死神ちゃんと天使くん 【完結】

君影 ルナ

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第3部 死神の代替わり

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 結局話し合いの末、黒澤くんは『けんけん』と呼ぶことに落ち着いた。名前の健次郎から取ったのだ。

「じゃあけんけん、よろしくね。」
「よろしくっす、先代、アンジュさん。」

 先輩と呼ばれるとワクワクしていたが、先代という呼び名がいいとけんけんが言ったのでその通りに。く、悔しいなんて考えてはいないからね!

「あ、そうだ。このローブは綺麗に洗って明日渡すから。」
「ローブっすか?」
「そ。死神に代々引き継がれるんだよ。」
「へぇー。あ、その包帯は俺やんなくていいんすか?」
「あー、どうだろう。私の先代はぐるぐる巻きにしていなかったからなあ……」

 そもそも何故包帯を巻くように言ったのか分からない。消える前に聞けばよかったなー。

「絶対じゃないならよかったっす。」
「急に見えなくなると大変だものね。」
「っす。」

 一日に何度足の指をぶつけたことか。巻き始めた頃を思い出して遠い目になる。

「後何か言うことあったかなー。仕事はおいおい覚えてもらえればいいし……」
「あ! そうだけんけん、クロは俺のだから! クロのこと好きにならないでね!」

 ぐい、と腕を引かれ、ぎゅっと抱きしめられる。最近は抱きしめられたくらいでは顔が赤くなることもなくなった。むしろ安心感すら感じる。慣れってすごい。

「へー。多分分かったっす。」
「多分!?」
「いや、だって人の気持ちなんて移ろいでいくものっすから。未来のことなんて俺には分からないっす。」
「駄目ったら駄目! クロは俺の!」

 だんだんアンジュの腕に力が入っていく。その力から必死さが十分伝わってくる。

「アンジュ、苦しい。」
「あ、ごめん。」
「必死っすねー。」
「だってクロ可愛いもん!」
「確かに。」

 けんけんも何故か納得していた。二人の言う可愛いが何なのかよく分からない。まあ、可愛いって言われて嫌だとは思わないけど。

「生前地味子って言われてきた私を可愛いって言うなんて……」

 あと今は包帯ぐるぐる巻きなのに。

「え、先代地味子だったんすか? そんなイメージないっすけど……」
「勉強が出来たってのは俺知ってたけど、地味子ではなくない?」

 それって褒めてるの? なんか貶されている気分になり、眉間に皺が寄る。見えないだろうけど。

「地味子って言われてたのは本当です! それで虐められてました!」
「え、なにそれ聞いてない!」

 あ、アンジュのめんどくさいスイッチ入れちゃったみたいだ。根掘り葉掘り聞かれるな、これは。よし、話をそらそう。

「ええと、そうだ! けんけんご飯食べる? アンジュが作ってくれるよ!」
「ちょっとクロ! まだ話は」
「食べるっす。」

 よし、けんけんも察してくれたみたいだ。二対一だし、アンジュも折れてくれるはず!

「よし! アンジュご飯お願い!」

 パチンと手を合わせて拝む。どうにか話を逸らしたいもん。

「っ……分かった、分かったから! ちょっと待ってて!」

 作戦成功。心の中でガッツポーズするのだった。
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