尽くすことに疲れた結果

ぽんちゃん

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その後

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 ユージーン様は謝罪の言葉もいらないみたいだ。
 そう判断した僕は、笑顔で頷いた。

 二人の服が汚れているし、匂いも酷い。
 ついでだから、洗ってあげよう。


 「水魔法? こんな可愛らしい子が……? まだ未成年じゃっ、へぶ────ッッ!!!!」


 フードについている猫耳を見つめて、きょとんとしている二人に、僕は笑顔で水鉄砲を放つ。
 少し強めの水圧になってしまったけど、ぽっこりお腹を狙ったから大丈夫だよね?

 僕たちの愛の巣から吹っ飛んだ二人は、広い敷地にころんと転がっていた。


 「あっ。シャワーにしてあげようと思ったのに、加減を間違えてしまいました」
 「……ぷっ、ふふふっ。いや、ありがとう。まさかノエルが、人に向かって躊躇なく魔法を放つとは思わなかった。を洗ってあげようとしてくれたんだね?」
 「……えっと?」
 「でもね? ノエル。汚物は洗っても綺麗にはならないんだ」


 優しく教えてくれたユージーン様は、にこにこ笑っているはずなのに、目が笑っていなくてちょっと怖かった。

 でも、褒めるように頭をなでなでされる僕は、得意げに胸を張る。


 「あの二人の目的は、金の無心に来ただけだよ。だって、もし本当に会いたいと思っていたのなら、もっと早くに会いに来ていたはずだろう?」
 「……たしかに」
 「どうせ、あの女からの金の支払いが滞ったから、私のところへ来たんだ」
 「っ……」
 「ノエルは優しい子だから、絆されそうになっていなかった? あんな下手な演技に騙されないで」


 そう言って微笑んだユージーン様が、どこか悲しげに笑ったように見えたのは、僕の気のせいじゃないと思う。

 僕の大切な人を悲しませるなんて……。
 本当の家族だとしても許せない。

 僕の体が、怒りの感情でメラメラと燃えている。


 「っ、ノエル?」
 「テオはここで待っていてください。僕が話を聞いて来ますから」


 ニッと笑った僕は、きっと悪役みたいな顔をしていると思う。
 だって、僕にべったりのユージーン様が、今は頬を引きつらせて後退ったんだ。
 僕がやばい子だって思われて、ユージーン様に嫌われたとしても、どうしても我慢できない。


 ようやく起き上がって、辺りをキョロキョロと見回している二人に近付く僕は、仁王立ちする。
 全身びしょ濡れになって震えているけど、自業自得だ。
 

 「本当の目的はなんですか?」
 「っ、ほ、本当に会いに来ただけよ? ずっと謝りたいと思っていたの──」
 「謝罪は必要ないそうです。お帰りください」
 「そんなっ、ううう……っ。このままじゃ、私たち借金奴隷にされてしまうわっ! もしそのことを知れば、テオは絶対に助けてくれるはずよ?! それなのに、どうして帰れだなんて酷いことが言えるの? 血も涙もないのねっ」


 またしても泣き真似を始めた女性は、自分たちのことしか考えていない。
 借りたお金は、自分たちで働いて返すべきだ。
 僕のフラストレーションがたまる。

 すっと立ち上がった小太りの男性は、ガタガタと足が震えているけど、鬼の形相をしている。


 「養子に出したとはいえ、育ててやったんだ。息子なんだから、その分の金を支払うのは当然のことだろうっ!」
 「やっぱりお金をたかりに来たんですね。最っっ低! 二度とテオの前に現れないでくださいっ!」
 「っ、お前にどう思われようと、これは家族の問題だっ! ガキは引っ込んでろっ!」


 唾を撒き散らした男性は、目が血走っている。
 
 これ以上話しても無駄だと思ったけど、僕は声を張り上げた。


 「僕はっ! テオの家族ですっ!!!!」








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