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第2部 生前との決別
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死神や天使は仕事以外でふらっと現世に行くことが出来ない。『現世舞降願い』を提出しない限り。
だから私達はお墓参りに行くために現世舞降願いを提出し、許可が下りたので現世へと二人で向かう。
「ねー、アンジュのお墓ってどこにあるの?」
「……あ、分かんない。」
「ええ?」
それで大丈夫かアンジュ。
「まあ、住んでた辺りに行ってみれば分かるんじゃない? って思って歩いてるんだけどね。」
「なるほど……?」
降り立った近辺の墓地を探し回るのも大変だね。幾つの墓地があるか分かんないし。
あ、そもそも今歩いているところがどこなのかすら分かんないんだけど。包帯で目が見えないからね。
「そうだアンジュ、ここはどんなところ?」
「ここ? ここはね……俺が生きてきた街だよ。で、今は俺が死ぬ直前まで通ってた玲北高校の前を歩いてる。」
「玲北!? 私もだったんだけど! で、二年生の時に死んだ!」
「二年? なんか聞いたことが……あ、もしかして俺の一個下かも? なんか学校で噂になってたよ。自殺した二年生がいて、って。」
「わお。噂になってたかー。ま、別にいいけどね。死んだから。」
私が死んだことであの人達が悪く言われてても関係ないし。向こうが先に言ってきたんだもん。消えろって。
「そのすぐ後に俺も死んだんだよね。ドーンって。」
「そうなんだ……」
死んだタイミングが同じなんだね。偶然かな?
「あ、ここにお墓たくさんある! クロ、ここかな?」
「えー、っと……死体の気配があまりにも多いからなあ……この中から見つけ出すのは難しいね。ちょっと歩き回ってみてもいい?」
「もちろん!」
死神は死体や魂の気配を感じ取れるように出来ている。それを使って探そうと思うのだが、はたして上手くいくだろうか。
アンジュの気配アンジュの気配……
「……ここにはなさそう。」
歩き回ったが、アンジュの気配は無かった。隣にいる天使としてのアンジュ以外のは。
「そっかー。じゃあ次行こうか。」
次に見つけた墓地は先程よりも小さい規模の墓地のようで。探すのにそんなに時間はかからないだろうと予測を立てる。
「また歩き回ってみてもいい?」
「もちろん!」
順番に歩いて回るが……
ここでもない、あそこでもない、こっちでもない。
「……ん?」
ピタ、と立ち止まる。違和感を感じたからだ。
「アンジュ、ここのお墓にはなんて書いてある?」
「ええと、『如月家ノ墓』って書いてあるよ? ここがどうしたの?」
「如月家……後ろにはなんか書いてあるかな?」
「うーんと……あ、一年前くらいに亡くなってるみたいだ。」
一年前か……。確かこの前書斎で調べたら、死神宅での一年が現世の半年と同じって書いてあったっけ。
ということは……。指折り計算してみる。
「……アンジュ、ごめん。自分のを先に見つけちゃったみたいだ。」
多分私のお墓だ。この違和感は自分自身のお墓だからだったのかな。
「マジか! ここがクロの墓か!」
「そうみたい。私の生前の名前はね……」
いい機会だし、生前の名前をアンジュには知ってもらいたいと思う。私、クロは如月 瞳という名前で十六年生きてきたということを。
「え、それ俺聞いてもいいやつ?」
名前に縛られるため、本当に信頼している人にしか教えてはいけないと先代に教えられた。だからこそ信頼しているアンジュには知ってて欲しい。
「うん。アンジュには聞いて欲しいかも。」
「そっかー。じゃあ聞く!」
その返答に口角が上がる。
「ありがとう。私の生前の名前はね、如月 瞳って言うの。」
「如月 瞳……いい名前だね。」
「ありがとう。」
「じゃあついでに俺の名前も教えるね。」
「いいの?」
私が勝手に教えただけなんだけど……。気を遣わせてしまったかな?
「うん。いつかは聞いて欲しいなって思ってたからちょうど良かったよ。」
「そっか。じゃあ教えてもらおうかな。」
「うん! 俺の名前はね渡辺 鈴佳って言うんだ。」
「渡辺 鈴佳……綺麗な響きだね。」
「でしょー。俺結構この名前気に入ってんの。だから天使になって生前の名前使えないって聞いてガックリ来たんだよ!」
「そうなんだね。」
相当気に入っていたんだね。とてもいいと思う。私は名前についてどうもこうも感じなかったから、そう感じられることを羨ましく思う。
「ついでにクロのお墓参りもしちゃおうか!」
「いいの?」
「もちろん!」
だから私達はお墓参りに行くために現世舞降願いを提出し、許可が下りたので現世へと二人で向かう。
「ねー、アンジュのお墓ってどこにあるの?」
「……あ、分かんない。」
「ええ?」
それで大丈夫かアンジュ。
「まあ、住んでた辺りに行ってみれば分かるんじゃない? って思って歩いてるんだけどね。」
「なるほど……?」
降り立った近辺の墓地を探し回るのも大変だね。幾つの墓地があるか分かんないし。
あ、そもそも今歩いているところがどこなのかすら分かんないんだけど。包帯で目が見えないからね。
「そうだアンジュ、ここはどんなところ?」
「ここ? ここはね……俺が生きてきた街だよ。で、今は俺が死ぬ直前まで通ってた玲北高校の前を歩いてる。」
「玲北!? 私もだったんだけど! で、二年生の時に死んだ!」
「二年? なんか聞いたことが……あ、もしかして俺の一個下かも? なんか学校で噂になってたよ。自殺した二年生がいて、って。」
「わお。噂になってたかー。ま、別にいいけどね。死んだから。」
私が死んだことであの人達が悪く言われてても関係ないし。向こうが先に言ってきたんだもん。消えろって。
「そのすぐ後に俺も死んだんだよね。ドーンって。」
「そうなんだ……」
死んだタイミングが同じなんだね。偶然かな?
「あ、ここにお墓たくさんある! クロ、ここかな?」
「えー、っと……死体の気配があまりにも多いからなあ……この中から見つけ出すのは難しいね。ちょっと歩き回ってみてもいい?」
「もちろん!」
死神は死体や魂の気配を感じ取れるように出来ている。それを使って探そうと思うのだが、はたして上手くいくだろうか。
アンジュの気配アンジュの気配……
「……ここにはなさそう。」
歩き回ったが、アンジュの気配は無かった。隣にいる天使としてのアンジュ以外のは。
「そっかー。じゃあ次行こうか。」
次に見つけた墓地は先程よりも小さい規模の墓地のようで。探すのにそんなに時間はかからないだろうと予測を立てる。
「また歩き回ってみてもいい?」
「もちろん!」
順番に歩いて回るが……
ここでもない、あそこでもない、こっちでもない。
「……ん?」
ピタ、と立ち止まる。違和感を感じたからだ。
「アンジュ、ここのお墓にはなんて書いてある?」
「ええと、『如月家ノ墓』って書いてあるよ? ここがどうしたの?」
「如月家……後ろにはなんか書いてあるかな?」
「うーんと……あ、一年前くらいに亡くなってるみたいだ。」
一年前か……。確かこの前書斎で調べたら、死神宅での一年が現世の半年と同じって書いてあったっけ。
ということは……。指折り計算してみる。
「……アンジュ、ごめん。自分のを先に見つけちゃったみたいだ。」
多分私のお墓だ。この違和感は自分自身のお墓だからだったのかな。
「マジか! ここがクロの墓か!」
「そうみたい。私の生前の名前はね……」
いい機会だし、生前の名前をアンジュには知ってもらいたいと思う。私、クロは如月 瞳という名前で十六年生きてきたということを。
「え、それ俺聞いてもいいやつ?」
名前に縛られるため、本当に信頼している人にしか教えてはいけないと先代に教えられた。だからこそ信頼しているアンジュには知ってて欲しい。
「うん。アンジュには聞いて欲しいかも。」
「そっかー。じゃあ聞く!」
その返答に口角が上がる。
「ありがとう。私の生前の名前はね、如月 瞳って言うの。」
「如月 瞳……いい名前だね。」
「ありがとう。」
「じゃあついでに俺の名前も教えるね。」
「いいの?」
私が勝手に教えただけなんだけど……。気を遣わせてしまったかな?
「うん。いつかは聞いて欲しいなって思ってたからちょうど良かったよ。」
「そっか。じゃあ教えてもらおうかな。」
「うん! 俺の名前はね渡辺 鈴佳って言うんだ。」
「渡辺 鈴佳……綺麗な響きだね。」
「でしょー。俺結構この名前気に入ってんの。だから天使になって生前の名前使えないって聞いてガックリ来たんだよ!」
「そうなんだね。」
相当気に入っていたんだね。とてもいいと思う。私は名前についてどうもこうも感じなかったから、そう感じられることを羨ましく思う。
「ついでにクロのお墓参りもしちゃおうか!」
「いいの?」
「もちろん!」
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