだと知り、契約金のために利用したこと。
エドワードと療養中の僕が会えないように画策していた、っていう噂が流れている。
ずっと僕と行動を共にしているエドワードが話したわけじゃない。
それなのに、悪いところだけを拾い上げた噂が流れていた。
僕がいくら否定しても、エドワードとユージーン様は一言も会話をしないから、みんなはその噂が真実だと確信してしまったんだ。
僕と関わったせいで、ユージーン様は批判を浴びている……。
それなのに、ユージーン様は一切言い訳をしなかった。
周囲から総攻撃されても、一人黙々と稽古をするユージーン様は、すごく強い人だと思う。
僕の目には、以前よりも魅力的に見えていた。
「どのツラ下げて戻ってきたんだか」
「もう、エドワードの天下なのにな?」
「あの澄ました顔を見てみろよ。ノエルちゃんを奪えると、本気で思ってそうだよな?」
みんながユージーン様に聞こえるように悪口を言っている。
その声を聞く度に、僕は胸が張り裂けそうになっていた。
それでも張本人は涼しい顔をしているのだから、余計に腹が立つみたいだ。
ここで僕がユージーン様を庇う発言をすると、余計にみんながヒートアップしてしまう。
だから僕は、違う話題を振ることしか出来なかった。
あれだけお世話になったのに、恩を仇で返すようなことをしている気がしてならない。
僕にとってのユージーン様は、僕の視野を広くしてくれた恩人なのに……。
人の悪口は気分が悪くなるだけだし、特に僕の大切な人の悪口はもっと聞きたくない。
だから僕は、本日何度目かわからない、お手洗いに向かう。
僕がいなくなったことで、劇団の先輩たちは余計に声を大きくしていた。
「ユージーンさんが連れている人、見たことない顔だよな?」
「ああ、噂によると、ずっと地方に行ってたらしいぜ? 王都の金持ちは、みんなエドについてるからなあ~。苦肉の策ってやつか?」
「へぇ~。あの人も、必死になることなんてあるんだな。初めて見たかも……」
「でも、残念だったな? 今回の主役の座は投票になるから、エドで確定してるってのに」
「最後の舞台で悪役を演じることになるとか、ピッタリすぎて笑える」
「っ、その話、どういうことですかっ!?」
とんでもない話が耳に届いた僕は、たまらず先輩たちに詰め寄っていた。
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