6 / 35
ボクと彼との初デート
しおりを挟む
「可笑しなとこは無いかな? あまり服とか気にしたことないからな」
本日は凪くんとの初デート!
お誘いのお願いをして、その日のうちに連絡が来たのは予想外だったよ。
彼の行動力には目を見張るものがあるね。
あまり気を張り過ぎてもどうかと思い、白のワンピースにボクの好きな色ナンバーワンな緑色のシュシュを右腕に飾らせてもらった。
黒猫のピン留めもつけてみたけれど、変だったりしないだろうか。
そして靴。慣れないハイヒールなんてものを履いてしまったけれど、これに関してはものすごく後悔している……。
だって、家からここまで歩いてきただけで足が痛い! 世の中のハイヒールを履く女の子たちは、どうやって履きならしているんだ! ボクにはたえられないぞ!
……彼の趣味なんて全く分からないから、お気に召してくれれば良いんだけどな。
「しかし、どうやらボクは少々気張り過ぎたらしい。約束の時間までまだ三十分もあるじゃないか」
まあ、特にやることもないので、それは良いんだけど。
彼が来るまでいつものように人間観察でもしていようか。
この銀時計の広間は、綺麗に輝く銀色の時計が目印の定番の待ち合わせスポット。
定番になるだけあって、カップルらしき二人組がちらほら。
男の子の方は、上辺だけに見える子も何人かいるのが辛い……彼女さんはボクと同じ道を歩まないでほしい。
ドレスアップが凄い子もいるけれど、少しソワソワしている。ふふ、今のボクと同じなのかもしれないな。お互い頑張ろう!
ラフな格好のカップルもいるな……なんだか和やかな雰囲気。付き合ってどれくらいなのだろう。ああいう仲はとても憧れる。
──どうしてしまったんだボクは。
別に、カップルしかいない訳じゃないのに、観察対象が全て男女二組ばかり!
うぅ、無意識に意識してしまっているんだろうか。こんなとこ、凪くんに見られたくないぞ。
「おはようございます、朱思先輩」
「おは──な、凪くん! お、おはよう!」
な、凪くんいつから! ボクの変な行動は見られていないだろうね!
「どうやら、待たせてしまったらしいですね。遅くなってすいません」
「べ、別に遅くなんてないさ! ボクが少し早く来すぎただけだから。むしろ早いくらいかい?」
広間に設置された時計を見ても、待ち合わせ時間である九時からは十五分も早い。彼も少しは緊張してくれているのかな?
「ええ、女性を待たせるのはどうかと思いまして……結果的に待たせてしまいましたが」
「だから気にしないでおくれ! ボクは待つことを苦とはしない質だからさ!」
あまり残念そうにしないでほしい。なんだか悪い事をした気分になってしまうじゃないか。
「そう言って頂けて助かります。……朱思先輩の私服、ですか?」
もういっそ触れて欲しくないと思っていたのに! 触れてくるんだね、凪くんよ。
「そ、そうさ! なにか可笑しいかい?」
「いえ、おかしくはないのですが……」
間延びする声に、なんだか少し表情が緩んできてるような……? まさか、笑われたりするんじゃないだろうね。そんなの、ボク立ち直れなくなってしまうよ。
「なんていうか、失礼を承知で言いますが、あまり似合っていないなぁ、と思いまして」
な、なな──なんて事を言うんだい? この子は!
「き、君は凄いな! まさか、そんなストレートに言われるとは思っても見なかったよ!」
しかもなんか嬉しそうだよ! どう言う事なんだい!
「あ、いや、すいません。怒らせるつもりは無かったんです」
「こんな頑張って服を選んできた女子に、その服似合いませんと言って怒らないと思ったのかい! いくらボクでも、悲しくなってしまうよ!」
彼はまともだと思っていたのに、とんだ地雷だよ! ボクはこんな気持ちでこれからデートに行かないといけないのかい?
「本当にごめんなさい! 朱思先輩はとても可愛らしいんです! ただそのなんとなく、貴女の趣味とは違うように感じたので……嫌な思いにさせてしまいましたよね? ごめんなさい……」
なんかすごい落ち込んでしまった! ボクが悪いみたいじゃないか!
「そりゃ、ボクの趣味じゃないよ、こんな服! でも、男の子はこう言う服が良いって言うじゃないか! だったら着るしかないだろう?」
ボクは一体なにに怒っているんだ。確かに、彼の発言は見過ごせない。
けれど、自分でも似合っていないことは分かっていたじゃないか! 彼は正直に言ってくれただけなのに、なんでこんなにも怒りがこみ上げてくるんだ……!
落ち着こう、落ち着くんだ、朱思 愛理《あいり》!
「……ふぅ。ごめんよ、凪くん。君の言い分ももっともだ。こんな不格好なボクだけど、まだデートしてくれるかい?」
時計は九時を指している。まさか、こんな長いこと怒りに溺れるなんて思わなかった。
「不格好なんてそんなこと……! 自分の言い方に問題がありました。本当にすみません! こちらここそ、こんな自分で大丈夫でしょうか?」
ボクが大人げなかったな。こんな風に頭を下げる男の子が、悪意ある発言をする訳がないじゃないか。
「ふふ。それじゃ、この話はお互い水に流そう。……それで、今日はどこに連れて行ってくれるんだい?」
まだ、気持ちを完全に整理できたわけでもないし、全身強張っているのが分かる。ボクは心の整理が下手くそだな。
「先輩の寛大なお心、感謝します。……今日はまず、映画鑑賞なんてどうかな、と思っていたのですが」
えいが? 映画かぁ。なんというか、この子はあれだな。
「凪くん、君はとってもチャレンジャーだね!」
「チャ、チャレンジャーですか? そんなつもりは自分でもないのですが……」
女の子との初デートで映画というのは、とてもチャレンジャーのすることなんだよ、凪くん。
本日は凪くんとの初デート!
お誘いのお願いをして、その日のうちに連絡が来たのは予想外だったよ。
彼の行動力には目を見張るものがあるね。
あまり気を張り過ぎてもどうかと思い、白のワンピースにボクの好きな色ナンバーワンな緑色のシュシュを右腕に飾らせてもらった。
黒猫のピン留めもつけてみたけれど、変だったりしないだろうか。
そして靴。慣れないハイヒールなんてものを履いてしまったけれど、これに関してはものすごく後悔している……。
だって、家からここまで歩いてきただけで足が痛い! 世の中のハイヒールを履く女の子たちは、どうやって履きならしているんだ! ボクにはたえられないぞ!
……彼の趣味なんて全く分からないから、お気に召してくれれば良いんだけどな。
「しかし、どうやらボクは少々気張り過ぎたらしい。約束の時間までまだ三十分もあるじゃないか」
まあ、特にやることもないので、それは良いんだけど。
彼が来るまでいつものように人間観察でもしていようか。
この銀時計の広間は、綺麗に輝く銀色の時計が目印の定番の待ち合わせスポット。
定番になるだけあって、カップルらしき二人組がちらほら。
男の子の方は、上辺だけに見える子も何人かいるのが辛い……彼女さんはボクと同じ道を歩まないでほしい。
ドレスアップが凄い子もいるけれど、少しソワソワしている。ふふ、今のボクと同じなのかもしれないな。お互い頑張ろう!
ラフな格好のカップルもいるな……なんだか和やかな雰囲気。付き合ってどれくらいなのだろう。ああいう仲はとても憧れる。
──どうしてしまったんだボクは。
別に、カップルしかいない訳じゃないのに、観察対象が全て男女二組ばかり!
うぅ、無意識に意識してしまっているんだろうか。こんなとこ、凪くんに見られたくないぞ。
「おはようございます、朱思先輩」
「おは──な、凪くん! お、おはよう!」
な、凪くんいつから! ボクの変な行動は見られていないだろうね!
「どうやら、待たせてしまったらしいですね。遅くなってすいません」
「べ、別に遅くなんてないさ! ボクが少し早く来すぎただけだから。むしろ早いくらいかい?」
広間に設置された時計を見ても、待ち合わせ時間である九時からは十五分も早い。彼も少しは緊張してくれているのかな?
「ええ、女性を待たせるのはどうかと思いまして……結果的に待たせてしまいましたが」
「だから気にしないでおくれ! ボクは待つことを苦とはしない質だからさ!」
あまり残念そうにしないでほしい。なんだか悪い事をした気分になってしまうじゃないか。
「そう言って頂けて助かります。……朱思先輩の私服、ですか?」
もういっそ触れて欲しくないと思っていたのに! 触れてくるんだね、凪くんよ。
「そ、そうさ! なにか可笑しいかい?」
「いえ、おかしくはないのですが……」
間延びする声に、なんだか少し表情が緩んできてるような……? まさか、笑われたりするんじゃないだろうね。そんなの、ボク立ち直れなくなってしまうよ。
「なんていうか、失礼を承知で言いますが、あまり似合っていないなぁ、と思いまして」
な、なな──なんて事を言うんだい? この子は!
「き、君は凄いな! まさか、そんなストレートに言われるとは思っても見なかったよ!」
しかもなんか嬉しそうだよ! どう言う事なんだい!
「あ、いや、すいません。怒らせるつもりは無かったんです」
「こんな頑張って服を選んできた女子に、その服似合いませんと言って怒らないと思ったのかい! いくらボクでも、悲しくなってしまうよ!」
彼はまともだと思っていたのに、とんだ地雷だよ! ボクはこんな気持ちでこれからデートに行かないといけないのかい?
「本当にごめんなさい! 朱思先輩はとても可愛らしいんです! ただそのなんとなく、貴女の趣味とは違うように感じたので……嫌な思いにさせてしまいましたよね? ごめんなさい……」
なんかすごい落ち込んでしまった! ボクが悪いみたいじゃないか!
「そりゃ、ボクの趣味じゃないよ、こんな服! でも、男の子はこう言う服が良いって言うじゃないか! だったら着るしかないだろう?」
ボクは一体なにに怒っているんだ。確かに、彼の発言は見過ごせない。
けれど、自分でも似合っていないことは分かっていたじゃないか! 彼は正直に言ってくれただけなのに、なんでこんなにも怒りがこみ上げてくるんだ……!
落ち着こう、落ち着くんだ、朱思 愛理《あいり》!
「……ふぅ。ごめんよ、凪くん。君の言い分ももっともだ。こんな不格好なボクだけど、まだデートしてくれるかい?」
時計は九時を指している。まさか、こんな長いこと怒りに溺れるなんて思わなかった。
「不格好なんてそんなこと……! 自分の言い方に問題がありました。本当にすみません! こちらここそ、こんな自分で大丈夫でしょうか?」
ボクが大人げなかったな。こんな風に頭を下げる男の子が、悪意ある発言をする訳がないじゃないか。
「ふふ。それじゃ、この話はお互い水に流そう。……それで、今日はどこに連れて行ってくれるんだい?」
まだ、気持ちを完全に整理できたわけでもないし、全身強張っているのが分かる。ボクは心の整理が下手くそだな。
「先輩の寛大なお心、感謝します。……今日はまず、映画鑑賞なんてどうかな、と思っていたのですが」
えいが? 映画かぁ。なんというか、この子はあれだな。
「凪くん、君はとってもチャレンジャーだね!」
「チャ、チャレンジャーですか? そんなつもりは自分でもないのですが……」
女の子との初デートで映画というのは、とてもチャレンジャーのすることなんだよ、凪くん。
0
あなたにおすすめの小説
歩く15億の花嫁~契約婚約から始まるオフィス・シンデレラ~
YOR
恋愛
恋愛経験ゼロの女性×三人の男たち。じっくりと心の変化を描く、じれキュン・スローストーリー。
亡き祖父の遺言により、巨大財閥の氷の御曹司・神谷瑛斗の「担保」として婚約させられた水野奈月。
自分を守るために突きつけたのは、前代未聞のルールだった。「18時以降は、赤の他人です」
「氷」の独占欲:冷酷な次期当主、神谷瑛斗。
「太陽」の甘い罠:謎めいた従兄弟、黒瀬蓮。
「温もり」の執着:庶民の幼馴染、健太。
「影」の策略:瑛斗を狂信的に愛する、佐伯涼子。
四人の想いと財閥の闇が渦巻く、予測不能な権力争い。
恋を知らない不器用な女性が、最後に選ぶ「本当の愛」とは――。
※完全にフィクションです。登場企業とは一切関係ありません。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
陰キャ幼馴染に振られた負けヒロインは俺がいる限り絶対に勝つ!
みずがめ
恋愛
★講談社ラノベ文庫新人賞佳作を受賞しました!
杉藤千夏はツンデレ少女である。
そんな彼女は誤解から好意を抱いていた幼馴染に軽蔑されてしまう。その場面を偶然目撃した佐野将隆は絶好のチャンスだと立ち上がった。
千夏に好意を寄せていた将隆だったが、彼女には生まれた頃から幼馴染の男子がいた。半ば諦めていたのに突然転がり込んできた好機。それを逃すことなく、将隆は千夏の弱った心に容赦なくつけ込んでいくのであった。
徐々に解されていく千夏の心。いつしか彼女は将隆なしではいられなくなっていく…。口うるさいツンデレ女子が優しい美少女幼馴染だと気づいても、今さらもう遅い!
※他サイトにも投稿しています。
※表紙絵イラストはおしつじさん、ロゴはあっきコタロウさんに作っていただきました。
ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~
紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。
毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
その卵焼き俺にも食わせろ!―ワンナイトラブから逃げたはずなのに、契約で縛られてました!?―
鷹槻れん
恋愛
新沼 晴永(にいぬま はるなが/36)は俺様上司として恐れられる鬼課長。
そんな彼に毎日のように振り回されるのが、犬猿の仲(だと彼女が勝手に思っている)部下の小笹 瑠璃香(こざさ るりか/28)だ。
飲み会の夜、酔ってふにゃふにゃになった瑠璃香を晴永がまんまと持ち帰り――翌朝待っていたのはワンナイトの証拠と契約結婚の書類!?
晴永には逃げようとする瑠璃香を逃がすつもりはないらしい!?
笑いと誤解と契約の、ドタバタラブコメディ!
○表紙絵は市瀬雪さんに依頼しました♥(作品シェア以外での無断転載など固くお断りします)
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。
楠ノ木雫
恋愛
蒸発した母の借金を擦り付けられた主人公瑠奈は、お見合い代行のアルバイトを受けた。だが、そのお見合い相手、矢野湊に借金の事を見破られ3ヶ月間恋人役を務めるアルバイトを提案された。瑠奈はその報酬に飛びついたが……
明日のために、昨日にサヨナラ(goodbye,hello)
松丹子
恋愛
スパダリな父、優しい長兄、愛想のいい次兄、チャラい従兄に囲まれて、男に抱く理想が高くなってしまった女子高生、橘礼奈。
平凡な自分に見合うフツーな高校生活をエンジョイしようと…思っているはずなのに、幼い頃から抱いていた淡い想いを自覚せざるを得なくなり……
恋愛、家族愛、友情、部活に進路……
緩やかでほんのり甘い青春模様。
*関連作品は下記の通りです。単体でお読みいただけるようにしているつもりです(が、ひたすらキャラクターが多いのであまりオススメできません…)
★展開の都合上、礼奈の誕生日は親世代の作品と齟齬があります。一種のパラレルワールドとしてご了承いただければ幸いです。
*関連作品
『神崎くんは残念なイケメン』(香子視点)
『モテ男とデキ女の奥手な恋』(政人視点)
上記二作を読めばキャラクターは押さえられると思います。
(以降、時系列順『物狂ほしや色と情』、『期待ハズレな吉田さん、自由人な前田くん』、『さくやこの』、『爆走織姫はやさぐれ彦星と結ばれたい』、『色ハくれなゐ 情ハ愛』、『初恋旅行に出かけます』)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる