生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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愛憎劇のおさらい

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sideリラ


散々ルシアス様に揶揄われて、ダリアちゃんに殴られて、私はいい感じにボロボロになった。



「調子はどうだ?」



そんな中、クロウ先生が現れた。


「見ての通り、順調です。」


ラルフは私のボロボロ感に満足そうだ。


「そうか。そんなお前たちに朗報だ、俺とルーカスの努力の結晶を持ってきた。」



クロウ先生が持っていたのは人差し指くらいの大きさの小瓶だ。



「これを飲んだらどんな怪我でもたちまち治る。」 


魔法の薬を持ってきてくれた。


これで材料が全て揃った。


 「ありがとうございます。」



私はその薬を受け取り胸元へ忍ばせた。


「薬に、嫉妬に狂った女、禁断の果実の血、全て揃ったな。
全員集まってくれ。ラルフ監督のおさらいを聴くぞ。」



ルシアスが私たちに声をかけた。


そしてみんながラルフの近くへ集まる。


全員が集まった時、ラルフは作戦の見直しをし始めた。



「じゃあ、おさらいから。

ダリア、お前はまず一人であの魔女に会いにいく。

ライアスを愛しているお前は何が何でもライアスを助け出す方法を聞き出すと言ってあの魔女を脅せ。

きっと魔女は精神的に弱っていると勘違いしたお前を動揺させるためにいろいろ言ってくる。

それにさらに逆上したフリをしてリラを殺すとあの魔女をさらに脅してくれ。」



とにかく、ダリアちゃんは平静をなくしてあの魔女を脅す役だ。


ダリアちゃんの事だから迫真の演技をするに違いない。




「そして次にリラ。」


ラルフに名前を呼ばれて少し驚いた。


「予定通りに行けば、ダリアがお前をあの魔女の隣に連れて行く。
その場でダリアに痛いことをされるだろうが堪えてくれ。
最終的には死なない程度に喉を掻っ捌かれる。」


私は頷いた。


でも、最後の部分には恐怖しかない。



「で、次にお前。」


ラルフは隣にいたルディの肩をポンと叩く。


「は!?俺!?」


これにはルディだけじゃなくみんなが驚いた。



「あぁ、お前が介入することによってよりリアルになる。」



どういう事だろう。


「そもそも、リラがここまでボコボコにされて誰も助けに入らないなんておかしいだろ?
だから、お前が介入していい感じにダリアを追い詰めるフリして最後は盛大にやられてくれ。」


あの魔女の前で二つのバトルが勃発する仕組みね。



「確かにそうだが、それなら俺が行った方がリアルなんじゃないか?」



ルシアスは自ら介入役に立候補する。



「何言ってるんだ。ダリアがお前を倒せるわけないだろ。
力の差がどっこいどっこいのルディだからこそリアルなんだ。」



確かに、ダリアちゃんがルシアスに勝つなんて何があってもありえない事だ。


「芝居だとバレたら全てが終わる。とにかく、リアルに簡潔に済ませたい。

かと言って、ルシアスがいながらルディがリラを助けに来るのも違和感がある。

だから、ルシアスとクロウさんと騎士二人には外出中ってことにしてほしい。」



大人たちはみんな外出していて、私たちだけで大変なことになったシナリオなんだ。


確かにリアルだ。


「なるほどな。大体わかった。で、いつ始めるんだ?その愛憎劇。」



ルシアスが軽い感じで聞いた。



「もちろん、今すぐだ。」
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