髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

あめ

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第4章

210.隠したかったわけじゃない。

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夕食時、俺の体調は戻らず食欲もないため、マフィとの夕食にはルルだけが行くこととなった。マフィにはルルから謝ってもらうことにしたが、また明日にでも謝らないとなと思う。それよりも……

「アミュート」
「どうしたの?ユキ」
「……」
「ん?ユキ?気持ち悪い?吐きそう?頭痛い?もふもふする?」
「……あのね、アミュート」
「うん」

上手く、話せない。なぜ、さっき話さなかったのだろうか。話せば、楽だったのに…。

「さっき、俺、アミュートに隠し事した。さっき話したのも理由の一つだったけど、動揺した理由はそれじゃないんだ…………ごめん」
「……そっか。その本当の理由は、話してくれるの?」
「……うん」

アミュートは俺の寝ているベッドに腰掛け俺の側まで来て話を聞く体制になってくれる。

「前世の……日本人によくある名前…の子が、いた…んだ。その名前……にいさん……っ、ッ……」
「ユキ、ゆっくり息吸って。大丈夫、聞いてるから、ゆっくりでいいよ」
「スゥ----……にい、さん……の、と、…お、…」

簡単なことなのに、上手く言葉を紡げなくて、空気が薄く手が震える。脳裏に流れる兄さんたちにされてきた数々のこと。右手が萌えているように錯覚して、誤魔化すように反対の手でにぎりしめる。首を締められてる気がして首に手をやり、掴まれている感覚を消したくて首を掻き毟る。

「ユキ!!」
「っ…!あ……えっと…」
「……一回休憩しようか。お水のも」
「……うん。」

アミュートに肩を掴んで強く揺すられハッとする。
アミュートが用意してくれた水を飲み、少し落ち着く。アミュートをもふもふしながら、騒ぐ胸を落ち着かせる為に深く深呼吸をする。

「とにかくね、日本名の人がいて、びっくりしたの。名前も一緒だったし。そう。それだけ。なんでさっき話せなかったんだろうね。なんかね、話せなかったの。でもね、もちろんさっき話したのが嘘ってわけじゃないんだよ。あれもあれで心が騒がしくなったから。」

アミュートの毛を握りしめて頭を使わないようにして一気に伝えなければならないことを話した。

「…そっか。それはびっくりしたね。ちゃんと話してくれてありがとう」
「…うん。」

アミュートは俺の頭を抱えるように抱きしめてそう言った。俺は何故か涙が溢れて、アミュートにしがみついて声を出さずに涙を流し続けた。

そう。俺はびっくりしたんだ。頭の整理が上手く出来てなくて、自分を誤魔化すのに精一杯で、アミュートに話してしまえばパニックになると思って、話せなかったんだ。アミュートに隠し事をしたくてした訳じゃない。その事にアミュートの言葉で気づく事が出来、なんだか少しだけほっとした。














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