髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

あめ

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第4章

211.知らぬ間の癒し。

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次の日、まだ頭が重く、熱のある俺は欠席せざるをえなかった。

「ルル、行ってらっしゃい。忘れ物ない?」
「はい、大丈夫です、もうベッドで休んでください。」
「…うん」
「いってきます」
「行ってらっしゃい」

登校するルルを玄関まで見送りに行き、行ってらっしゃいを言う。ルルは笑顔で手を振っていってきますを返してくれ、嬉しくなった俺は満面の笑みをルルに向けてもう一度行ってらっしゃいを伝えた。ルルは照れたのか少し顔を赤らめて控えめに手を振り出ていってしまった。

俺はというとそれでまた疲れてしまったので、壁伝いにまた部屋へと戻っていく。

「ユキ、大丈夫?」
「うん。1人で戻れるよ」
「ん」

心配して手を差し伸べてくれるアミュートを手で制し、再びあるきはじめる。

「ねぇ、アミュート」
「なぁに?」
「…初日、休んじゃった。大丈夫かな?ただでさえ俺って目立つのに……」
「大丈夫だよ。なんてったって初日だし、お友達だってできたんでしょ?」
「そうだけど…」

なんだか不安になる。友達になったとはいえ半日しか話していない。本当に大丈夫だろうか?

「早く治さなきゃどんどん行く日が遠のくよ」
「うん…」
「きっと大丈夫だよ」
「うん…」

アミュートの励ましに、少しだけほっとする。 髪のことで色々言われる覚悟はしていたし、言い返すつもりでもいたが、初日からいきなり休むつもりはなかったので、いない所で何か言われてしまっては言い返すことが出来ない。でも、昨日仲良くなった2人は、大丈夫な気がする。マフィは初対面で面と向かって言ってきて、納得して、謝ってくれたし、ケルは自分にも人と違うところがあって悩んでいると打ち明けてくれた。きっと大丈夫だ。

「まぁ、ルルもいるしね。昨日の子達が離れても1人にはならないよ」
「……それ、励ましのつもり?」
「そうだよ?」
「……はぁ」
「ユキ?」

アミュートの最後の言葉は要らなかった。確かにそうなのだが要らなかった。せっかくほっとしてたのに。

「しんどいから少し寝るね」
「うん。ゆっくり休んで」
「ん…」

ベッドへたどり着いた俺はもう寝てしまうことにした。俺に布団をかけ、ポンポンと一定のリズムで叩いてくれたアミュートは、半もふもふ状態で、その仕草が非常に可愛かった。優しい顔でぽふぽふとしてくれているのが可愛くて癒しや、安らぎを与えてくれ、スッと眠りに入ることが出来た。

「ん…んん゙…?」

寝苦しさに目を覚ますと、隣で完全獣体のアミュートが寝ていて、前足が俺の顔に被っていて息がしにくかったようだ。アミュートの前脚をのかして、少し硬い肉球を解すようにふにふにとする。
大きな体を支えるための大きな足。そこにはふわふわの肉球なんて存在しなくて、少し固くざらついた肉球。クリームを塗ってふにふにと毎日マッサージしてケアをしているのに毎日歩くからなかなかふわふわにはならない。

「ん…ユキ…」
「おはよう」
「体調、大丈夫?」
「んー…ぼちぼち…?」
「…そっか。ん、ありがとう」
「んーん。アミュートの足に潰されて起きたついでだよ」

俺は少しいたずらっぽく笑いながら言うと、アミュートは慌てたように立ち上がりごめんと謝ってきた。

「ごめん!ユキが少しうなされてたから落ち着くまで傍にいようと思ってて、そしたら、眠くなってきちゃって……ごめんユキ。大丈夫?」
「え?俺魘されてたの?」
「うん…少しね」
「そう…ありがとう」

寝ている間のことなんて覚えていなくて、ただアミュートが俺のそばで寝ていただけだと思っていた。寮に入ってからは完全獣姿になることはほとんどなく、半獣状態(獣を二足歩行にしたような状態)で俺に癒し提供をしていることが多くなったアミュートが完全獣体になっていたのはただ単に俺が体調不良で弱っているからだと思っていた。しかしそれは違っていて、おれが魘されていたから、もふもふで落ち着かせてくれたんだ。アミュートは暖かくてふわふわで、俺の癒しだから。

俺はアミュートにありがとうと言いながら抱きつき、どさくさに紛れてもふもふを堪能した。










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