生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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sideルシアス


「ルシアス様、キジャ!」 



なるほどな、本人は遅れて登場らしい。


ルルドが先に俺たちの元へ来た。


「ライアスはどうした?怖気付いて逃げたか?」 


俺がルルドに聞くと、ルルドは明らかにムッとする。
ようやく来たか。


「ライアス様はそのような方ではありません!すぐにこちらへ参りますのでご心配なく!」



ライアス信者は相変わらずだ。


俺はあの腹の立つ野郎のどこが好きなんだかさっぱりわからない。


「本当にすぐ来てくれないと困る。アイツ今何やってんだ?」


3人いたとしても持って30分だ。


「ライアス様は今、こんな感じの敵の相手をしています。気配はこれよりも遥かに小さいですが。」


もう1匹こんなのが現れたのか。


「わかった。じゃあ今は3人で頑張るぞ。」


最悪、ライアスは向こうに手間取って来ないかもしれない。


そうなった場合、何か違う手を考えないとな。















「はぁ…っはぁ…….しぶとい…」

「ルルド、まだバテてもらっちゃ困るよ。はー、しんどい。」
  
「お前に言われれる筋合いはない!」


さすがに消耗してきたな。


くそ…



「苦戦してるみたいだね。」



「ライアス様…!」


キジャはいきなり現れたライアスに驚いていた。


「わかってるならさっさと攻撃しろ。」


やっと来た。


どんだけ待たせてくれるんだ、全く。



「そうだね。早く倒してリラの間男にならないとね。」


は?


何言ってんだ?


「頭沸いてんのか?」


一体どんな思考でそうなるんだ?


「それはルシアスの方なんじゃない?」


は?


「詳しい話は後だよ。今はをどうにかしよう。」


リラの名前を引っ張り出されて後回しにはしたくない。


けど、確かに目の前のデカ物を殺らないと話し合いもできやしないな。


「そんなヒーロー面して来たんだから作戦はちゃんとあるんだろうな?」


これで対策も作戦も無しに突っ込んで来たんだったらとりあえず燃やすか。


「もちろんないよ?」


笑顔で言うことか?

やっぱりコイツは燃やそう、いらん。



「帰れ!!」


俺が一撃かましたら、ライアスはそれを軽々避けた。


「団長!!こんな時に何遊んでるんですか!!」

「うるせぇ!!この馬鹿野郎を葬ってる間時間稼ぎしとけ!!」


俺はると言えばる男だ。


「2人でもギリギリなのに何言ってんですか!」


「まぁ、そう怒らないで。見る限り刃は通らないからひたすら魔法攻撃をするしかない。炎の力が2倍になれば倒せない相手じゃないと思うけど?」


何も考えては来なかったが、何も理解していないわけじゃなさそうだ。



「じゃあさっさと気合い入れて炎を出せ。」


次で決めたい。



いい加減、コイツの相手は飽きた。


「気合を入れた方がいいのはルシアスの方じゃないの?」


「お前は一言余計なんだよ。」


お前はいつもそうだった、昔からな。



「まぁ、いい。構えろ。」
「わかった。」


*********************

sideルルド


まるで昔を見ているようだった。


昔は本当に仲の良い兄弟だったのに。


以来お二人は最悪の仲になった。


一緒に戦うところなんて、もう見られなと思っていたのに…


「そんなんで足りる訳ないだろ!もっと気張れ!!」

「耳元でうるさいよ、まったく。」


互いに文句を言いながら、二人の炎は増していく。



世にも珍しい、虹色の炎と白い炎はうねり、共鳴し合い、目の前の大きな怪物にぶつかった。


怪物は大きな悲鳴をあげて暴れ回る。


「一旦離れろ!」


ルシアス様の声に全員反応して後ろへ飛び退く。


化け物は散々のたうち回って地面に倒れて絶命した。




「はぁ、やっと終わった。全員お疲れさん。」



ルシアス様はそう言いながら怪物に近づくと、黒焦げになって倒れている怪物を、コンコンと蹴った。


「コイツは解剖しがいがありそうだな。」


「皮膚が硬いから切るのは手伝ってもらうよ。」


「お前はまだ体力余ってるだろ、皮剥くらい自分でやれ。」
       

この2人はきっと、いつか分かり合えると信じている。


たった1人の血の繋がった兄弟なんだから。


その日が近ければいいのに。
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