生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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懐かしい思い出

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sideラルフ



ダリアの原点に帰る作戦を実行するため、俺たちチーム☆ゴーストは城の図書室に籠ることにした。


魔女のタランテラ・ガルシアの故郷を探す。


何もわからないとはいえ、きっとヒントくらいあるはずだ。


しらみ潰しに読もうと言うことになった。




が……


「字が多い……」
「字が多い……」
「字が多い……」



俺とルーカス以外は読書が苦手らしい。



「当たり前だ、本なんだから。」



驚くほど集中力がないな。



「そもそもさ、しらみ潰しって要領悪くね?」


今更なことをルディが言い出した。


「そもそもどんな女かも分からないのにどこから手をつけるつもりなんだ?」



俺だって絞って探したいさ。



でも相手が謎すぎて絞り込めない。


「それもそうだけどさー。あ!!閃いた!!」


ルディは本当にポンコツ狼だが、たまに画期的な案を出すことがある。


今回はぜひそれに期待したい。


「とりあえず、タランテラ・ガルシアの顔見てみようぜ!服装とか装飾品とか!」


素晴らしくいい案とは思えないけど、悪い案でもない。


「いいかも、その村や地域特有のものとかあるかもしれない。」


魔法使いのルーカスも賛成してるしとりあえずこれで行くか。


「じゃあ私、ルシアス様達に資料もらってくる。」


ダリアは早速立ち上がった。


ダリアが行くのか、それなら…


「俺も行く。」

「うん!一緒に行こ!」


最近2人きりに慣れていなかった。


ここら辺で意識させとかないと永遠に友達のままだからな。


張り切って行ってみようか。



*********************

sideダリア

久々にラルフと2人きりになった。


恥ずかしいような、嬉しいような?


だけど浮かれないように。


騒がしくしてルディと同じような扱いを受けるのは嫌。



「!!!!?」


私は己を律し、お淑やかにすることに専念していたのに、いきなりラルフが私の手を握ってくるではありませんか。



「何驚いてる?昔もこうしていろんなとこに行っただろ。」



頭の中で花火が上がっているみたい。


ドキドキする。


「…う、うん、そうだけど、それは子供の時でしょ??」


冷静に、いや無理。



「懐かしいからいいだろ。」


ラルフはそう言って私の手を離そうとしない。


「な、懐かしくても私たちはもうあの頃みたいに子供じゃないんだから!」



まだ男と女じゃない時の思い出。



「あぁ、子供じゃないな。。」



きっと、その言葉には過去の過ちが含まれている。


どうしてまともに気持ちを確かめる前に、ラルフと一つになってしまったんだろう。



あの一件がなかったら、私たちのこの微妙な距離もなかったはずなのに。



「俺は後悔してない、そこだけは誤解しないでくれ。」



え??


私はあまりの衝撃に足を止めた。


だって、ラルフが後悔していないって言ったんだよ??


え??でも待ってよ。



「本当に?本当に後悔してないの?」



私が聞き返すと、ラルフはあっさりと肯定する。


「後悔するわけないだろ、相手がお前なんだから。」


出たよ、この不意打ち。


いつもいつも私の心を掻っ攫う。



「え…で、でも……」
「はーい、お若い2人。」



いきなり場違いな人に声をかけられて私とラルフは飛び上がった。



「ここで話すと丸聞こえですよー。」


現れたのはキジャさんだ。



「あ、あぁ、悪い。」


珍しく、ラルフが動揺していた。


「で、どうしたの?何かあった?」


この人はいつも気怠げだ。


目の下のクマとこの人の感じはチグハグで変な感じ。



「あの魔女の絵が書いてある本か資料を見たい。それを頼みにきた。」


「なんでまた??」


キジャさんは不思議そうに聞く。



「まぁ、原点に帰る?的なやつだ。暇なのもある。」



ラルフがざっくり言うとキジャさんが笑った。


「なるほど、それなら団長に頼んでみるから少し待ってて。」


キジャさんがシュッと一瞬で消えて…


「イカれ魔女の資料だって?」
「「!!!」」


シュッとルシアス様が現れた。


「あ、はい!お願いします!」

「こっちだ。」



ルシアス様の目の下にクマがある。



みんな寝ずにリラちゃんを救う方法を見つけようとしている。


私も本くらいでピーピー言ってたらダメだね。
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