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初めての感触
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sideリラ
音を立てずにキッチンへと近づく。
ドアが少し開いていたから中を覗いた。
するとそこにはいかつい男が1人。
馬鹿なのかな、戸棚を開けて探し物をしてる。
私が戸棚に入ってると思うの?
きっと脳みそが筋肉でできてるんだ。
私が覗いていると男がこっちを向く。
間一髪ドアの影に隠れてバレずに済んだ。
けど……
ミシッ、ミシッ。
こっちに来てる!!!!
私が隠れているこのドアから違う部屋に行く気だ!
倒すなら今しかない。
ドアを開けた瞬間フライパンで頭を一撃殴ろう。
でも、私の身長で上から頭を殴るのは難しい。
だったら、下から上にフライパンを振り上げて顎に命中させるのみ。
ヴァンパイアのフライパンフルスイングをキめられて気絶しないはずがないし、相手だってまさかドアを開けたら私がいるなんて思ってない。
きっと油断してる。
私は腰を低くしてフライパンを構えた。
周りの雑音が聞こえなくなるくらい集中する。
フライパンと心を強く持ち、相手が出てくるのを待った。
聞こえるのは私の緊張した鼓動と敵の足音だけ。
待ちに待ったその時だ。
ドアが……
「っ!!」
開いた!!!!
「おまえ」
今だ!!!!
「くらえ!!!!!」
下から上に思いっきりフライパンを振り上げた。
ゴンッ!!!!
「ぐはっ!!!」
私の振り上げたフライパンは見事に男の顎に直撃した。
バキッと顎が砕ける音がする。
人の骨を折るのは初めてだった。
フライパンから手に伝わってくる初めての感触。
骨は意外と脆い、まるで砂糖菓子だ。
男が白目を向いて勢いよく後ろに倒れた。
心臓が暴れている。
この漲る力と高揚感は何?
とても冷静ではいられない。
バタッと大きな音を立てたから…
「おい、サージ!何かあったか?」
もちろん仲間に聞こえたらしい。
1人倒せた…!
私1人倒せたんだ!!!
ちゃんと強くなってる!!
「おい、サージ、返事くらい………」
ばったり2人目と鉢合わせした。
お互いにびっくりしている。
そして私を恐れているようにも思えた。
倒れた男のそばでフライパンを持って佇む女。
怖くないわけがない。
私だってこんなのに遭遇したら怖い。
「お前!!!サージに何を!!このクソガキ!!!」
男が取り出したのはナイフだった。
銀色のナイフを見て考えが飛んでしまった。
「死ね!!!!」
男はナイフを両手で持ち私に突っ込んでくる。
止めようと思えば止められた。
それなのに怖くて足が一歩も動かない。
ドスッ!!
「ひっ!!!!」
私の左のお腹に激痛と鈍痛が交互に走り回る。
うっかりフライパンを落とす程に私も動揺した。
「あ゛ぅっ!!!」
男は私を刺して我に返り、手を振るわせて私からナイフを引き抜く。
正直刺された時よりも、ナイフを抜かれる時の方が痛い。
ナイフを抜かれた途端、血がぼたぼたと床に垂れて床を濡らしていく。
私が着ていた白いワンピースは途端に赤いワンピースへと変わった。
人を刺したのは初めてだったみたいで男は随分動揺していた。
自分よりも相手が動揺していたらこっちは冷静になるというもの。
私はすぐに平静を取り戻して、フライパンを拾った。
そして何の迷いもなくそのフライパンで男の頭を殴った。
血が私の顔や服に飛び散り、こびり付く。
死んだだろうか…
怖くて確認できない。
「サージ!ニール!!」
もう1人も来た。
これで残るはあなただけ。
私は最後の1人をジリジリと追い詰める。
男の真後ろには玄関。
両開きのドアは壊されていて外が丸見え、それでもドアがあったところにピンクの模様が出ている。
ピンクの模様があるってことはまだこの家には魔法がかけられている。
自分たちのかけた防御魔法ですぐに逃げられないなんて間抜けね。
「くそっ!!!このガキ!!!」
最後の男は冷や汗をかいていた。
それほど私が怖いのね。
「わかった、わかった、やめろ!落ち着け!!俺たちはただ黙ってついて来て欲しいだけだ!!お前を殺したりはしない、俺を助けると思ってついてきてくれ!!」
あんたを助ける?
「どうして私が、あんたを助けなきゃいけないの?ここから運良く逃げたって地の果てまで追いかけるから。」
あんたなんか助けるはずない、そんな義理はないでしょう。
私はすでに刺されていて、散々怖い目にもあった。
助けるなんて冗談じゃない。
「っ!!!」
私がさらに一歩詰め寄ると急に魔法が解ける。
男はその一瞬を見逃さず外に出た。
私はそれを追いかけようと走り出すけど…
「っ!!!」
何故かぽっかり空いた玄関を通ろうとしたら跳ね返される。
「馬鹿女!!俺が防御魔法を貼り直したからお前は二度とそこから出られない!!馬鹿のくせして俺を脅すからだ!!!」
男はそう言って火を手に宿した。
何をするかと思えば……
「追ってこられたら困るからな…ここで死ね!!!」
男はこのお屋敷に火を放った。
音を立てずにキッチンへと近づく。
ドアが少し開いていたから中を覗いた。
するとそこにはいかつい男が1人。
馬鹿なのかな、戸棚を開けて探し物をしてる。
私が戸棚に入ってると思うの?
きっと脳みそが筋肉でできてるんだ。
私が覗いていると男がこっちを向く。
間一髪ドアの影に隠れてバレずに済んだ。
けど……
ミシッ、ミシッ。
こっちに来てる!!!!
私が隠れているこのドアから違う部屋に行く気だ!
倒すなら今しかない。
ドアを開けた瞬間フライパンで頭を一撃殴ろう。
でも、私の身長で上から頭を殴るのは難しい。
だったら、下から上にフライパンを振り上げて顎に命中させるのみ。
ヴァンパイアのフライパンフルスイングをキめられて気絶しないはずがないし、相手だってまさかドアを開けたら私がいるなんて思ってない。
きっと油断してる。
私は腰を低くしてフライパンを構えた。
周りの雑音が聞こえなくなるくらい集中する。
フライパンと心を強く持ち、相手が出てくるのを待った。
聞こえるのは私の緊張した鼓動と敵の足音だけ。
待ちに待ったその時だ。
ドアが……
「っ!!」
開いた!!!!
「おまえ」
今だ!!!!
「くらえ!!!!!」
下から上に思いっきりフライパンを振り上げた。
ゴンッ!!!!
「ぐはっ!!!」
私の振り上げたフライパンは見事に男の顎に直撃した。
バキッと顎が砕ける音がする。
人の骨を折るのは初めてだった。
フライパンから手に伝わってくる初めての感触。
骨は意外と脆い、まるで砂糖菓子だ。
男が白目を向いて勢いよく後ろに倒れた。
心臓が暴れている。
この漲る力と高揚感は何?
とても冷静ではいられない。
バタッと大きな音を立てたから…
「おい、サージ!何かあったか?」
もちろん仲間に聞こえたらしい。
1人倒せた…!
私1人倒せたんだ!!!
ちゃんと強くなってる!!
「おい、サージ、返事くらい………」
ばったり2人目と鉢合わせした。
お互いにびっくりしている。
そして私を恐れているようにも思えた。
倒れた男のそばでフライパンを持って佇む女。
怖くないわけがない。
私だってこんなのに遭遇したら怖い。
「お前!!!サージに何を!!このクソガキ!!!」
男が取り出したのはナイフだった。
銀色のナイフを見て考えが飛んでしまった。
「死ね!!!!」
男はナイフを両手で持ち私に突っ込んでくる。
止めようと思えば止められた。
それなのに怖くて足が一歩も動かない。
ドスッ!!
「ひっ!!!!」
私の左のお腹に激痛と鈍痛が交互に走り回る。
うっかりフライパンを落とす程に私も動揺した。
「あ゛ぅっ!!!」
男は私を刺して我に返り、手を振るわせて私からナイフを引き抜く。
正直刺された時よりも、ナイフを抜かれる時の方が痛い。
ナイフを抜かれた途端、血がぼたぼたと床に垂れて床を濡らしていく。
私が着ていた白いワンピースは途端に赤いワンピースへと変わった。
人を刺したのは初めてだったみたいで男は随分動揺していた。
自分よりも相手が動揺していたらこっちは冷静になるというもの。
私はすぐに平静を取り戻して、フライパンを拾った。
そして何の迷いもなくそのフライパンで男の頭を殴った。
血が私の顔や服に飛び散り、こびり付く。
死んだだろうか…
怖くて確認できない。
「サージ!ニール!!」
もう1人も来た。
これで残るはあなただけ。
私は最後の1人をジリジリと追い詰める。
男の真後ろには玄関。
両開きのドアは壊されていて外が丸見え、それでもドアがあったところにピンクの模様が出ている。
ピンクの模様があるってことはまだこの家には魔法がかけられている。
自分たちのかけた防御魔法ですぐに逃げられないなんて間抜けね。
「くそっ!!!このガキ!!!」
最後の男は冷や汗をかいていた。
それほど私が怖いのね。
「わかった、わかった、やめろ!落ち着け!!俺たちはただ黙ってついて来て欲しいだけだ!!お前を殺したりはしない、俺を助けると思ってついてきてくれ!!」
あんたを助ける?
「どうして私が、あんたを助けなきゃいけないの?ここから運良く逃げたって地の果てまで追いかけるから。」
あんたなんか助けるはずない、そんな義理はないでしょう。
私はすでに刺されていて、散々怖い目にもあった。
助けるなんて冗談じゃない。
「っ!!!」
私がさらに一歩詰め寄ると急に魔法が解ける。
男はその一瞬を見逃さず外に出た。
私はそれを追いかけようと走り出すけど…
「っ!!!」
何故かぽっかり空いた玄関を通ろうとしたら跳ね返される。
「馬鹿女!!俺が防御魔法を貼り直したからお前は二度とそこから出られない!!馬鹿のくせして俺を脅すからだ!!!」
男はそう言って火を手に宿した。
何をするかと思えば……
「追ってこられたら困るからな…ここで死ね!!!」
男はこのお屋敷に火を放った。
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