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第2章
122.絶対怒ってた。
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アミュートによるアニマルセラピーのようなもので癒されきった俺は眠気に襲われるが、アミュートに声をかけられハッとする。
顔を上げて居住まいを正すと、改めて周りを見渡した。
部屋に来ているのは、使用人さんや護衛さんを除いて、ノアさんとその両親、ライさんガイさんだった。
2人が来ていることによって、癒されて落ち着きを取り戻していた心臓の動きがまた早くなる。
するとすかさずアミュートがもふっとしてくれて少しだけ、少しだけ動きがマシになった。
「ユキ、大丈夫か?もう、しんどくないか?」
「あい!……あにょ、しゃっき、こぉめんにゃしゃい…れちた………」
ノアさんが声をかけてくれて、表情を伺えばみんな、心配そうな表情をしていた。
その表情はノアさんのお父さん達も一緒で、一瞬、怒ってないかも?と希望の光が見えたが、ここで調子に乗って謝罪しないのは違うので、頑張って謝罪する。しかし舌っ足らずな喋りなので、上手く謝れないのはもう諦めた。それを咎められたとしても、きっと3人が説得してくれると信じてるっっ!
「……何に謝ってるんだ?」
「((ビクッ))」
「…ユキ?」
「あ、あいしゃちゅにょちょき、にょあしゃんにょおちょうしゃんちょ、おかあしゃんにょこちょ、おこりゃしぇちゃっちゃ、かりゃ……」
「はぁぁ……」
「((ビクゥゥッッ))」
ノアさんの大きな溜め息で、俺の体ははね、心臓は物凄くちっちゃくなって血が巡らない。指先が冷たくなってきて、思わず泣きそうになっていると、ノアさんがそっと抱きしめてくれた。
「わるい、怖がらせたな…大丈夫だ、怒ってないよ。」
「……ほんちょ?」
「うん、怒ってない。それに、父さんも母さんも怒ってないよ」
「うしょ!しょれはちあうよ、おこっちぇ、ちゃもん……」
「怒ってない。でしょ?」
「あぁもちろんだ」
「ええ、もちろんよ!」
「ほら、な?」
「れ、れも……」
怒ってないと言われても、じゃああの顔はなんだったんだって話だ。絶対怒ってた。きっとあれだ、俺が子供で、あれだけビビって気絶したから、怒る気も失せ、どうでも良くなって言ってるだけだ。きっとそうだ。俺に呆れたのか、もう何も期待していないのか……どっちにしてもノアさんのお父さんとお母さんからそんなふうに見られるのは、いやだな。
「ほんとに怒ってない。怖がらせて、悪かった。あれは、その…ユキの挨拶が、その…とっても可愛かったからな、思わず顔が……強ばってしまっただけなんだ。本当に、怖がらせて悪かった。ごめんな…?」
「ごめんなさいね、ユキちゃん。悪気わなかったのだけれど、あそこまで怖がらせてしまうなんて……本当にごめんね?おばあちゃん、これからは気をつけるわね!」
「ほんちょにもう、おこっちぇにゃい?」
「「あぁ、怒ってない(わ)」」
「いちゃいこちょ、しにゃい?」
「「……」」
「しない。大丈夫だ」
ジャルジャさんとフリネさんがベッドの上に座っている俺の前に屈み、俺の様子を伺いながら謝ってくれた。
俺からしたら謝るのはこっちだから、謝られるのはちょっと意味がわからなかったが、どうやら本当に怒ってもないし、呆れてもいないみたいで、少しだけホッとする。
……ほっとした所で気づいてしまった。
今、フリネさん、自分のことおばあちゃんって言わなかった?
顔を上げて居住まいを正すと、改めて周りを見渡した。
部屋に来ているのは、使用人さんや護衛さんを除いて、ノアさんとその両親、ライさんガイさんだった。
2人が来ていることによって、癒されて落ち着きを取り戻していた心臓の動きがまた早くなる。
するとすかさずアミュートがもふっとしてくれて少しだけ、少しだけ動きがマシになった。
「ユキ、大丈夫か?もう、しんどくないか?」
「あい!……あにょ、しゃっき、こぉめんにゃしゃい…れちた………」
ノアさんが声をかけてくれて、表情を伺えばみんな、心配そうな表情をしていた。
その表情はノアさんのお父さん達も一緒で、一瞬、怒ってないかも?と希望の光が見えたが、ここで調子に乗って謝罪しないのは違うので、頑張って謝罪する。しかし舌っ足らずな喋りなので、上手く謝れないのはもう諦めた。それを咎められたとしても、きっと3人が説得してくれると信じてるっっ!
「……何に謝ってるんだ?」
「((ビクッ))」
「…ユキ?」
「あ、あいしゃちゅにょちょき、にょあしゃんにょおちょうしゃんちょ、おかあしゃんにょこちょ、おこりゃしぇちゃっちゃ、かりゃ……」
「はぁぁ……」
「((ビクゥゥッッ))」
ノアさんの大きな溜め息で、俺の体ははね、心臓は物凄くちっちゃくなって血が巡らない。指先が冷たくなってきて、思わず泣きそうになっていると、ノアさんがそっと抱きしめてくれた。
「わるい、怖がらせたな…大丈夫だ、怒ってないよ。」
「……ほんちょ?」
「うん、怒ってない。それに、父さんも母さんも怒ってないよ」
「うしょ!しょれはちあうよ、おこっちぇ、ちゃもん……」
「怒ってない。でしょ?」
「あぁもちろんだ」
「ええ、もちろんよ!」
「ほら、な?」
「れ、れも……」
怒ってないと言われても、じゃああの顔はなんだったんだって話だ。絶対怒ってた。きっとあれだ、俺が子供で、あれだけビビって気絶したから、怒る気も失せ、どうでも良くなって言ってるだけだ。きっとそうだ。俺に呆れたのか、もう何も期待していないのか……どっちにしてもノアさんのお父さんとお母さんからそんなふうに見られるのは、いやだな。
「ほんとに怒ってない。怖がらせて、悪かった。あれは、その…ユキの挨拶が、その…とっても可愛かったからな、思わず顔が……強ばってしまっただけなんだ。本当に、怖がらせて悪かった。ごめんな…?」
「ごめんなさいね、ユキちゃん。悪気わなかったのだけれど、あそこまで怖がらせてしまうなんて……本当にごめんね?おばあちゃん、これからは気をつけるわね!」
「ほんちょにもう、おこっちぇにゃい?」
「「あぁ、怒ってない(わ)」」
「いちゃいこちょ、しにゃい?」
「「……」」
「しない。大丈夫だ」
ジャルジャさんとフリネさんがベッドの上に座っている俺の前に屈み、俺の様子を伺いながら謝ってくれた。
俺からしたら謝るのはこっちだから、謝られるのはちょっと意味がわからなかったが、どうやら本当に怒ってもないし、呆れてもいないみたいで、少しだけホッとする。
……ほっとした所で気づいてしまった。
今、フリネさん、自分のことおばあちゃんって言わなかった?
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