生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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着替えとキス

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sideリラ


ついに……ついにきてしまった!!

この日が…!!!

鏡の前にはドレスを着た私がいる。

大人っぽい黒のドレスなんだけど、果たして私に似合っているの?

それより背中のチャックを閉めてもらわないと。

ルシアス様かライアスを呼ぼう。

あ、でもルシアス様は自分のお屋敷に舞踏会用の服を取りに帰っているから今はライアスしかいない。

少し前に出たから、もうすぐ帰ってくるとは思うけど。


でもいいや、ライアスに頼もう。


私はライアスを呼ぼうと部屋のドアを開けた。


「!」
「わっ!」

するとそこにはまさにノックをしようと構えたライアスがいた。


「ライアス、ごめんね!急に開けて!」


ライアスは私がいきなりドアを開けたから驚いてる。


「…………」


そんなに固まるほど驚いた?

「ライアス…?」
  

少し顔が赤いような気がする。

気のせいかな?


それよりもライアスとんでも無く格好いい。


どこからどう見ても王子様だ。

おとぎ話に出てくる完璧な王子様、ルシアス様とは違う格好良さだった。


「あぁ、ごめんね、リラ。驚いたんだよ…。そのドレス本当によく似合ってるね。」


ライアスは目元を優しく緩ませて私の左頬を撫でた。


こんな格好いい人に触れられて赤面しない女はきっといない。


「え!?あ、ありがとう////」


私はつい声が裏返ってしまった。


「ところで、どうしたの?部屋を出ようとしていたけど何かあった?」


ライアスのこの言葉で私は自分の用件を思い出した。


「うん!あの、これを閉めてほしくて。」

私は早速振り返り開きっぱなしのチャックをライアスに見せた。


*******************

sideライアス

これは……

僕は試されているのかな?


「リラ。」


それとも安心されすぎてる?


こんな、腰と背中を簡単に見せられるなんて。


「ライアス、お願い。」

リラはそう言って長い髪を束ねた。


「………いいよ。」


綺麗な背中……白くて柔らかそう。


触れたい。


僕は欲望に忠実だった。


「ひゃっ////」


リラの背中は確かに柔らかい。

この手で簡単に壊せそうだ。


「ライアス!」


リラの耳が赤くなっていた。

首筋も少し色づいているから噛み付いてしまいたい。


「静かにしないと、ルシアスが来るよ?」 


別に僕は困らないけど、リラは困るよね。


ルシアス以外の男に触れられて顔を赤くしているとこなんて見せたくないはずだから。


「あ、あの…早く、チャックを////」


可愛い。


少し意地悪してもいい?


いいよね。


僕だって男だからね。


好きな子はいじめたくなるんだよ。


*******************

sideリラ

「ライアス////」

背中の手は私のドレスの中を彷徨い、お腹に回ってきた。


しかも両手。


私が真っ赤になっている事などおかましなしに、ライアスは私を後ろから抱きしめた。


「小さいね、リラ。」


ドッドッドッドッ!!

心臓が早く動いて、顔は茹ダコ、頭から湯気が出そうな勢いだ。


「ルシアスが羨ましいよ。」


ライアスは私の耳元で囁いた。


「リラが呪いで僕に夢中になっていたあの時に、抱いてしまえばよかった。」


ライアスは私の耳にキスを落とした。


「体だけでも欲しいと思ったのはリラが初めてだよ。」


私はもう口から心臓を吐きそうになってる。


きっと吐いても誰も文句は言わない。

こんな状況で冷静でいられる方がおかしいわ。


「ライアス…////」


私は、離してと言いたくて上を向いた。


「ンッ」


それなのにその言葉を出す前にライアスに唇を奪われてしまった。


驚いて、恥ずかしくて、どうしていいかわからなくなったから逃げようと動いたら…


「んっ!」

ライアスが私の首を後ろから掴む。


優しく掴んでいるけど、逃さない程度の力を入れてる。


「少し口を開けて?」


ねぇ、ライアス。


その色気はどこから持ってくるの?


どうして私にまだこんな事するの??


私は首を横に振った。


「ねぇ、少しでいいから。」


ライアスはすごく切なそうな顔をしてる。

「だ、ンッ/////」


ダメと言おうとしたらすかさずキスされた。


ライアスは容赦ない。


「ンッ…/////」


優しく絡め取られる感覚は私の思考を鈍らせる。


「っ…はぁ…はぁ…はぁ…/////」


ライアスは満足したのか私にキスをするのをやめた。


「ご馳走様。」


切なそうな笑顔は消えて、ルシアスはいつもみたいに優しく笑った。


「ルシアスが戻ってきたから、ルシアスにやってもらうといいよ。」


ルシアス様、もう帰ってきたんだ…。


「僕は下で待ってるから。」


ライアスはにっこりと笑って、一瞬で私の目の前から消えた。


取り残された私は赤い顔を元に戻すのが必死。


ルシアス様にこんな顔見られたらどう思われるか…


「リラ。」
「きゃっ!!!」


噂をすればルシアス様だ。


もう少し後で来てよ!


今顔真っ赤なのに!
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