2 / 10
わんわん
しおりを挟む
「おはようございます、お嬢様。朝ですよ~」
カーテンが勢いよく開けられ、中天近くのお日様が目を刺してきます。いっぺんで今日の天気が分かりますね、晴れです。
「ん~~、おはようシーラ。良い天気ね」
昨日、寝入る直前に懸案事項を思い出し、気になってあまり眠れないなんて事はなく、ケント様に最高の自分を見て欲しい私は、これでもかっというくらいにはグッスリ寝ました。
お肌を労るのはレディの務めですもの。
「今日の予定は何だったかしら」
大きな欠伸もでましたが、眠気を覚ます効果があると聞いたような気がします。ですから、これもレディとして必要な行為だと誰にも聞かれていないのに言い訳してしまいました。
「大欠伸は品がないですよ」
おお、神は見ていた! 諫めてくれてありがとうシーラ!
「それで予定ですが、いつもの通り特にありません」
「そうよね。じゃあケイン様にアポイントメントを入れてくれるかしら。最短で」
「かしこまりました~」
彼女なら、ケイン様の予定にグイグイねじ込んで来てくれるはずです。得難い侍女ですわ。
特に予定は無いものの、ブランチの後は運動を致します。健康的なスタイル維持が目的です。全ては愛する人の為ですもの、頑張りますわよぉー!
「フンッ! フンッ! フンッ!フンッ!」
広間で美容に熱心な有志一同による腹筋大会です。日替わりで背筋・胸筋も鍛えます。
シフトの有る侍女やメイド達と違って毎日行っている私ですが、成果を見ると何故か真ん中より少し下程の位置につけています。不思議な事もあるものです。
汗を流している最中に、シーナからケント様の本日の予定をもぎ取って来たとの報告がありました。
「これから伺っても良いとのことだったのですが、あらまあ、お胸がキュッと上がったのでは?」
いきなり揉んでくるのはどうかと思いますよ。
「いい柔らかさと弾力ですね。これならケント様も夢中になるんじゃないでしょうか」
離れる時にそっと頂きを撫でて行くのは、もはや彼女の癖なのでしょうね。
褒められた胸をツーピースに包んで、ケント様のお宅へ馬車で向かいます。
一頭立ての馬車を私が操るのです。後ろには従者では無く、シーラが立ち乗りします。二人座れなくも無いのですが、彼女の希望です。これがとっても目立ちます。
裾の広いキュロットですし、スピードも出しません。しかし傍目にはスカートが翻っているように見えるのではないでしょうか。道行く人の視線が集まるのです。
その時私は前を向いているので、実際にどうなっているかは見た事がないのですけれど。
恐らく彼女は運命の相手を探しているのではないかと愚考しています。
注目を集める事で、自身の存在に気付いてもらい、また、己も見逃さぬように視線を高い位置に置く……この貪欲さ! 妥協しない彼女はまだまだ伸び代があると確信しております。
素敵な侍女に想いを馳せていると、ロッド家に着きました。隣なので。
あら? 代わり映えしない道のりで出会いって、そんなにあるかしら? …………少ないチャンスをモノにする――私も見習いますわ。
ケント様で早速実践でしてよ!
カーテンが勢いよく開けられ、中天近くのお日様が目を刺してきます。いっぺんで今日の天気が分かりますね、晴れです。
「ん~~、おはようシーラ。良い天気ね」
昨日、寝入る直前に懸案事項を思い出し、気になってあまり眠れないなんて事はなく、ケント様に最高の自分を見て欲しい私は、これでもかっというくらいにはグッスリ寝ました。
お肌を労るのはレディの務めですもの。
「今日の予定は何だったかしら」
大きな欠伸もでましたが、眠気を覚ます効果があると聞いたような気がします。ですから、これもレディとして必要な行為だと誰にも聞かれていないのに言い訳してしまいました。
「大欠伸は品がないですよ」
おお、神は見ていた! 諫めてくれてありがとうシーラ!
「それで予定ですが、いつもの通り特にありません」
「そうよね。じゃあケイン様にアポイントメントを入れてくれるかしら。最短で」
「かしこまりました~」
彼女なら、ケイン様の予定にグイグイねじ込んで来てくれるはずです。得難い侍女ですわ。
特に予定は無いものの、ブランチの後は運動を致します。健康的なスタイル維持が目的です。全ては愛する人の為ですもの、頑張りますわよぉー!
「フンッ! フンッ! フンッ!フンッ!」
広間で美容に熱心な有志一同による腹筋大会です。日替わりで背筋・胸筋も鍛えます。
シフトの有る侍女やメイド達と違って毎日行っている私ですが、成果を見ると何故か真ん中より少し下程の位置につけています。不思議な事もあるものです。
汗を流している最中に、シーナからケント様の本日の予定をもぎ取って来たとの報告がありました。
「これから伺っても良いとのことだったのですが、あらまあ、お胸がキュッと上がったのでは?」
いきなり揉んでくるのはどうかと思いますよ。
「いい柔らかさと弾力ですね。これならケント様も夢中になるんじゃないでしょうか」
離れる時にそっと頂きを撫でて行くのは、もはや彼女の癖なのでしょうね。
褒められた胸をツーピースに包んで、ケント様のお宅へ馬車で向かいます。
一頭立ての馬車を私が操るのです。後ろには従者では無く、シーラが立ち乗りします。二人座れなくも無いのですが、彼女の希望です。これがとっても目立ちます。
裾の広いキュロットですし、スピードも出しません。しかし傍目にはスカートが翻っているように見えるのではないでしょうか。道行く人の視線が集まるのです。
その時私は前を向いているので、実際にどうなっているかは見た事がないのですけれど。
恐らく彼女は運命の相手を探しているのではないかと愚考しています。
注目を集める事で、自身の存在に気付いてもらい、また、己も見逃さぬように視線を高い位置に置く……この貪欲さ! 妥協しない彼女はまだまだ伸び代があると確信しております。
素敵な侍女に想いを馳せていると、ロッド家に着きました。隣なので。
あら? 代わり映えしない道のりで出会いって、そんなにあるかしら? …………少ないチャンスをモノにする――私も見習いますわ。
ケント様で早速実践でしてよ!
0
あなたにおすすめの小説
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
甘い束縛
はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。
※小説家なろうサイト様にも載せています。
マッサージ
えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。
背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。
僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる