生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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乱闘

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sideルシアス


「ライアス、お前どうしたんだ。」


そんなにも目を血走らせて。


言葉が通じているかも定かではない。


「……」


ライアスは心ここに在らずという感じで集中力がない。 


目の前の俺なんてどうでもいいって事だ。


今この瞬間もライアスはリラを探している。
  

一度気絶させるか。


眠れば正気も戻るだろう。


ただ……


「簡単にはいかないよな…。」


相手はライアス。


本能に押されている分、頭では勝てるが力ではどうだ?


俺も馬鹿力の自信はあるが、ライアスもなかなかだ。


まぁいい、やってみるしかない。


「互いに殺さねぇようにしないとな。」


どっちが死んでもリラが苦しむ。


それだけは避けないといけない。


「退け………」


ライアスはバッチリ俺を殺す気だが、まぁ問題ない。


「退かねぇよ。ほら、さっさと来い。」


いつもならこんな挑発に乗ってこないのに、ライアスはあっさりと俺に立ち向かってきた。


きっと部屋が壊れる。


その音を聞いてリラが引き返して来ないことを願うばかりだった。



*******************

sideリラ

私は動揺しながらもクロウ先生達の所へ行くことにした。


もう誰かに助けてもらうしかない。



「クロウ先生!!」



私が地下牢の階段を降りながら叫ぶと…



「この獣以下の出来損ないが!!!私に近づくな!!」


階段の下から魔女のとんでもない罵声が聞こえてきた。


「それお前のことだろ!!自己紹介なんていらねぇんだよ!!」


さらにはルディの言い返す声まで。



「ダリア!ラルフ!後ろへ回れ!!」

「「はい!!」」



クロウ先生の声も聞こえる。



見てはないけど、とんでも無く忙しくしているのは確かね。




「ここから先は立ち入り禁止でーす。」



いきなりキジャさんが現れた。


「キジャさん!」

「はいはい、どうしました?」



何と説明したら伝わるだろうか。



「えっと……ライアスが大暴れしてて、それをルシアスが止めているのでそのお手伝いを頼みだいんですけど…」

「それ遠回しに俺に死ねって言ってる?」



何だかとんでもない誤解をされた。



「い、いえ!そんな!死ねだなんて思ってません!お手伝いしてほしいだけなんです!」



私が必死に弁解していると…



「何だ、ライアス様に何かあったのか?」


ルルドさんが下から上がってきた。



「聞かない方がいいって。お前も死ねって言われちゃうよー。」

「は?」



キジャさんはルルドさんにまで誤解を広めた。



「違います!死ねだなんて言ってません!!
ライアスとルシアスの殴り合いを止めてほしいだけなんです!!!」



「それは……」



ルルドさんはものすごく険しい顔をした。


よかった、分かってくれたんだ。



「つまり死ねってことか?」



いや、ダメだ。


全然分かってなかった。
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