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第九話 これがお風呂回(子供版)

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「お風呂っていいですね。天上界に居た頃よりも髪が艶々している気がします。また使ってもいいですか?」

 ラフィアは昼のシャンプーとトリートメントがよほど気に入ったのか、自分から使いたいと申し出てきた。良い傾向である。

「勿論。ポンプアップ一回で一回分足りるはずだけど、足りない気がしたら少し足すといいよ。ラフィアは髪が長いから足りないかもね。後、順番間違え無いようにね」

「はい、わかりました」

 彼女は昼に俺にされたことを思い出しながら自分で髪を洗っていく。
 髪を軽く洗い流し、シャンプーを泡立てる。シャンプーが目に染みないように固く閉じているさまは実に初々しい。シャンプーを洗い流すと、次はトリートメントとだ。髪に染み込ますように延ばしていく。しっかり染み込ましたら、軽く洗い流して一段落だ。
 自分で出来たのが嬉しいのか、また艶髪になるのを期待しているのか、彼女は何度も手櫛を通す。

「ラフィア、体も洗って湯船に入ろう」

「あ、じゃぁ今度はわたくしが晴成さんの身体を洗いますね。お昼はわたくしがしてもらいましたし……」

 おふぅ……風俗とは違う恥ずかしさがあるな、これ……

「う、うん……よろしく」

 でもやってもらうんだけどね。
 ラフィアはボディータオルを泡立てて、俺の背中を洗う。

「これ、すごいですね。こんなに泡立ちしてます」

 このグラドーンが過去どのくらいの技術があったか知らないけれども、地球の現代技術とて負けてませんよ……
 思わずニヤリ、としてしまう。
 俺はラフィアに身を任せ全身を洗ってもらうと、泡を流して先に湯船に入る。次いで、ラフィアは自分の身体を洗う。全身泡だらけになる彼女を見つめてると、強い視線を感じたのかラフィアが声を上げた。

「晴成さん、恥ずかしいです。あまり見ないでください」

 ごめん、ごめん、とって、視線を外しつつも横目で見てしまうのは仕方ない。
 泡を流し終わると彼女と二人して湯船に入る。とはいえ、向かい合って入ると足が伸ばせない。だから何故か俺は正座をしている……

「あ、あの、変なことを聞く様で申し訳ないんですが……」

「なになに? 何でも聞いて」

「あの時のおちんちんって、もっと大きかったような気がしたんですが……」

 うん? あの時? あ、初体験の時か……

「精通が来てないからね。ラフィアも生理が来てないはずだから、まだ子供が出来ないよ」

「えっとなんですか? 精通とか生理って……あの行為をしたら子供が出来るんですよね?」

 こりゃぁ、保健体育の座学しないとだめだな……

「お風呂出た後に詳しく話すとして、大人が性行為をして条件を満たせば妊娠するんだよ」

「子供が出来るのに条件が有るんですか?」

 彼女は不思議そうな顔をしている。ラフィアの知識って、ところどころ欠けている気がする……何故だろう?

「そうだよ。女性は約一月に一度、妊娠できる期間があって、その間に受精するんだよ。その時期を狙って、射精すると妊娠するわけなんだ」

 無論、地球での話なんだが……

「あの子が話をしていた時は、その辺りの話はしなかったですので……」

 あの子って誰?

「まぁ、俺の話も地球の時の話だから、グラドーンでは少し違うのかもね。それにどちらにしても体がまだ準備できてないよ。地球なら15歳未満での出産は母体に負担がかかるからしないように、と推奨されてるしね」

「もしそうなら、後8年くらいは子供が産めないというわけですか……折角の新婚生活なのに、ちょっと残念です……」

「そうだね。でも、長い時間一緒にいるわけだから、ゆっくり進もう」

「そうですね。何があっても逃がしませんから、覚悟してくださいね、晴成さん」

 おぉう……将来ヤンデル? まぁでも、ああは言ったもののおあずけが少し長い気もするのは俺も同感で、何かいい方法がないかとは思う……

「う、足がしびれた……」

 なれない正座に足がしびれた俺は、彼女にもたれかかる様にして体勢を崩した。
 密着した俺たちは一瞬お互いに固まったが、ラフィアは直ぐに俺を包み込むように腕を回した。

「良いですよ、そのまま楽にしてください」

 ラフィアに促されるままに身を任せた。女性的な丸みはまだなくても女の子の肌はやはり柔らかい。湯船の心地よさに加えて、実に天国な気分だった。

◇◆◇◆


 風呂から出ると俺はバスタオルを腰に巻き、半裸でうろつく。着替えが無いのである。因みにラフィアは洗濯した分が乾いているので、元の服を着ている。

「……なんか申し訳ないです。晴成さんばかり負担をかけてしまって……」

 気落ちするラフィアの優しさは分かるが、少し無計画にダンジョンポイントを使った俺の失敗だ。

「俺の失敗なんだから、ラフィアは気にしない」

 少しラフィアをキッチンで待たせて、その間に俺は自分の服を洗濯をする。
 部屋干しを済ませ、ラフィアのテーブルに着くと、ダンジョンポイントで夕食を出す。

「お昼と変わらない質素な食事でごめんね」

「いえ、晴成さんとの食事で不満なんてありません。しかも二人っきりなんですもの」

「出来るだけ早くおいしい食事にしますので、今暫くのご辛抱を、お姫様」

 少しおどけて言うとラフィアが乗った。

「心待ちにしておりますわ、騎士様」

 しばしの沈黙の後、二人して大いに笑った。さまになっていたのか、なっていなかったのか……

◇◆◇◆


 楽しい食事を終え片づけをすますと、俺たちはベッドに潜った。

「ラフィア、明日は二人で体を使う訓練をしよう。ラフィアもまだ肉体の方は慣れてないみたいだしね」

「はい。やっぱり慣れてないので、少し勝手が悪いですしね」

「じゃぁ、寝ようか。お休みラフィア」

「お休みなさい、晴成さん」

 二人並んで寝るも、小さい体では随分ベッドが大きく感じた。何もなく眠るだけなのに、彼女と二人並ぶだけで、嬉しさと少し恥ずかしさを感じる。まだ少し寝ることは出来なさそうだ……
 あ、座学忘れてた……また今度かな……
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