生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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sideルシアス


カトレアで確認したいことは2つ。


リラの友達の踊り子が来ているかどうか。


あの日、店から先に帰ったとリラが不思議そうにしてたからそこが引っかかる。


それからもう1つは確認というより忠告だな。



リラにはあの店に近づかないように言っておくか。



************************

sideキジャ


俺と団長がカトレアにつき、マリアさんのところに行くと何やらライとマリアさんが話し込んでた。



マリアさんは深くお辞儀をし、ライは跪く。


「もうそんなのいい。急で悪いが聞きたいことがる、すぐ済ませるから聞いてくれ。」



こんな物言いをして咎められないのは団長くらいだ。



「あら、ちょうどいいところに。私から出向こうと思っていましたの。」



マリアさんから?


俺と団長は顔を見合わせた。



「ダリアとかなんとかの踊り子の行方が分からない、そんなところだろう。」



団長は全ての察しがついているみたいだ。



「はい、連絡が付かないので何か事件に巻き込まれたかもしれません。」


ライはすでに連絡を取ったらしい。



「そうか、わかった。俺らが調べる。それよりバチェラーには近づくな、客にも店のやつらにもそう伝えてくれ。」



子供が言っていた大金を持ったあの男に、いきなり行方不明になった踊り子。

偶然であるはずがない。


きっと、なにかある、団長の言った通り近付かないに越したことはない。



「なんですって?」


マリアさんの表情が曇った。


そしてライと何やら顔を見合わせてる。



「なんだ?」



ライは深刻な顔をして言った。



「今日、リラが帰りにバチェラーに寄るって言ってたので…。」



ライの言葉を聞いて、団長の心臓が1度跳ねた。



どんな窮地でも団長の心臓が跳ねる音なんか聞いたことはなかったのに。



そんなにもあの子が大事なんだろうか。



「そうか…、わかった。後は任せてくれ。全て終わればまた来る。行くぞ、キジャ。」



残業決定かな。



「はい。」



でもいいか、団長の珍しい心臓の音と、珍しい表情が見れたんだから。


************************

sideダリア


ドサッ!!
「痛っ!!」


はぁ!?普通投げる!?
こんなこと言いたくないけど私一応商品でしょ!?



文句の一つでも言おうとしたけど…


「きゃ!!」


リラちゃんが私と同じ牢屋に投げられるのが見えたから、縛られているけどすかさず滑り込んでリラちゃんを受け止めた。


「っ!!」

「リラちゃん大丈夫??」



私はヴァンパイアだから体が強いけど、リラちゃんは違う。



「うん…ありがとう。それよりダリアちゃん、大丈夫?何があったの??」



リラちゃんは私の心配ばっかりしてる。


さっき上で私を見つけた時、躊躇わずに私に駆け寄ってくれた。


普通できることじゃない。


力もスピードもない人間は危険を感じたら逃げる本能が備わっているはずなのに。



「リラちゃんは新種かな?」


「え???」



リラちゃんは訳の分からない私の回答に首を傾げた。



「ごめんごめん、独り言!」


リラちゃんは強い。


それは力とかスピードとかは関係ない。


リラちゃんは心がほんとに強い。


「何があったかって言ったら…うーん、誘拐された?かな。」


もうこれしか言うことがなくて…。


「それ、私も。」


リラちゃんはそう言って少しだけ笑った。


さっきまで怖くてしかたなかったけど、リラちゃんがいるから少しは怖くなくなった。


「ねぇ、リラちゃん。落ち着いて聞いてね。」


この状況で取り乱さないようにとりあえず一言言った。

「うん、何?」

リラちゃんがそんなに頭弱くないって知ってるけど、一応ね。


「私達は人身売買の商品で多分このままだとどこかの金持ちに売り飛ばされて、好き勝手な事をされると思う。」


想像をするのもおぞましいようなことをきっとされる。



「やっぱりそうだよね…。」

 
リラちゃんは何となく想像がついていたみたい。

 
ガシャン!!!


「っ!!」
「きゃっ!!!」


大きな音が響いた。



「さっきからお前らうるせぇんだよ!!」


持っている棒で私たちの牢を叩いたみたい。



「静かにしてろ!!」


少し話していただけなのにこんな扱い。


脱走なんてしたらどうなるか。


けど…変態に売られるなんて絶対嫌だ。



どうにか隙を見て2人で逃げ出さないと。



助けなんてきっと来ない。


自分の力でどうにかしなきゃ。


************************

sideリラ 


ここにきて気づいたことがある。


捕まっているのは私たちだけじゃない。


他にも牢屋がいくつもあってそこには何人もの女の子たちが入れられている。


どうして私たちのところは2人だけなんだろう。


そう思っている矢先に…


「嫌!離しなさい!!離してったら!!」


私たちの牢屋に、黒髪でピンクの瞳をしている女の子が入れられた。


年は私達くらいだろうか。


その子は私たちの牢屋に投げ入れられ、床に転がった。


「何よ!もう!!」


かなり綺麗な顔をしてる。


「ここは何?それにあなた人間?」


この人、顔は綺麗だけど性格はキツそうだ。


「はい…。」


きっと、人間が嫌いなんだ…


「人間と同じ檻なんて…アイツら何を考えてるの??」


ほらね。


「どこのお嬢様か知らないけど黙ってて。」


ダリアちゃんが庇ってくれ他のは嬉しいけど…


「はぁ??」



一悶着ありそう…
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