死神ちゃんと天使くん 【完結】

君影 ルナ

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第2部 生前との決別

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 番人の所から帰ってきて今日の仕事は終わり。ということでご飯を食べることに。

「クロ、今日は焼肉だよー。」
「やったー!」

 私もあれからアンジュに料理を習ってはいるが、基本的にアンジュがご飯を作ってくれる。アンジュの料理はとても美味しいので毎回楽しみなのだ。

 今日はお肉! お肉! 浮かれてしまうのも無理はないよね。

「さ、食べよう。」
「いただきまーす! ……んぐふっ、」

 口に入れた焼肉を思わず吹き出してしまう。

「……ごほっ」

 アンジュも吹き出したようだ。こ、これは……

「「甘い!!」」

 な、なんだ? どうした? 焼いたお肉の砂糖漬け、という料理名がピッタリな甘さだ。……はっ、もしかして今日連れて行った狩りの場面に衝撃を受けすぎて塩と砂糖を間違えたのかな!?

「アンジュ……色々大丈夫?」
「ごめんね、砂糖と塩を間違えた上に分量も間違えたみたいだ。」
「いや、こちらこそごめんね。狩りに連れてったせいでしょ?」
「あー……えーと……まあ、ね。」

 アンジュはぽつりと呟いた。やっぱりそうか。申し訳ないことしたな。

「今日の魂達は天国行きだろうって番人は言ってたけど……良かった、のかな?」

 とても不安そうな声。相当ショックだったのだろう。

「良かったよ。だって早い順番で転生出来るんだもん。」

 番人がそう言うならいい事じゃないかな。多分。

「そっか。……俺ももしかしたらこうなってたかもしれないんだよね。なんか複雑だなあ……」
「こうなってた? ってどういうこと?」
「……俺、交通事故で死んでるんだ。車が歩道に突っ込んできてさ……」

 ……ああ、本当に今日連れて行くんじゃなかった。アンジュに死に際のことを思い出させてしまった。後悔先に立たず。

「……、」

 しかし何と言葉をかけていいか分からず、何度か口を開き、閉じ、開き……

「もう少し、生きたかったなあ……」

 アンジュの切実な思いは届くことなく、この部屋で燻るだけだった。その思いを感じ取り目頭か熱くなる。

「でも、あの時死んでなければクロに出会うこともなかった。それは嫌だし……難しいね。」

 私に出会えないことを嫌だと言ってくれるなんて……

「アンジュがそう思ってくれて、私は嬉しいな。不謹慎だけど。それに私もアンジュに会えて良かったと思うよ。」

 本当に不謹慎だけどね。

「……やっぱりクロの傍は暖かいや。」

 少しだけ暗い雰囲気が消えた。













「ねえ、クロ……」

 決心したような声で名前を呼ばれる。何だろう。次の言葉を待つ。

「俺の墓参りに着いてきて欲しい。」
「お墓参り……?」

 決心した声で言われる。お墓参りか……

「そ。生きてた自分とちゃんとお別れして、これから天使として過ごしていくために必要だと思ったからさ。ね、着いてきて欲しいな。クロと一緒に行けばそれが出来る気がするから。」
「私で良ければ何時でも着いていくよ。」

 生きていた自分との決別。それは容易なことではないだろうことは推測出来る。それをしようとしているのだ。協力しない訳が無い。

「ありがとう。じゃあいつ行く?」
「そうだねぇ……」
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