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第1章

66.食べ物には負ける。

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「ユキ、ユキ」
「む~」
「朝だそ、起きろ」

え?朝?俺、まだ眠い。

「起きろ、ユキ」
「むや~~」

眠いから起きたくない。とにかくその意志を伝えようと声を出すも、眠くてうまく単語にならず変な言葉となって口から漏れる。

「起きろ~朝だそ~」
「ユキ、起きて」
「そろそろ起きないと朝飯食いのがす。もうそろそろ起きてもらわないと俺の腹が…クゥ-…あ、」
「「クスクス」」

どうやらギリギリまで俺が起きるのを待ってくれていたらしい。
でも眠い。正直お腹も空いてないし、みんな先に食べてきてくれていいよ。俺朝ごはんいらんわ。どうせちゃんとしたものは食べれないし。

「ぬぅ~んむみゃ~~」
何言ってんだ俺。

「はぁ…」
「ライ、ユキの服あるか?」
「あるよ。着替えさせるね」
「ん~~゛」

急に体がもそもそされる。そのもそもそから解放かれたとおもったらまたすぐにもそもそされてしまう。

「ほら、ユキ、着替え終わったよ。まだ眠い?」
「顔洗うか?」
「……う゛~」

やばいほんとに瞼が重たい。眠い眠すぎる。
返事が遅れるも何とか声を出す。

「はぁ…仕方ない、このまま連れてくか」
「そうだな。ガイ、俺が連れてく。どさくさに紛れてユキのこと抱っこするな」
「はぁ?俺のベッドで寝てたんだから俺が抱っこするのは自然な流れだろうが」
「はぁ?!逆だろ!お前のベッドで寝てたんだから抱っこするのは俺だろうが」
「意味わかんねぇ」
「はぁ?!」
「はぁ…((ヒョイッ))」
「「あ、ちょっライ!」」

なんだか騒がしい。まぁそんなんじゃ俺は起きないけどね。

「ユキを起こすのはいいけど怒鳴り声で起こすのは違うでしょ。私が連れてく」
「「……」」
「嫌ならジャンケンして。」
「「……」」
「俺が勝ったから俺が連れてく」
「……クソッ!!」
「それじゃあノア、連れてって。ガイ、文句なしだよ」
「任せろ!」
「…わかってる」

あ、安定感が変わった。まぁこれはこれでいいな。眠いしなんでもいいんだけどね。



「ユキ、ご飯来たぞ。ほんとに食わないのか?」
「……」
「ユキ」
「ん゛~~」
「はぁ…」
「まぁパンとスープはいつでも頼めるしいんじゃねぇか?起きてから食わせれば。どうせ今無理やり起こしても食えねぇだろ」
「そうだね。私たちだけ先に食べてよう。そのうち起きるかもだしね」



なんだか美味しそうな匂い。食欲が睡眠欲に勝とうとしている!

「ん…」
「お、起きたか?」

ちょっと目を開けると、ノアさんがスープでひたひたになったパンを俺の鼻の前でゆらゆら揺らし、匂いが俺に分かるようにしていた。

「ほらやっぱ起きたぞ」
「…それで起きるのかユキ……」
「あんなに頑なに起きなかったのに…」

どうやら俺は食べ物の匂いにつられて起きたらしい。まぁそうですね。









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