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番外編(続)
12 焦り
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竜胆side
「……。」
皆からの口撃に打ちのめされた僕は、マイナス思考に陥りながらもスポドリと冷えピタを持って藍さんの部屋へと向かう。目覚めた藍さんがいつでも水分を補給出来るように。
「はぁ……」
ああ、藍さんが熱を出した原因が僕だなんて考えただけで気分は落ち込んでいく。そしてそれ以上に僕が藍さんに近づけないことに焦燥感を覚える。ああ、ああ、辛い。
そんな気持ちのままコンコン、と扉をノックするが返事はない。きっとまだ眠っているのだろう。そっと音を立てずに部屋に入る。
「藍さん……」
すぅすぅと眠り続ける藍さんの顔は少し赤かった。可哀想に。出来るなら変わってあげたい。そう思いながらローテーブルに持ってきたものを置き、眠る藍さんを覗き込む。すると藍さんへの愛が溢れてくる。
「ああ……駄目だ。」
藍さんが狂おしい程に、もう自分の気持ちに歯止めが聞かない程に、好きだ。そう自覚した。それなのに近づいてはいけないだなんて……拷問以外の何者でもないじゃあないか。そのことを考えるととても心が苦しくなる。息もできなくなる。
「藍さん、藍さん、どうか私のものに……」
そう呟きながら、僕は無意識的に寝ている藍さんの額にキスを落としていた。
「……ん、」
その時、藍さんの身動ぎにハッと目が覚めた。ああ、私は病人に対して何をしていたんだ、と。
「これが……駄目なんだろうな。もっと……しっかりしないと。」
こんな独りよがりな気持ちの押し付けが駄目なのだろう。……もうそろそろ自室に戻ろうか。椿と茜が言うに、藍さんのストレスの原因は私らしいから。そんな私が目覚めた藍さんの近くにいたら熱も引かないだろう。それに私自身、これ以上藍さんのそばにいたら抑えが効かない。だから……だから……
「でも……離れ難い、な……」
つ、と藍さんの頬に指を滑らせると、藍さんの熱が私の指に伝う。
藍side
頬に冷たい何かが触れたことで意識が浮上する。しかしまだ朧げな覚醒なのでぽやぽやした頭の中。その流れに身を任せてしばらくの間ぼーっとする。
パタンと扉が閉まったような音が聞こえてきたことで、ようやっと意識が覚醒してくる。ゆっくりと目を開けて見えたのは自室の天井。
あれ、私……いつ寮に戻ってきたんだっけ。まだぽやぽやした頭でどうやって帰ってきたか思い出そうとする。しかし思い出せない。確か……
「っ……!」
そうだ、思い出した。図書館で竜胆さんに抱きしめられて……
「その、あと……?」
どうなったっけ……? ゆっくり起き上がりながら考える。ええと……
「思い、出せない……」
ぐらぐらと頭が揺れていつものように考えられない。
「……分からない。」
思い出せない焦りでいっぱいになったその時、コンコン、とノック音が聞こえた。
「……。」
皆からの口撃に打ちのめされた僕は、マイナス思考に陥りながらもスポドリと冷えピタを持って藍さんの部屋へと向かう。目覚めた藍さんがいつでも水分を補給出来るように。
「はぁ……」
ああ、藍さんが熱を出した原因が僕だなんて考えただけで気分は落ち込んでいく。そしてそれ以上に僕が藍さんに近づけないことに焦燥感を覚える。ああ、ああ、辛い。
そんな気持ちのままコンコン、と扉をノックするが返事はない。きっとまだ眠っているのだろう。そっと音を立てずに部屋に入る。
「藍さん……」
すぅすぅと眠り続ける藍さんの顔は少し赤かった。可哀想に。出来るなら変わってあげたい。そう思いながらローテーブルに持ってきたものを置き、眠る藍さんを覗き込む。すると藍さんへの愛が溢れてくる。
「ああ……駄目だ。」
藍さんが狂おしい程に、もう自分の気持ちに歯止めが聞かない程に、好きだ。そう自覚した。それなのに近づいてはいけないだなんて……拷問以外の何者でもないじゃあないか。そのことを考えるととても心が苦しくなる。息もできなくなる。
「藍さん、藍さん、どうか私のものに……」
そう呟きながら、僕は無意識的に寝ている藍さんの額にキスを落としていた。
「……ん、」
その時、藍さんの身動ぎにハッと目が覚めた。ああ、私は病人に対して何をしていたんだ、と。
「これが……駄目なんだろうな。もっと……しっかりしないと。」
こんな独りよがりな気持ちの押し付けが駄目なのだろう。……もうそろそろ自室に戻ろうか。椿と茜が言うに、藍さんのストレスの原因は私らしいから。そんな私が目覚めた藍さんの近くにいたら熱も引かないだろう。それに私自身、これ以上藍さんのそばにいたら抑えが効かない。だから……だから……
「でも……離れ難い、な……」
つ、と藍さんの頬に指を滑らせると、藍さんの熱が私の指に伝う。
藍side
頬に冷たい何かが触れたことで意識が浮上する。しかしまだ朧げな覚醒なのでぽやぽやした頭の中。その流れに身を任せてしばらくの間ぼーっとする。
パタンと扉が閉まったような音が聞こえてきたことで、ようやっと意識が覚醒してくる。ゆっくりと目を開けて見えたのは自室の天井。
あれ、私……いつ寮に戻ってきたんだっけ。まだぽやぽやした頭でどうやって帰ってきたか思い出そうとする。しかし思い出せない。確か……
「っ……!」
そうだ、思い出した。図書館で竜胆さんに抱きしめられて……
「その、あと……?」
どうなったっけ……? ゆっくり起き上がりながら考える。ええと……
「思い、出せない……」
ぐらぐらと頭が揺れていつものように考えられない。
「……分からない。」
思い出せない焦りでいっぱいになったその時、コンコン、とノック音が聞こえた。
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